『英語の発音が正しくなる本』鷲見由理(ナツメ社)

『英語の発音が正しくなる本』鷲見由理(ナツメ社、2000年1月)
母音子音の発音記号ひとつひとつの発音を「発音記号の発音の習得」→「発音と綴り字の関係」→「単語の発音問題」の3段階で習得していく参考書です。
前半は母音編で、後半は子音編です。
それぞれの発音は4ページで構成され、1ページ目に単独での発音の練習とその発音を含んだ単語の練習、2ページ目には発音をしている女性の口元の写真と似ている発音との比較での発音の練習と言葉遊び、3ページ目は綴りと発音の関係とその発音の練習、4ページ目にはさらに発展的な発音と綴りの関係についてと発音に関しての練習問題が掲載されています。
CDは2枚組で、1枚目は母音編、2枚目は子音編の大ヴォリュームです。ナレーションは、1トラックごとにネイティヴの男性と女性が行います。
「綴りと発音の関係を理解しないと発音は理解できない」というコンセプトで綴りが重視されているのが特徴です。40パーセントくらいは「スペリング」についての参考書といってもいいくらいです。「a」系統の発音と綴りの関係についての解説が優れていると思います。
”発音の方法”についての解説は『英語耳』や『英語舌のつくり方』の方が優れています。あまりくわしい発音のコツについては書かれてませんし、写真やイラストもあまり意味がありません。この本は、他の本で一応発音を習得して、さらに綴りを含めた発音の能力や理解力を深めたい方にオススメします。
学校英語や受験英語での発音問題の対策としても使えると思います。

『英語耳 発音ができると英語ができる』松沢喜好(アスキー)

『英語耳 発音ができると英語ができる』松沢喜好(アスキー、2004年10月)
英語を学び直すために最初に手にとるべき良書!!
中学や高校で刷り込まれるあるいはしかなたなく覚えてしまうカタカナ英語を捨てて、発音記号を正確に読めるようになって、リスニングからリーディングまですべての英語の能力の根幹になる発音を基礎から学んで練習するための参考書です。
第1章は、発音の重要性や日本人の英語の発音に対する理解の問題、英語習得までの全体的な学習方法の方針の提案などについて述べる。
第2章は、無声音、特に日本人には難しい「s」「sh」「t」の発音に重点を置いた子音の発音バイエルです。
第3章は、日本人には区別して発音することが難しい3つの「ア」の音に重点を置いた二重母音も含めた母音の発音バイエルです。
第4章は、英語発音最大の難関である「r」の発音が、巻き舌ではなく現地で実際に使われている舌を引く方法で丁寧に解説されています。
第5章は、リエゾンや曖昧母音、語尾「t」の「r」へのリエゾンによる変化などの音声変化の発音バイエルです。
第6章は、歌や文章を実際に発音することによって発音を習得する”Parrot’s Law”を紹介しています。
第7章は、発音を含めた英語力のアップ方法としてペーパーバックの読書の薦め、そして、英語力完成までの英語勉強法を簡単に提案します。
といった構成にになっていて、やはりこの本で素晴らしいのは2~4章の「発音バイエル」の部分です。発音バイエルでは、口蓋の断面図つきで、空気の出し方や舌や歯の動かし方、発音をする時の意識やコツを含めて発音記号ひとつひとつの発音が丁寧に解説されています。類似した発音を比較できる様に単語が巧く配置されていることも優れています。
CDは、ナレーションに程度な間隔があり使いやすいです。ナレーションをしている女性の発音は特別に綺麗な発音ではないので逆に学習する際には有効だと思います。
外国語を勉強する際、発音は決定的に重要です。
しっかり発音ができて、思考する時や本を読む時に自分の頭の中に自分の声で正しい英語の発音がなっていることが、単語を音も含めて身につけ、リーディングや読書も効果的に進み、当然リスニングにも会話にも役に立ちます。
外国語の発音を習得するためには、日本の発音の発想や方法を一度、捨て去ってしまうべきだと思います。大げさに云ってしまうと、英語は日本語と全く発音の原理が全く違っていて、同じ音はひとつもないと考えるべきだと思います。英語はカタカナになった時点で日本語になります。
英語の発音の参考書で最も素晴らしい一冊です。英語を学ぶすべての人が必読必携だと思います。英語を学び直そうと思っている方はまず本書を手に取ることを絶対的にお薦めします。発音ができるようになると英語を学ぶこと、読みこと聞くことが楽しくなります。
発音に自身のない方は、口のエクササイズだと思って、一ヶ月、毎日、一時間、第二章~第四章の発音バイエルをやりましょう!!
それでは。
Goodbye! See you again!!