『日本人が知らない英語の必須フレーズ150』ジョン・ビントリフ、森田久司(研究社)

『日本人が知らない英語の必須フレーズ150』ジョン・ビントリフ、森田久司(研究社、2007年3月)
口語・日常会話で頻繁に用いられるイディオムの理解のために!!
日本人が知らないがネイティヴ・スピーカーが多用するイディオムとその意味や感覚を丁寧に解説したイディオム集です。
全体の構成は「動詞として働くもの」「名詞として働くもの」「その他のイディオム」の3つのパートに分かれます。1ページでひとつのイディオムが紹介されます。約20のイディオムごとに練習問題があります。
それぞれのイディオムのページは以下のような構成になっています。まず、そのページで取り上げるイディオムが紹介され「直訳すると…」では直訳でのフレーズの意味が、「意味は?」ではイディオムとしてのフレーズの意味が紹介されます。次に「どういうときに使う?」では、そのイディオムを使う状況やどういう意図がある時に使うかが解説されます。「どう覚える?」では、イディオムの意味の由来やイディオムをどういう風にイメージしたりこじつけて覚えるか、という解説がされます。「聞き手に与える印象は?」では、他人を不快にさせるか自分に使った場合に謙遜の意味になるかを示すために、マークと「肯定的」「中立的」「否定的」という表示と一部のページでは使うべきシチュエーションやなどを解説しています。次にイディオムを使う状況を指し示す例文が紹介されます。「例文A」は単文の例文で「例文B」ひとつづつの発言によるダイアログです。それぞれ日本語訳がついています。1/3ほどのページで下部にイディオムの意味やシチュエーションを表現したイラストがあります。
学校英語・受験英語、TOEICや英検などで教えられたり用いられるイディオムではなく、それらでは全く見聞きしないような日常的・口語的なフレーズに登場するイディオムが取り上げられています。それらはネイティヴ同士ではよく使われるのに日本人にはあまり知られていないイディオムや簡単な単語で構成されていて見落としがちなイディオムです。例えば、「pay the piper」「have a tiger by the tail」「spring chicken」「ball of fire」「between a rock and a hard place」「tooth and nail」などです。
ネイティヴ・スピーカーの英語の専門家が書いているのでイディオムの選択や意味や感覚の解説も適切です。
基本的な英語力がある中級者以上で、日常や口語での英語の理解を深めたい方にオススメです。特に映画やドラマ、小説などの英語の意味が解らない・知りたい方にマッチした教材です。
Cheers!!

『はじめてのロンドン イギリス英会話入門』クリストファー・ベルトン、渡辺順子(研究社)

『はじめてのロンドン イギリス英会話入門』クリストファー・ベルトン、渡辺順子(研究社、2005年5月)
ブリティッシュ・イングリッシュで作られイギリス文化が取り上げられた英会話ダイアログ集!!
全体は、day 1~4の大きなパートに分かれます。その中に一日のスケジュールに沿ったPartが収録されています。
各Partは、まずイギリス英語の「キーワード」が提示され、アメリカ英語との意味の違い、文化的な差異が解説されます。その次にこの本のメインとなる「ダイアログ」があります。「ダイアログ」では、まず状況が解説され主人公の美咲とイギリス人との会話になります。日本語訳も掲載されています。次に「ヴォキャブラリー」があります。ダイアログで出ていたものやダイアログのテーマに関連するヴォキャブラリーが紹介されます。各項目では、単語あるいはフレーズとその日本が訳、2つの例文とその日本語訳が書かれます。Partの最後には「豆知識」として、イギリス滞在に関する情報やイギリス文化や生活についての知識を紹介します。
CD一枚付きで各Partのダイアログのナレーションが収録されています。ナレーションはブリティッシュ・イングリッシュのネイティヴ・スピーカーが行っています。スピードはナチュラル・スピードで、ラフな日常会話でリエゾンなどの現象が起こって崩れている発音です。多分ネイティヴ・スピーカーだと思うのですが、美咲の声が甲高く「上品なブリティッシュ・イングリッシュの物まね」みたいな感じがするのが残念です。美咲の話し相手の発音は多様です。
ダイアログの内容は、イギリス留学の最初の4日間の行動が順に展開されていきます。美咲のコミカルな体験の様子や性格がおもしろいです。各ダイアログでアメリカンとブリティッシュで異なる単語が必ず取り上げられ、ほとんどのPartで美咲がその意味や文化の違いに気づいたり困惑するという”落ち”があります。主人公が女性で女性がおもしろく読めるように工夫されています。美咲の発音も女性には「かわいい」と捉えられるかもしれません。
ダイアログの難易度は簡単ですがCDのナレーションのスピードはナチュラル・スピードなので、本書のレヴェルは初級~中級です。高度な単語は使われていませんし、難しい口語表現があるわけではありません。ブリティッシュ・イングリッシュの発音や文法・語法に関する解説も一切ありません。この本は、他の教材を読んで既にブリティッシュ・イングリッシュの基礎知識がある方が、ブリティッシュ・イングリシュの発音や聞き取りの能力を強化するのに適していると思います。
ブリティッシュ・イングリッシュの基礎知識があってさらに発音や聞き取りの能力を強化したい中級者、イギリス文化に関心のある方、ブリティッシュ・イングリッシュが好きな方、特に女性にオススメです。
Goodbye!! Cheers!!

『やっぱりイギリス英語が好き!』ジュミック今井、トレーシー・キメスカンプ(明日香出版社)

『やっぱりイギリス英語が好き!』ジュミック今井、トレーシー・キメスカンプ(明日香出版社、2008年10月)
ブリティッシュ・イングリッシュとイギリス文化を深く知るために!!
全体の構成はイギリス文化に関連した以下の20のパートに分かれます。
「BEING BRITISH 英国人」「THE UNITED KINGDOM 英国」「PUB パブ」「B&B」「FISH AND CHIPS フィッシュ&チップス」「DOUBLE-DECKER ダブルデッカー」「BRITISH FOOD 英国料理」「ENGLISH GARDEN イングリッシュガーデン」「WEATHER 天気」「ANTIQUE MARKET アンティークマーケット」「PHARMACY 薬局」「POST OFFICE 郵便局」「ROYAL FAMILY 英国王室」「WEDDING 結婚式」「SUPERMARKET スーパーマーケット」「UK ENGLISH VS US ENGLISH 英語VS米語」「CAR BOOT SALE カーブートセール」「TELLY テレビ」「TUBE ロンドンの地下鉄」「WORK 仕事」
各パートの構成は、まず、「イントロダクション」としてパートのテーマに関連する8行ほどの英文テクストとその日本語訳があります。テクストはイギリス文化やイギリスの日常生活に関する簡単なコラムです。その次にこれもテーマに関連する2ページほどの「ダイアログ」があります。ダイアログの内容は日本人旅行者のユキが旅行の過程で様々なシチュエーションに遭遇するというものになっています。「イギリス英会話必須センテンス」では、ダイアログの中のセンテンスが取り上げられ、英語と英会話の一般的な解説とブリティッシュ・イングリッシュ独特の表現やイギリス文化とそれにまつわる表現についての解説がされます。「イギリス英会話ならではの単語とフレーズ」では、ブリティッシュ・イングリッシュならではの単語をフレーズを例文付きで解説します。「覚えて使う単語リスト」では、パートのテーマに関連する単語がブリティッシュ独自のものではないものも含めて紹介されます。スコットランドやウェールズを含むU.K.の地名や王室や貴族の称号、ロンドン地下鉄の駅名、イギリス料理とその関連の名前などイギリス独特の単語を延々と紹介しているパートもあります。その後にダイアログの日本語訳があります。パートの終わりにある「EASY-PEASY!」では、ブリティッシュ・イングリッシュのスラングを例文つきで紹介します。「ブリットビア」では、イギリス文化やイギリスの生活に関するトリビアを紹介します。
CD一枚つきで、イントロダクションとダイアログ、覚えて使う単語リストのナレーションが収録されます。スピードは全てナチュラルスピードです。ナレーターはネイティヴの男性と女性です。CDのナレーションは録音も発音もクリアで丁寧に読まれていて聴きやすいですが、棒読み気味で教材的な比較的味気ないナレーションです。男性の方にブリティッシュ独特のクセが少ない気がして物足りないです。
この本は「ブリティッシュ・イングリッシュの解説書」というより、「ブリティッシュ・イングリッシュで書かれた/読まれたリーディング/リスニング教材」+「イギリス文化紹介本」という感じです。内容自体もおもしろくて、英語教材ではなく、純粋に読み物としておもしろいです。
テクストの内容は日常会話で普通のレヴェルですが長めで、CDのナレーションもナチュラル・スピードなので初心者向けではありません。ある程度英語力があるか、ブリティッシュ・イングリッシュの基礎知識がある人向けです。
イギリス旅行なので、ブリティッシュ・イングリッシュに慣れたい人にもオススメです。
この本には、発音や文法などの「ブリティッシュ・イングリッシュの基礎」の解説はないので、この本を読む前にまず 『イギリス英語リスニングCD』 『イギリス英語Total Book』を僕はオススメします。
Goodbye!! Cheers!!