文庫本で読める哲学入門書 哲学解説書リスト 初心者におすすめ

『自分を知るための哲学入門』竹田青嗣(ちくま学芸文庫)

前半では、筆者の青年時代の挫折経験から文学と哲学、とくにフッサールの現象学に出会い独学で学んだ経緯と、哲学が自身の思想の経験としてどんな意義があったのかを述べる。後半では、アリストテレスやデカルト、ヘーゲルへの批判に見られるような現象学を中心とした筆者独自の観点によってギリシャ哲学から現代哲学までの哲学の流れを概観する。そして、現代思想の相対主義、アンチヒューマニズム、不可知論といった問題を指摘し、特に現象学と実存哲学にある人間が豊かな生を生きるための言語ゲームとしての哲学の価値を提示する。

『現代思想の冒険』竹田青嗣(ちくま学芸文庫)

筆者はまず、思想や哲学を学ぶこと持つことの意義を「世界像を持つこと」ととしてその意味を世界について考え価値の関係像を作り、またそれを編みかえることだとする。(序)次に、資本主義体制を批判し、理想的な共産主義社会を実現することを目指すための革命の必要を訴えたマルクス主義の戦後世界における挫折とそのインパクトそ振り返る。(1章)マルクス主義崩壊やモダニズムへの不審の状況を反映する現在、流行の思想である構造主義とポスト構造主義、ポスト・モダニズムの内容や主張を丁寧に整理し、独自の観点から価値の差異の体系の認識の限界、言語や思想自体への懐疑、社会改革の不可能性といったそれらの問題点を指摘する。(2章)現代思想の批判対象であるデカルトからヘーゲル、マルクスまでの近代哲学を概観し、その功績と一方での主観/客観の一致に対する解決方法、理性中心主義といった問題について考える。(3章)反=ヘーゲルの思想であり、現代思想のルーツとなったキルケゴールの実存思想とニーチェの反形而上学について述べる。(4章)主観/客観の認識問題を別の角度から解決し、新たな真理概念や言語による了解の可能性を示すフッサールの現象学について説明する。(5章)フッサールの現象学を継承し、世界の中での個人の実存の問題としての哲学を展開したハイデッガーの実存論を解説する。(6章)フッサールやハイデッガー、バタイユの思想を敷衍して独自の欲望論、エロス論の構想を述べる。(終章)

『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学的諸問題へのいさない』永井均(ちくま学芸文庫)

夏休みの中学生・翔太と心の中を見通す猫のインサイトが哲学の教師となって対話というわかりやすい形で具体的な例や思考実験、哲学の概念や哲学説を紹介しながら、様々な哲学のアポリアについての議論をする中学生・高校生向けの哲学の本。「世界の実在」「他我の存在」「善悪の判断」「自由意志と人生の意味」など哲学の代表的なアポリアについて深い思考力と洞察力で高いレヴェルの議論がやさしい言葉で行われる。

「第一章 いまが夢じゃないって証拠はあるのか」では、「培養液の中の脳」の思考実験をきっかけにして、(睡眠中に見る)夢と現実の違いから、実在的世界の認識、客観的真実の存在、実在論と非実在論の対立と懐疑論の問題を議論する。そして、その対立を超える真理の規準の問題、実在と非実在を抱合する自然かつ超越的な視点の考え方を示す。

「第二章 たくさんの人間の中に自分という特別なものがいるとは」では、翔太の見たクラスメートたちがロボットで自分もロボットだったという夢を土台にして、他者の感覚や感情の実在の問題と感覚の共同性と相違性の問題を取り上げる。それらを他我問題や他者の存在の問題につなげ、細部のない可能世界ではなく、現実に起こった現実世界を共有する連続した時空にいる他者は実在するという。空間的に独立して存在し時間を生きる奇跡的な自分もいて、同じ時空を生きる「他人の自分」も現実世界をそれぞれの世界として生きている。

「第三章 さまざまな可能性の中でこれが正しいといえる根拠はあるのか」では、善悪の判断や道徳に絶対的な根拠はなく行為や歴史、言語使用の中でつくられることが述べられる。多数派の意見によって正しさの絶対性と客観性がつくられるが、正しいことが正しくなるように歴史はすすんできた。また、行為の中で妥当性が生まれ理性が形成され、合理性や「チャリティ原則」によって正しいということはつくられてきた。そして、言葉の意味の意味を問うことはできない、意味は言葉を使っていることの中で示される。

「第四章 自分がいまここに存在していることに意味はあるのか」では意志と欲望や人生の意味の問題について述べる。意志と欲望の振り分けに根拠はなく入れ替わりが可能であり区別もなく、自己意志は現実の行為の一つの状況でしかない。また、死は死んでいる状態が恐怖なのではなく、もう生きられないことに対する恐怖である。自分の死は、死んでいく人間たちの一つの死に過ぎないが、同時にひとつの世界そのものの消滅で他者と交換することはできない。生も死も結局は現実である。だから、存在は奇跡であり、どんな理由も因果性も及ばない。なので、人生に意味はなく、意味がないということが人生の輝きであり、人生に味わいを与えるものである。

というように、本書では、哲学の定義や意味の解説・哲学史紹介ではなく哲学的議論そのものが書かれている。中学生と高校生に向けられて書かれた本だが、やさしい表現で哲学を含めた一般・常識(コモンセンス)的な思考をひっくり返す議論、あるいはとくに三章に見られるように非常に「常識的・合理的な」議論を行い、様々な哲学説の矛盾や問題を超える地点や哲学の答えあるいは答えのない答えにまで議論が及んでいる。表紙の印象とは違って、中高生だけではなく、大人や哲学科の学生にも勧めることができる高度な哲学書である。

『人生論ノート』三木清(角川ソフィア文庫)

幸福や懐疑、習慣、虚栄、人間の条件、孤独、利己主義、健康、秩序、感傷、娯楽、希望、旅など様々なテーマについて、考察と批判、虚無や矛盾の認識によって人生のあり方や意味とは何か、現代人はいかによく生きるべきかを表す哲学倫理学エッセイ集。この本は太平洋戦争直前の1938年から1940年にかけて書かれ、それだからこそ、善きことや現代的生活への冷静だが強い意志が溢れている。記述は容易ではないが、何度も読み返し、理解を深め、考え続けることによって批判を含めた生涯の糧や指針となる名著であり100版以上を重ねるロングセラー。付属する「語られざる哲学」は、若き筆者が語られざる哲学=懺悔によって自らの生活や学問に対する態度の中の傲慢や虚栄心、利己心を徹底的に批判・反省し、真理を尊重する謙虚で剛健な哲学者として生きる決意を示す。

『反哲学史』木田元(講談社学術文庫)

ニーチェとハイデッガーの「反哲学」の視点からフォアソクラティカからニーチェまでの哲学という知の構築物、特にソクラテス、デカルト、ヘーゲルを批判的に見直した哲学史の新定番。

『現代の哲学』木田元(講談社学術文庫)

ニーチェの「神は死んだ」とした世界の価値体系の崩壊を起点とする現象学、実存主義、構造主義、ヒューマニズムなどの紹介と考察。

『ガイドブック 哲学の基礎の基礎 「ほんとうの自分」とは何なのだろう』小坂修平(講談社プラスアルファ文庫)

『そうだったのか現代思想 ニーチェからフーコーまで』小坂修平(談社+α文庫)

『集中講義 これが哲学!いまを生き抜く思考のレッスン』西研(河出文庫)

『哲学入門』カール・ヤスパース(新潮文庫)

『哲学入門』バートランド・ラッセル(ちくま学芸文庫)

『方法序説』ルネ・デカルト(岩波文庫、ちくま学芸文庫)

デカルトの知的自伝であり、ラテン語ではなく口語であるフランス語で、一般の読者のために書かれた哲学入門書。第1部では、学生時代の経験から理性に基づいた確実な真理を求める哲学を学ぶ意志を持ち、書物の学問を捨て世界から学ぶため旅に出る決意をした過程を述べる。第2部では、ドイツの炉部屋に滞在している時に発見した4つの真理発見ための規則について述べる。第3部では現実の世界を生きる3つの道徳規準について述べ、旅を終え、オランダの都市に隠れ住み哲学に本格的に取り掛かると述べる。第4部は、後に『省察』で詳細に記述される、「ワレ惟ウ、故ニ我アリ」で有名なコギト命題とそこから導かれる神の存在証明と形而上学について述べる。第5部では、デカルトの構想する物理学、天体学、光学、生物学について簡単に記述する。(当時は理学・工学・医学などは哲学の一部や発展形。)第6部では、ガリレオ事件に対するリアクションとして哲学と科学的研究の真理性と正当性について述べる。

近代哲学の原点であり、哲学の基礎的思考法やもっとも優れた哲学者のその哲学の内容をコンパクトに知ることができる入門書にして哲学史上の名著。本文は全体で100ページ、重要な1部から4部までで約50ページなので初学者でも一冊を読み通すことができる。毎年、哲学を学び始める哲学科や文学部の学生が購入するので、日本で最も売れている哲学の本でもある。

『デカルト『方法序説』を読む』谷川多佳子(岩波現代文庫)

『パスカル『パンセ』を楽しむ 名句案内40章』山上浩嗣(講談社学術文庫)

パスカルと『パンセ』の哲学が様々なテーマによって分類され、数学的思考や生活法から神学や生死の思想まで『パンセ』の思想が筆者によって分析・解釈され、見事に再構成されている。

『道徳は復讐である ニーチェのルサンチマンの哲学』永井均(河出文庫)

ニーチェの道徳思想、特に奴隷道徳やニヒリズム、ルサンチマンとその思想の意義について論じる。

『ハイデガー 存在の歴史』髙田珠樹(講談社学術文庫)

『ハンナ・アレント』川崎修(講談社学術文庫)

『こどもたちに語るポストモダン』ジャン=フランソワ・リオタール(ちくま学芸文庫)

『生の短さについて』セネカ(岩波文庫)、『人生の短さについて』セネカ(光文社古典新訳文庫)

「生の短さについて」は、仕事や享楽に忙殺されず、哲学と徳を大切にし、欲望を制御し生命ををよく活用するなら人生は長いとする。「心の平静について」は、欲望、猜疑心、未練や嫉妬に悩まされず心を平静に保つには、どんなことにも執着せず、必要以上の多くの財産や金銭を持たず、無理な栄誉や達成を求めず、程よい中庸な生活を送り自分を信頼することが大切だとする。「幸福な生について」は、幸福な生とは、自らの自然の本性に合致した生であり、どこまでも快楽を求めるのではなく、理性と徳によって自分のもっているものを受け入れ満ち足りた喜びを感じる生であるとする。最高善とは精神の調和である。(光文社古典新訳文庫版は、「幸福な生について」ではなく「母ヘルウィアへのなぐさめ」が収録されています。

ヨーロッパの教養の基礎となる本ですが、論文というよりは友人への書簡というかたちで書かれていて読みやすく、現代でも役に立つ実践的な考え方や教訓がたくさん詰まった名著です。

『快楽主義の哲学』澁澤龍彦(文春文庫)

エピクロスの快楽主義をベースにして、ストア派の禁欲主義やダンディズム、サディズムも取り込んで孤高の隠者・精神の貴族として自らの快楽を追い求める快楽主義を積極的・煽動的に肯定する。そして、現代日本の商業主義的・大衆的・レジャー的な快楽のあり方を批判する。

『倫理学入門』宇都宮芳明(ちくま学芸文庫)

『幸福について』アルトゥール・ショーペンハウアー(光文社古典新訳文庫、新潮文庫)

『余録と補遺』の中の一冊であり、『意志と表象としての世界』の「私たちの認識する世界は、表象による単なる現象界でしかない。」「生の意志は欲求を持つが、その欲求は常に満足することができず人生には常に苦が存在する。」という認識論と倫理、生の哲学の思想を一般の読者向けに実践論として著した幸福論・人生論。ペシミズム(厭世主義、最悪主義)によって却って、苦悩と偶然に満ちた世界の中で、人はできる限り苦痛を避け、他者からのイメージや表象=名誉や地位ではなく、第一に本質的に価値あるもの=健康、力、美、気質、徳性、知性、それらを磨くことを含む品格、人柄、個性、人間性、第二に所有物と財産を大切にし、自身の内面の幸福を重視して合理的に消極的に快適に安全に生きるべきだとする。

『幸福論』アラン(集英社文庫、岩波文庫、角川ソフィア文庫)

リセの哲学教授が新聞に連載したプロポ(3ページほどの短いエッセ)の幸福に関するものをまとめたもの。その内容は不幸や不条理、運命、内科的な病気や精神病も考え方やマインドセットで解決してしまうという驚くほどのオプティミズム(楽観論)、精神論(メンタリズム)、常識(コモン・ノウリッジ)論でありパッシヴな運命論、プラグマティズム、結果論である。私にはその本の全体的な主張や思想の意味はわかるが、賛成することはできない。しかし、それらを十分に言語化し受け入れること、それに対して思考する対象としてその意味や効用についてさらに深く考察している部分があること、行動や実践の効用にこの本を読む意味があると私は思う。アランの『幸福論』はフランスと日本でしか読まれていない。オプティミズム、パッシブなメンタリズム、寛容の思想が特にプロテスタント国で受け入れられないためだと思う。

『人生論』レフ・トルストイ(新潮文庫)

生命を哲学的にその本質を問うことから始まる生命(life, la vie)論としての人生論。動物の生命と人間の生命の理解と対比からトルストイは人間の生が時間と空間に規定されずそれらを超越する集合的歴史的なもので「世界に対する関係」だと考える。人間の理性的意識をよく用いて快楽の欺瞞と死に対する恐怖を退け、愛という人間の唯一の理性的活動によってあらゆる人が他者を愛し他者の幸福のために生きることが真の幸福である。

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『哲学のすすめ』岩崎武雄(講談社現代新書)

現代社会での日常や仕事の実生活の中で哲学を知ることの意味、プラクティカルな科学的知識との関係と対比における哲学の価値である原理的な価値判断、現代の無反省な生活の中で忘れられたただの快楽ではない主体的な幸福の必要性、といった哲学の根本的だが実践的で高度な問題を平易な文章で提示し哲学者たちの議論を用いて説明する。すべての人に勧めることができる哲学の入門書であり、1966年の出版から増版が続いている講談社現代新書の発行部数ランキング10位のベストセラーである。哲学の価値と意義を真摯に説く、最も優れた本物の良き啓蒙書・「啓発書」。

『中学生からの哲学「超」入門』竹田青嗣(ちくまプリマー新書)

まず、筆者は若い頃の挫折経験から文学、フロイト精神分析、そして哲学に出会った経緯と世界理解としての哲学の意義を述べる。次に宗教との違いから自由と欲望の相互承認としての哲学の価値について説明する。なぜ社会に法律やコードが存在し、それにどんな意味や問題があるのかを哲学的考察によって述べる。最後に筆者が構想する欲望論の実践篇によって現代社会・資本主義社会の構造を簡潔に考察する。記述は平易に書かれてはいるが大人でも内容の理解が容易ではない、現代を生きる問題としての哲学を語った入門書。

『生きることと考えること』森有正(講談社現代新書)

本書の中心となるのは、パリでの「経験」と「感覚」という概念への目覚めである。情意の影をおびた関係や豊かな人間交渉を生み出すパリでの「感覚」の目覚め、それは、私とものがつくり出す「感覚」や「経験」は自然や世界によって与えられた物であるということであり、筆者の言う「感覚」とは、感覚が感覚においてわれわれが生きていることの全てがあらわるものだということである。風景や家が単なるモノから生きがいや意味を与えてくれるものとなること。その「感覚」が豊かになり成熟し一つのことばとして表すことができるのが「経験」である。そして、定義される「ことば」と定義する「経験」を、経験を超えながら反省し結びつける力が「精神」だとする独自の現象学的・実存主義的思想が述べられる。(一般的な哲学入門書ではありませんが、生活と結びついたひとつの哲学的思考を教えてくれます。)

『哲学の歴史』新田義弘(講談社現代新書)

簡潔で明解な思想の展開を捉えた哲学史入門のスタンダード。

『西洋哲学史 古代から中世へ』『西洋哲学史 近代から現代へ』熊野純彦(岩波新書)

2006年に出版された日本の哲学史のニュー・スタンダード。

『哲学マップ』貫成人(ちくま新書)

『ヨーロッパ思想入門』岩田靖夫(岩波ジュニア新書)

ギリシャ思想と一神教の源流となったヘブライ思想という二つのものの影響を基礎として実存主義までの哲学の流れとその核心を述べるユニークだがまっとうな哲学・思想入門書。

岩波ジュニア新書ですが、日本では少ない、ギリシャ思想と一神教のコアとなる考え方を簡潔に説明し、その二つをベースにして哲学を解説した比較的高度な内容の本で、大人であっても読み応えがあります。250ページのヴォリュームがあり文字は岩波ジュニア新書としては小さめです。

『ソクラテス』田中美知太郎(岩波新書)

『はじめてのプラトン 批判と変革の哲学』中畑正志(講談社現代新書)

『アリストテレス入門』山口義久(ちくま新書)

『デカルト』野田又夫(岩波新書)

『パスカル』野田又夫(岩波新書)

パスカル解説の古典的名著。前半はパスカルの生涯を私生活、科学的業績、キリスト教思想、哲学の変遷とともに述べる。後半では人間の「みじめさ」と「偉大さ」、生得的な「悲惨」と「気晴らし」、神の存在の「賭け」など重要な思想が鮮やかに解説される。

『カント入門』石川文康(ちくま新書)

『新しいヘーゲル』長谷川宏(講談社現代新書)

標準的で平易な『精神現象学』の弁証法を中心としてヘーゲルの哲学全体を解説した入門書。

『ニーチェ入門』竹田青嗣(ちくま新書)

『現象学入門』竹田青嗣(NHKブックス)

『ウィトゲンシュタイン入門』永井均(ちくま新書)

『はじめての言語ゲーム』橋爪大三郎(講談社現代新書)

『はじめての構造主義』橋爪大三郎(講談社現代新書)

構造主義・記号学のバックグラウンドと基礎的思考が楽しく理解出来る。

『フーコー入門』中山元(ちくま新書)

『20世紀言語学入門』加賀野井秀一(講談社現代新書)

ソシュール言語学と構造言語学、記号学と構造主義、チョムスキーの生成文法論を中心とした言語学思想の概説書。

『記号論への招待』池上嘉彦(岩波新書)

ソシュール〜ロラン・バルトの記号学、パース〜ウンベルト・エーコの記号論の基礎理論を最も簡単に理解出来る良書。

『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』丸山俊一(NHK出版新書)

『私・今・そして神 開闢の哲学』永井均(講談社現代新書)

『<子ども>のための哲学』永井均(講談社現代新書)

本書は「子どもための哲学」の本ではない。子どもの頃に感じた存在の謎や善悪の規準といった基礎的問題を中心として展開する全世代のための哲学入門書。

『哲学の謎』野矢茂樹(講談社現代新書)

近代哲学・分析哲学の様々な思考実験やアポリアを紹介し、それらを考察することから読者を哲学することへ導く。

『哲学の使い方』鷲田清一(岩波新書)

『はじめての哲学的思考』苫野一徳(ちくまプリマー新書)

竹田青嗣から哲学を学んだ若手の気鋭の教育学者が、「さまざまな物事の本質をとらえる営み」「共通理解を見出そうと探求をつづけ」るものとしての哲学説や一般的な哲学の考え方や概念を取り上げて、実例を示しながら現実に対する考え方や実際の問題解決に役立つ思考法としての哲学を10代と若者へ向けて真摯にしかしやさしく解説していく。

『善と悪 倫理学への招待』大庭健(岩波新書)

『幸福とは何か ソクラテスからアラン、ラッセルまで』長谷川宏(中公新書)

ソクラテスやアリストテレス、エピクロス、セネカなど古代の哲学者たちが求めた知性的な幸福や中庸の徳、心境の平静、ヒュームやカント、ベンサムなど近代の哲学者の感覚論や道徳論、快楽説と幸福との矛盾、メーテルリンクやアラン、ラッセルなど現代の哲学者が求めた郷愁や希望、楽天的な心の安らぎゆとり、コモンセンスに基づいた心の平衡としての幸福、西洋哲学史の様々な幸福論を紹介・検討して、産業社会化・消費社会化・グローバリゼーションに対抗する穏やかで静かな日常生活が幸福であり、その範囲を見定め維持することが今日の幸福論の課題だとする。

『バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』坂本尚志(星海社新書)

フランスの大学入学資格試験あるいは中等教育修了資格試験であるバカロレアの哲学論文(デセルタシオン)のその独特のあり方と論述の「型」と解法、回答例を紹介してその思考の方法による論理的思考と批判的思考の重要性を述べる。

本書は本格的な幸福論の本ではなく、幸福説解説書であり、また、幸福を例題にしてフランスの哲学教育と独特なバカロレアの哲学試験の紹介をしています。哲学論文の方法を用いた論理的・批判的・弁証法的思考によって幸福になれる・精神的に豊かでいられる可能性があるというよりメタな意味での幸福についてのきっかけになる本であるとも言えます。バカロレアと幸福説紹介から入るユニークな哲学入門書でフランスの教育の紹介書です。

『じぶん・この不思議な存在』鷲田清一(講談社現代新書)

『「恋する身体」の人間学』小浜逸郎(ちくま新書)

『責任はだれにあるのか?』小浜逸夫(PHP新書)

保守派評論家の著者が前半では、少年犯罪やイラク人質問題における「自己責任」という概念とその言説への疑問を述べる。後半では、キリスト教やカント、ヘーゲル、フランクルなどの哲学から近代社会における責任概念のルーツとその問題について考察する。

『ニッポンの思想』佐々木敦(講談社現代新書)

吉本隆明と蓮實重彦(70年代)からニューアカ(80年代)、宮台真司と大塚英志(90年代)、東浩紀(ゼロ年代)までの日本の思想や論壇を時代状況を踏まえながら明確に簡潔に俯瞰する。

『自由主義の再検討』藤原保信(岩波新書)

近代自由主義、社会主義と共産主義における自由の概念、ジョン・ロールズやロバート・ノージック、リバタリアニズムなどの現代アメリカの自由主義を再検討することによって自由主義のエッセンスと可能性を探る。

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『ロラン・バルト』グレアム・アレン、青土社

「ロラン・バルト(シリーズ 現代思想ガイドブック)」グレアム・アレンはひとつの数少ない英語のロラン・バルトについての解説書です。ロラン・バルト(1915〜1980年)はフランスのécrivain (作家)、文芸評論家、文学理論家、記号学者と構造主義の思想家だった。彼は、人文科学、社会科学、社会学、文学研究、文学批評、哲学、社会思想、現代思想への大きな影響を与えた。
この本はロラン·バルトと彼の作品を紹介します。この本の章、特定の年代に沿って、バルトのキャリアを4つの期間で割って、第1章と第2章におけるバルトの初期の文学批評「早い段階から移動する、第3章と第4章の記号学と構造主義の彼の仕事を通じて、および、第5章と第6章の彼のポスト構造主義の段階から、そして最終的に問題のセットは、第7章と第9章において彼の後の文章から出現する(バルトの関心やテキスト、音楽、写真、映画への理論的アプローチについて書く)。
アレンは、ロラン ・ バルトの思想とマルクス主義、ジャン=ポール・サルトル、フェルディナンド ・ ソシュール、ポスト構造主義にローマ ヤコブソン、デリダ、ミハイル ・ バフチン、ジュリア ・ クリステヴァから背景と一緒に生活の移行をトレースします。アレンはロラン ・ バルトのと伝統的な手段またはその他の思想家間違いによる記号学的条件と哲学の言葉を説明しています。グラハム ・ アレンはテキスト理論の講師であり、彼は 作家、構造主義の哲学者、記号学者、社会学者よりは (テキストには以下のものが含まれています言語、文学、ブルジョア社会、音楽、写真、ロラン彼自身) 文学評論家およびテキスト理論家としてバルトを記述する。
この本の特徴は、ロラン ・ バルトのテキスト理論と物語分析、零度の文学など、「神話」、間テクスト性、中性的な記述、快楽主義、ストゥディウム/プンクトゥムとフェノテキスト/ジェノテクストなどの解説です。
別の特徴は「明るい部屋」バルト論評のより遅い生命 (章 8 および 9)、どのバルトロークに執筆音楽写真、彼についての人生。アレンは、ロラン ・ バルトの最後の調査のテキストの ‘不可能’ の練習の概念に達した言及しています。アレンいると説明する ‘「カメラ Lucida」のバルトローク ミックスを例証するものは彼のより遅い執筆で再現性のあるテキストを提示するオーデルで彼母の激しい悲しみと理論的な執筆。ロラン ・ バルトの「明るい部屋」、執筆の練習の ‘不可能’ を追求することに抵抗し、彼自身の母、母の原型になる言語暴力を無視しようとします。執筆のような個人的な行為を実行する「明るい部屋」を提供していますその読者に多くの照明、場合はすぐに使用可能な、写真撮影および表現性質に洞察力一般です。ロラン ・ バルトの活動のためのアレンの結論はこれです。’ おそらく、意味の意味は、バルトロークを書く意味の生産ではなく、おそらく意味の妨害か ‘。
この本は、基本的なロランに通常総導入と彼の理論は、初心者のための最も有用な本はロランバルト特に彼文字通りの理論とテキスト分析について知りたいです。

「ロラン・バルト(シリーズ 現代思想ガイドブック)」
グレアム・アレン
青土社 2006年4月
284ページ 2592円
ISBN: 978-4791762309
目次:
第1章 エクリチュールと文学
第2章 批評的距離
第3章 記号学
第4章 構造主義
第5章 作者の死
第6章 テクスチュアリティ
第7章 中性のエクリチュール―快楽、暴力、ロマネスク
第8章 音楽と写真
第9章 『明るい部屋』―不可能なテクスト