社会学史ノート〜フランス啓蒙思想から現代社会学まで

社会学以前の社会学
シャルル・モンテスキュー
啓蒙思想家
『法の精神』制定法は社会の所産であり、国民の一般意識が社会意識である。

ジャン・ジャック・ルソー
啓蒙思想家
『社会契約論』全人民の契約にもとづく社会。人民主権。
『エミール』子どもの権利を発見。

サン=シモン
社会主義者、社会改革家
<社会有機体説>→<実証主義>による<社会生理学>
<産業主義>「すべては産業によって、すべては産業のために」

オージュスト・コント
実証主義哲学者
『実証哲学講義』
始めて<Sociologie>という語を用いる。
<社会静学>社会のメカニズムを分析→<社会有機体説>を体系化
<社会動学>社会の歴史的進歩を研究→<三段階の法則>人間の精神は神学的、形而上学的、実証的という段階を経て進歩する。それに合わせ、社会は軍事的、法律的、産業的という状態に進歩する。
「予見するために見る」

ハーバート・スペンサー
<社会進化論>に立脚する社会有機体説
<軍事型社会>→<産業型社会>へ進化。
<集中化>社会の規模の拡大。
<分散化>機能の分化(分業化)→社会構造の複雑化

カール・マルクス
『経済学・哲学草稿』『ドイツ・イデオロギー』
<弁証法的唯物論>人の存在を、生産あるいは労働という相互行為の中に現れ経験される具体的経験とする。
<生産>は他者との関係行為としての社会的行為、コミュニケーション行為。→<交通>
<疎外>社会が人間から疎遠なものになる。
私的欲望は人間本来の物ではなく<私的所有>によるもの。
→<分業>により階級は分化し、労働者は疎外された存在となる。
<生産力>自然環境、技術の水準、労働力の質や量
<生産関係>社会関係のあり方は生産力によって決まる
<土台>生産力と生産関係
<上部構造>土台によって決まる、人の思考や感性、法律や国家のあり方
『資本論』構造論的認識への転換
古典派経済学の労働価値説を彫琢し、資本主義を批判。
<価値形態論>人の社会的関係が物と物の関係へ転化する、<物象化>メカニズムの解明。
<歴史の発展法則>原始共産制社会−奴隷制社会−封建制社会−資本制社会−共産主義社会

社会学の確立期
エミール・デュルケーム
コントの実証主義を精緻化<社会実在論> <方法論的集団主義>
『社会分業論』
分業を社会的<連帯>のあり方として考察。
<機械的連帯>伝統社会では、連帯は諸個人の類似からなる。→<環節社会>
<有機的連帯>産業社会では、個人は個性化し異なる機能を果たし、相互に依存する。
<道徳の科学>社会を統合する道徳としての社会に関心。
『社会学的方法の規準』
<社会的事実>(集合意識)集合的なものとして把握される集団の信念、傾向、慣行。「社会的事実を『物』のように見よ」
ある集団において典型的であり普通であるものを正常とし、そうでないものを異常とする。
<機能分析>の優越性。ある現象や制度を、現実の相互作用の中でそれらがはたす機能を分析。
『自殺論』
<自己本位的自殺><集団本位的自殺><アノミー的自殺>
<アノミー>社会変動→道徳の弛緩による欲望の無規制状態
『宗教生活の原初形態』
宗教の本質は、世界をタブーによって<聖と俗>の領域に厳しく隔てる思考。そして、教会というかたちで表れる、個人に帰属できない非人格的で神聖な力=集合現象。聖なるものの本質は、集合生活の生み出す道徳的な力=社会の力。

フェルディナンド・テンニース
『ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ』
<ゲマインシャフト>他者と感情的に結合して共同生活を送る<本質意志>から生じる集団。
<ゲゼルシャフト>目的達成ための理性的<選択意志>から生じる集団。打算的・契約的
<ゲノッセンシャフト>協同組合のような平等な人々の契約にもとづく結合体。協同体。

マックス・ヴェーバー
行為者の主観的意味を把握する<理解社会学>(社会唯名論)
『ドイツ・エルベ河以東地域における農業労働者事情』
ユンカー経営の大農場にポーランドからの季節労働者が流入し、東部ドイツが「ポーランド化」しつつあるという「危機的」状況を指摘。
「社会科学および社会政策的認識の客観性」
<価値自由>社会科学が認識の客観性を保つためには価値判断から自由でなければならない。経験科学は人が何を欲し、何をしうるか教えることはできても、何をすべきかを教えることはできない。それは事実判断と価値判断との区別という実証主義的格率に尽きるものでなく、理論と実践的評価の区別による両者の尊厳を守ることにあった。
「ロッシヤーとクニースならびに歴史学派国民経済学の論理的諸問題」
文化科学としての社会科学の認識論的・方法論的な問題にはじめて取り組む。
「社会学の基礎概念」
<方法論的個人主義>
「理解社会学の若干のカテゴリーについて」
<国家><国民><封建性>といった集合カテゴリーを当事者たちの<理解可能な行為>へと還元することによって説明する<理解社会学>の立場を表明。
『経済と社会』『支配の諸類型』『支配の社会学』
<行為>行為者によって主観的な意味を与えられた場合の人間関係。
<社会的行為>主観的な意味を付与されていて、他の人々の行動に向けられた限りでの行為。
<目的合理的行為>目的達成のために外界の動きや他者の行動を期待する行為。
<価値合理的行為>目的に絶対的な価値を与え、状況を度外視してそれを追求する行為。
<感情的行為>一定の目的を持たず、対象への感情の発散のためになされる行為。
<伝統的行為>習慣化して無意識になされる行為。
<支配>権威による支配において、被服従者の服従意欲を支える<正当性>が重要である。
<合法的支配>(依法的支配)形式的に正しい手続によって定められた法規の当事者による順守によって成り立つ、形式合理的な支配と服従の関係。
<伝統的支配>支配の正当性が、昔から存在している秩序と支配者の神聖性に基づいて信仰されている。
<カリスマ的支配>支配者の非日常的資質・能力に対する情緒的帰依に基づく支配。情緒的・没経済的性格に乏しいが、合法的・支配とは対立関係をもっている。
<官僚制>目的合理的な側面に着目して分析。<非人格性><専門化><文書主義>
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
プロテスタンティズムの合理的生活態度は、ブルジョワが利潤追求を正当化するためのイデオロギーとして機能する。
<エートス>人の社会行動をその内側から規制する観念の束。当為的な倫理規則規範ではなく、本人の自覚しえない、自覚できない規範で、集合体や社会階層のうちに共有されている。
<理念型>は、無限に多様な経験的所与の中から、一定部分を思惟のプラグマティズムに従って価値関係的に選択し、それ自体無矛盾な論理的コスモスとして構成された科学的諸概念。自然法則や類概念、平均型ではなく、個々の出来事の因果帰属に仮説構成としての発見的価値を持つ。近代資本主義のような歴史個体の発生的理解や、カルヴィニズムのような観念的形象に対し一義的で明確な表現手段となる。
『宗教社会学論選』
呪縛からの解放という合理化の観点から主に宗教と職業倫理・社会層との歴史社会学的比較研究を行う。<経済合理主義>と各世界宗教がいかなる関連をもっているかという視点から、普遍的な合理化の過程を問う<比較宗教社会学>。

ゲオルグ・ジンメル
『社会学』<社会名目論>
人の<心的相互作用>により社会は成立し、心的相互作用の様式を<社会化の形式>に還元する。これを経済・宗教・文化など社会化の内容から区別することによって、特殊専門科学としての<形式社会学>を樹立。
『社会学の根本問題』『社会分化論』
『貨幣の哲学』
近代社会における人間関係の物象化や技術の支配による疎外が、貨幣を媒介として起こっている。
交換における獲得の困難性(価値)を「秤量の相互性」を通じて表現する貨幣は、社会の信頼に支えられて実体から象徴へと発展する。そして、いかなる目的に対しても手段になりうること(絶対的手段)によって自ら究極目的=神となる。貨幣は巨大な事実的世界を分離・独立させることにより、個人に自由と欲望の文化をもたらすが、その精神的求心性を失わせもする。

マルセル・モース
デュルケーム学派
<新社会学主義>デュルケームの枠を越え、集合表象論を前進。
「贈与論」
贈与を贈る義務、受ける義務、返す義務を伴う交換関係の中に位置づけ<全体的社会給付>として、様々な行動の全体的連関のなかで捉えた。
<クラ交換>部族同士が、宝物を義務的・積極的に交換する風習。交換が人々を巻き込むことが、社会的事実としてものに「価値」を生じさせ、交換が行われることが部族間の友愛の確認になる。
<全体的社会事実>を把握するためには、人を生理学的、心理学的、社会学的な三位一体として扱わなければならない。

ヴィルフレード・パレート
<パレート最適>財の配分が、誰にも不利益ではなく、特定の個人の利益を高める財の再配分が不可能な状態。
『一般社会学大網』
<非論理的行為>主観的目的と客観的目的の一致しない行為。
<残基>行為のそこに潜む半恒久的な動因。
<派生体>行為を合理化し説明する言説・理論づけ。時代や場所により可変的。
<エリートの周流>エリートと非エリートの間に起こる人的交替。<集合体の持続の残基><結合の残基>という権力を獲得しようとする二つのエリートが順次交代する。

ギュスターヴ・ル・ボン
『群集心理』
エリート主義から革命勢力を<群集>と規定し批判。

ジャン・ガブリエル・タルド
『模倣の法則』
「社会は模倣である。」社会を発明の模倣によって拡充する現象と捉え、社会現象を発明と模倣の心理学的事実で説明。
『世論と群集』
<公衆>拡散した群集。新聞など近代のマスコミがもたらす共通関心で結ばれる。日常的な生活空間にいて合理的に思考し行動する。

ロバート・モリスン・マッキーバー
『コミュニティ』
<コミュニティ>は、集団であり、共同生活の全領域であり、最も包括的・自生的なものである。
<アソシエーション>コミュニティの内部にあり、人工的・部分的であり、部分目的・特殊的関心を共同して追求。

モーリス・ギンズバーグ
心理学的色彩の強い進化主義的社会理論を展開。形式社会学を批判し、人の相互作用・相互関係の条件と結果を全体的に研究する<総合社会学>の立場を提唱。
『社会学』『道徳的進歩』『社会正義論』

ウィリアム・サムナー
『フォークウェイズ』
<フォークウェイズ>社会の成員が生存競争のために諸欲求を充足させる過程で、彼らのあいだに無意識的・自然発生的に現れる共通の固定的な構造様式。
<内集団>親族・隣人・取引などの関係を契機に献身や愛情の対象となり、強い結びつきをもつ一群の人々。
<外集団>結びつきの弱い、競争・闘争などの対立関係にある人々。
<エスノセントリズム>自民族中心主義。

ヴェーバー・クライス
アルフレット・ヴェーバー
文化社会学・歴史社会学
『文化社会学としての文化史』
文化運動と文明過程の区別による歴史の多層的把握

ルカーチ・ジェルジ
弁証法的方法の本質を媒介のカテゴリーとしての全体性に求める。
『歴史と階級意識』
マルクス主義の思想的焦点を、主体−客体連関の総合性による資本主義的物象化の打破にみようとする。

カール・マンハイム
知識社会学の創始者
『イデオロギーとユートピア』
知識や思考は存在に拘束されるので、それらを支えている世界観と集団主体に関連づけて捉えねばならない。現実を隠蔽し存在を超越する<イデオロギー思考>、現実を追い越し存在を超越する<ユートピア思考>を共に批判し、<階級をこえて自由に浮動するインテリゲンチャ>によって歴史的社会的な全体状況を捉えた科学としての政治学の成立を目指す。
「社会学の現代的課題」
<一般社会学><連字符社会学><文化社会学>
『変革期における人間と社会』
<大衆社会>を<機能的合理性>の拡大と<実質的非合理性>の浸透によって特徴づける。
『現代の診断』『自由・権力・民主的計画』
<第三の道>(戦闘的民主主義)自由主義の伝統を生かして計画的社会の実現をはかろうとする。
<自由のための社会計画><形式的合理性>を<実質的合理性>に転ずるための制度上の変革だけではない人の変革

フランクフルト学派
マックス・ホルクハイマー
既存社会の再生産に寄与するだけの伝統的社会理論を退け、理性の社会的実現を目指す<批判理論>を提唱。
『啓蒙の弁証法』
自由と解放に結び付いていた啓蒙的理性が、個性の圧殺と文化の貧困化を生む支配の思想に収縮した。
『理性の腐蝕』
理性の道具化を悪の源泉と同一視。

テオドール・アドルノ
ヘーゲル哲学を基礎に社会的事実をその全体性において捉えることに努め、<批判理論>の提唱者となった。
『権威主義的パーソナリティ』
権威主義的パーソナリティの人たちは、体制順応的であり、優位にある人に従順で、劣位にある人には尊大になる。冷淡で厳格な成育のあり方から生じ、大人になれば、不安に苛まれ厳格な見地をとることでしか不安を抑えられない。多義的状況や、矛盾した事柄の無視ができず、ステレオタイプ的思考をおこないやすい。反民族的なイデオロギーを受容しやすいが、自我は不安定である。

ハーバート・マルクーゼ
『エロスと文明』『一次元的人間』
先進工業社会の中で進む<管理社会化>、批判を封殺する<一次元化>を批判。

ヴァルター・ベンヤミン
『複製技術時代の芸術作品』
<アウラ>ルネッサンス以降の芸術をささえた作品=唯一無比のものが「いま、ここに存在する」という雰囲気。
複製技術により芸術は、アウラの喪失を余儀なくされ、他方で芸術至上主義に避難することになる。伝統的芸術の諸概念がファシズムに利用される危険性がある。
『パサージュ論』
商品社会のファンタスマゴリアのなかでどのように人々の知覚の層への書き込みがなされたか。

エーリッヒ・フロム
性格形成過程における歴史的・社会的要員を重視する<新フロイト派>。
『自由からの逃走』
<社会的性格>同一の社会集団、カテゴリーに属する人々に共通するパーソナリティ構造。社会的機構やイデオロギーを補強する。
ナチスの支持者が下層中産階級に多いのは、その社会的性格<権威主義的パーソナリティ>のためである。

フランツ・レオポルド・ノイマン
『ビヒモス』
経済・国家・支配・イデオロギーなど多方面で、国家社会主義の構造を解明。

ユルゲン・ハーバマス
<未完のプロジェクトとしての近代>近代の理念は生活世界を貧困にしていることを認めながらも、合理化の成果を理性的な生活や人の幸福のために活かそうとする。
『公共性の構造転換』
社会的行為を<道具的行為><戦略的行為><コミュニケーション的行為><論争><シンボル行為>に分類。
<生活世界の植民地化>日常生活のいたるところでシステム化が進んでコミュニケーション的行為領域を侵し、戦略的行為領域が増していく。
『コミュニケーション的行為の理論』
生活世界には諸相に関する知識が蓄積されており、個人はコミュニケーション的行為を用いた伝承を通じて、発達し社会化される。さらに個人は生活世界を想像する存在へ発達する。
『社会の理論か社会工学か』ルーマンとの<システム論論争>。
テクノクラート主導によるシステム合理性の追求に反対する。

シカゴ学派
ジョージ・ハーバート・ミード
社会心理学・シカゴ学派の創始者。シンボリック相互作用論の源流。
『精神・自我・社会』
相互作用過程を通じ、人は<他者からの役割期待>を取り入れて、自我を形成する。さらに特定の他者から<一般化された他者>の反応・態度を取得することによって、社会規範を内面化する。
<I>個人の内発的側面。
<me>他者からの役割期待によって形成される社会的側面。
自我は<I and me>の緊張をはらむ相互作用の過程。

チャールズ・ホートン・クーリー
『人間性と社会秩序』『社会過程論』
『社会組織論』
<第一次集団>親しい面接的なつながりと協働によって特徴づけられる「家族」「子供の仲間集団」。個人の社会性や道徳意識が形成され<社会心>が生まれる。
<鏡に移った自己>他者という鏡に映る自分の像。相互作用過程の中で他者の自分に対する反応によって察知される。

ウィリアム・アイザック・トマス
『ヨーロッパとアメリカのポーランド農民』
実地調査と膨大な資料を用い、画期的に実証的研究が明確な社会学理論を背景に行われる。ポーランド農民が、激動する都市において経験する個人的解体現象と、新しい社会組織の形成を明らかにする。
<パーソナリティの類型論><フィステリアン>知的に劣等、外的刺激の欠如による、保守順応型で将来発展の可能性がない。<ボヘミアン>品性の形成が不十分であり、発展の可能性はあるが、社会の枠にとどまらない。<創造的人間>安定し組織されたパーソナリティで、発展の可能性をもち、有用な価値の創造に役立つ。
<社会変動論>社会変動が起こるためには、精神的能力をもつ偉人が存在し、その働きが活かされる文化のレベル、変化を受け入れる人々の態度がなければならない。
<社会解体論>規制の社会的行動規定が構成員の行動に影響をもたなくなること。新しい事態に対応する仕組みや制度が生まれ<社会再組織>に向かう場合がある。
『不適応少女』
<4つの願望論>全て人間行動は欲求によって動機付けられており、これらがある程度、満足されない限りノーマルな生活はできない。
<新しい経験への欲求>新しい刺激を求めたい。<安定への欲求>恐怖に根ざし死を避ける。<反応への欲求>他人の賞賛を求め、また与える。<承認への欲求>社会的地位の追求。
『アメリカの児童』
『未開人の行動』
社会変動について文化の伝播が重要だとする。

ロバート・パーク
<マージナル・マン>複数文化のへ依存のため、統一的な価値体系・思考をしえないことが多い。内面的緊張・葛藤から現実や自己に否定的・攻撃的、厭世的・隠遁的行動を示す。特定の文化に同化している人にはない創造性・革新性が示されることもある。
『社会学という科学への入門』
<社会的距離>ある集団の、他の集団に対する社会関係において感じられる親近性の程度。
『都市』
<人間生態学>文化的なソサエティに対して、競争を基礎的な過程とする生物的な<コミュニティ>を研究する。
<一次的関係>対面的で親密な接触と協同によって特徴づけられる集団関係。
<二次的接触>都市環境における非人格性・非親密性・形式性・非感情性が特徴の関係。

アーネスト・バージェス
「都市の発展」
<同心円構造>都市は<中央ビジネス地域>から<遷移地帯><労働者住宅地帯><中流階級住宅地帯><通勤者居住地帯>へと放射線状に拡大する。←<扇形理論>(ホイト)<多核心理論>(ハリス、ウルマン)
『家族』
<制度から友愛へ>モーレス・世論・法など社会的圧力によって決定される<制度家族>から、産業化により、夫婦と親子間相互の愛情と同意を基礎にする<友愛家族>への推移を捉えた。

ハワード・S・ベッカー
レイベリング論、職業的社会化
『アウトサイダーズ』
<逸脱者>とは、そのレッテルを貼られた人で、社会的相互作用の産物である。

フェリアス

ウィリアム・オグバーン
『社会変動論』
社会変動を文化の進化として考察し、発明・蓄積・伝播・適応の4側面から考察。
<文化の遅滞論>近代産業社会においては、<物質文化>は人のそれへの適応を規制する<非物質文化>(慣習・信仰・法律)より速く変化する。

ルイス・ワース
『ゲットー』
「生活様式としてのアーバニズム」
<アーバニズム>(都市に特徴的な生活様式)社会的に異質な個人の、総体的に大きい、密度のある、永続的な集落としての都市が生み出す。人間生態学、社会組織、社会心理学の3側面からとらえられる。<第二次接触>(インパーソナルなつながり)を強調。

ハーバート・ブルーマー
「集合行動」
集合行動の類型を提示し、それぞれに特有な相互差用の形態を分析。
『シンボリック相互作用論』
<ルート・イメージ>人は、他者とシンボリックな水準で意味に則って相互作用し、社会はその相互作用からなっている、とする見方。
<感受概念>研究者が対象世界を捕らえるには、概念を適用するのではなく、経験世界のあり様を「感受」しなければならない。概念はそのための道具・ガイドであり、世界とのかかわりを通して鍛えられていくものである。

サミュエル・ストゥファー

ヒューズ

社会システム論
タルコット・パーソンズ
<ホッブス的秩序問題>能率の面で合理的に目的−手段を結びつける功利主義の観点からは<社会的秩序>を説明できない。社会が「万人の万人に対する闘争」なら、行為と社会の秩序や均衡はいかにして保たれるか?
『社会行為の構造』
<行為の準拠枠>行為者・目的・状況・規範的思考の枠内でいかなる場合に行為は秩序あるものか?
行為には、実証主義的伝統が示唆する<条件的・事実的要素>と、理想主義が示唆する<共通価値>(<究極的目的>と<道徳的規範>)の要素がある。行為はこの両要素の緊張であり、目的や規範へ同調しようとする人の努力や意志を問題とした<主意主義的行為論>。
『社会体系論』 <構造−機能分析> <構造−機能主義>
<行為システム>−行動有機体・パーソナリティシステム・文化システム・社会システム
システムの構造は<役割>のネットワークであり、役割構造が制度化されることが、社会システムが均衡するための条件となる。
<パターン変数>相互行為過程に規則性をもたらす共通価値を分類するための概念図式。
<普遍主義>他者にかかわる判断を、その人との固有の関係や感情とは関係なく、一般的に妥当するような基準でおこなうこと。
<業績志向>他者にかかわる判断を、その人が何であるか(性別・年令・身分など)でなく、何ができるか、何をなしえたかによってにもとづいて行うこと。
<AGIL図式>行為システムが直面する問題を外部的−内部的、手段−目的のニ軸で分類。システム全体の機能的結び付きや過程を記述。
A(適応)システムの活動で必要な資源を外界(環境)から調達する働き。外的環境の修正、制御などを含む。→経済
G(目的達成)調達された資源を動員、管理して、システムの目標を達成する働き。→政治
I(統合)システム内の諸部分の連帯を維持し統合する働き。→コミュニケーション、調停
L(潜在性)システム諸部分の活動を適切に動機づけ、全体の活動パターンを維持するとともに、その過程で生まれる緊張を処理する。→教育、文化
下位システムは、固有の<一般化されたシンボリック・メディア>を媒介とし、制御される資源の動的な境界相互交換を行い、他のシステムを補完する。
<サイバネティクス>システムの中では、情報量は多いがエネルギーが低い部分が、情報量は少ないがエネルギーが多い部分をコントロールする。
<サイバネティック・ハイアラーキー>情報量の多い、文化システム、社会システム、パーソナリティシステム、行動有機体の順に他のシステムをコントロールする。文化システムが価値の一般化の段階に達したかが、社会の進化にとって重要な意味を持つ。

ニクラス・ルーマン
理性啓蒙は理性という限定化された知を特権化する、一方、人は理性的能力をもつという前提、正しい状態の創出への楽観主義といった不十分性がある。<社会学的啓蒙>はそれらの予断を取り払い社会システムの複雑性を理解する能力を開発しようとする。→<啓蒙の明澄化>理性啓蒙に対する新たな価値の提出ではなく、啓蒙の眼界を見極めようとする。
「全体社会分析の形式としての現代システム理論」
ハーバマスとの論争の契機。→『批判理論と社会システム理論』
『社会システム理論』<機能−構造分析><等価機能主義>
<ダブル・コンティンジェンシー>自我・他我の相互行為の不安定性・不確定性は互いの選択に依存する。(コンティンジェンシー)それは、自我・他我の両方に妥当する。
<複雑性>システムにおいて多様な関係が可能にする概念。<意味>が、過度の複雑性を回避し選択を可能にする。
<ゼマンティーク>社会システムの中の環境や自己を意味づける意味のシステム。
<システム合理性>社会システムが複雑性を解決し、選択=決定を可能にすること。
<差異論的アプローチ>システムの同一性と差異を問題とする。
<システムの自己準拠>自己の構成を自ら再生産するシステム。要素を直に環境から取り入れるのではなく、そのシステムのゼマンティークに合致するものとして要素にする。自己準拠システムは自己を観察するというかたちで自己へと回帰する。
<オートポイエーシス>(自己生成)社会システムは環境に対して閉鎖的であり、環境をシステム自らが意味づけ、自らのゼマンティークをとおして再構成する。
<メディア>コミュニケーションの不確定性をより確定的にする。<理解に関するメディア−言語><伝達に関するメディア−文書などコミュニケーションを拡充するメディア><結果(動機づけ)に関するメディア−シンボルによって一般化されたコミュニケーション・メディア(心理、愛、所有権/貨幣、権力/正義など)>
『目的概念とシステム合理性』『法社会学』

G.J.ミラー
『生命体システム』
システムの生命体のレベルでは、ある種の決定的なパターンが創発し、有機的特性が優越する。

アルヴィン・ワード・グールドナー
『産業における官僚制』
<代表官僚制>
規則の制定が管理者と労働者どちらの利益も正当化する、双方の合意と参画による組織様式。
『西欧社会学の危機の到来』
社会学理論は、歴史・社会の客観的条件や文化状況、個人的経験、それらの<下部構造>から自由ではありえない。機能主義とマルクス主義は19世紀の下部構造から形成されている。これが現代の理論と対決させられる時が来ている。
<自己反省の社会学>
既存の社会学に対して、主体と客体の同一性、総合的人間としての社会学者の日常的営為と明識への到達、社会的責任と自覚を通じての自己と社会の変革を主張。
『山猫スト』

ネオ機能主義
アレクサンダー

コロミー

現象学的社会学
アルフレッド・シェッツ
『社会的世界の意味構成』
他者の行為をいかに理解できるかという問題を、行為に対するわれわれの意味付与活動から説明し、さらに<生活世界>としての常識的知識や日常的世界に注目することで理解社会的な究明を行った。
『生活世界の構成』
日常生活世界の経験は、<わたしのいまここ>を起点になされなければならない。「いまここ」とは、科学や空想的想像の世界も含んでいる。「いまここ」を主題化するためには、その超越の様相を主題化しなければならない。
<社会的世界>小さなあるいは中位の超越によって構成される。
<多元的現実世界>大きな超越によって構成される。
<レリヴァンス>個人や集団が自分達にとって有意味な生活領域を特徴づけるときの評価や判断の基準になるもの。レリヴァンス体系が交差したり共有したりするとき、人々の相互理解が可能になる。

ペーター・L・バーガー
『現実の社会的構成』
主観的観察と客観的観察との弁証法的な相互媒介メカニズムに注目しつつ、人間主義的視点から知識社会学や宗教社会学で業績をあげる。
『聖なる天蓋』
秩序原理としての宗教やその世俗化、それにまつわる疎外の問題を近代の弊害とみなし、宗教の復権を唱える。

トーマス・ルックマン

エスノメソドロジー
ハロルド・ガーフィンケル
『エスノメソドロジー研究』
社会秩序ないし日常における暗黙の了解事項のもろさや不安定性に着目し、社会生活の基礎にある規則の便宜性を暴き、日常性に対する批判を提起する。
<期待破棄実験>シェッツの自然的態度を意図的に破棄し、お互いにこの態度を破棄したならば、社会的世界は意味をなさない。
<リフレキシビリティ>行為は、当の行為の方法や理由を含みながら遂行される。→行為は<自己説明的><自己組織的>
<解釈のドキュメント的手法>反映性を基礎とした理解の仕組み。

H.サックス
会話分析
<文脈依存性>発話の意味はその発話がなされる状況や文脈に依存し、言葉の抽象的な定義だけでは決定できない。
人の文脈依存的な表現の理解を、発話と発話の<継続的組織>として捉える。

構造主義
クロード・レヴィ=ストロース
『親族の基本構造』
親族は女性の交換システム。
<インセンスト・タブー>人の自然状態である内婚集団を克服し文化状態が形成されるためには外婚の強制によって、分立する集団の中に関係が展開する必要があった。それは、道徳でも本能でもなく、その中間の社会の根本的能力である。
<交叉イトコ婚>交叉イトコ(異性のキョウダイの子供同士)との結婚を重視する未開社会が多く存在する。女性の<限定交換>と<一般交換>を続けることを抑制する制度。
『構造人類学』
人類の根源的論理がつねに異質の二つの部分の対立と連帯に根づいている。
『神話学』
神話は精神の意識的・実践的なものから解放されたものであり、無意識の普遍的秩序を解明する対象である。
<神話的思考>現実社会の矛盾を解決するための論理的モデルの提供という本質的に認知的な機能を果たす。
『今日のトーテミズム』
<トーテミズム>動物・植物を社会集団のカテゴリーとして用いる宗教儀礼。
レヴィにとってトーテミズムは、自立的な儀礼制度ではなく、社会的現実の中で働く野生の思考によって生み出される<分類体系>の一側面である。自然種と社会集団の相同性に基礎をおく、それはシニフィエとシニフィアンの対応関係に相応する。
『野生の思考』
<野生の思考>は科学的思考と共存し現代文明の基層をなす。手元にある雑多で意味に満ちた記号やイメージのストックからの選択・結合を行うという点で知的な<プリコラージュ>といえる。
<栽培思考>精密科学

ロラン・バルト
ソシュールの記号学を発展させ、文化・社会現象やテクスト、イデオロギーの記号学的分析を試みた。
『零度のエクリチュール』
<エクリチュール>共有的なラングと私的な文体の間で機能する歴史的連帯の行為。
『神話作用』『モードの体系』『テクストの快楽』

ルイ・アルチュセール
『マルクスのために』『資本論を読む』
マルクス主義のヒューマニズム的傾向を批判し、科学的把握を要請。
<重層的決定の理論>矛盾を、それの作用する社会の全体構造に規定されたものとして把握。

ミシェル・フーコー
『狂気の歴史』
精神分析は、権力によって維持され、「正常」と「狂気」の差異を作り出すことで「患者」を生み出す制度である。
『言葉と物』
知は多様な言説として現れる。言説は相互作用し、諸言説の空間<エピステ−メー>を作り出す。エピステーメーにおいて諸言説は編成・再編成され(フォルマシオン・ディスクルーシブ)、その時代の秩序を形成する。
『監視と処罰』
権力は日常的な相互作用のネットワークにおいて作用する。権力は社会に内在し、社会的関係を生み出し、生産的な役割をもつ。
<規律=訓練>身体の細部への権力の行使。身体は規格化され、学校や工場に配分される。
『性の歴史』
<生−権力>(人口の生−政治学)繁殖・誕生・健康など種・生物としての身体を調整・管理する。性はその権力に組み込まれ、身体を規律し、人口を調整する。

ポスト構造主義
ジャン・ボードリヤール
マルクスの価値論、ソシュールの記号学、モースの贈与論、バタイユの供犠論などを積極的に摂取しながら、生産(モノの効用)から消費(モノの記号化)への転換、記号の浮遊性、シミュラークルの展開、批判原理としての象徴交換を説き、高度産業=消費社会の構造や意味について柔軟な視点から議論を展開。
『物の体系』
現代の消費社会では、モノは欲求対象としての物財的な生産物ではなく、消費という体系的な記号操作活動のなかに組み入れられる<記号>となっている。記号としてのモノは相互に、非本質的で周辺的な差異のシステムを構成し、消費者の社会的地位をコード化し、彼に「個性」を賦課する。モノの記号性はモノについてのコノテーション的な言説としての広告や、生産よりも消費を先行させるクレジットによって促進させられる。
<日常的ルシクラージュ>差異化を効果的に行うために、流行などのコードの学習を絶えまなく行うこと。
『消費社会の神話と構造』
消費社会における各種の商品は、その使用価値だけで用いられるのではなく、社会的権威や幸福感といった他人との差異を示す「記号」として現れる。ここに消費社会の秘密を解く鍵がある。こうしたモノ=記号を生産されたモノに限定することなく、社会の森羅万象(ファッションから広告、教養、健康への強迫観念、暴力まで)に当てはめて考察し、現代社会の神話の構造をえぐり出している。
『象徴交換と死』
マルクス主義と資本主義擁護論の双方に共通する生産中心主義の理論を批判し、すべてがシミュレーションと化した現代システムの像を提示した上で、<死の象徴交換>による、その内部からの<反乱>を説く。
<シミュラークル>本物−偽者、オリジナル−コピー、実在−表象、指示対象−記号の区別が消え、コピーやイメージや記号はオリジナルや実在から解放され、前者の項の交換・組み合わせのシミュレーションが展開する。
<ハイパー・リアリティ>メディアが人に見ることを可能にした「リアリティ」(現実の出来事)はもはや存在しない。「リアリティ」は、その出来事を地球規模の出来事として規定するメディアに映し出された一連のイメージである。人々の実際の行動とメディアによるイメージの混合物から構成される。
『湾岸戦争は起こらなかった』
湾岸戦争は、メディア時代の戦争であり、テレビ向けの見世物であった。そのなかでブッシュとフセインは、CNNによるテレビ報道で、世界中の視聴者と一緒に何が実際に「生じている」のか見守った。

ジル・ドゥルーズ
『差異と反復』『意味の論理』
同一性の原理を崩壊させる「模倣」の世界を志向する哲学。
『アンチ・オイディプス』
無意識に対して精神分析が提供する家族モデルを拒絶し、欲望と現実の接合を目指す。
『千のプラトー』
<生成変化><ノマド><戦争機械><欲望する機械><器官なき身体>
<リゾーム>根茎のように地下を無方向的・他方向的・重層的に横断する傾斜存在感。

ジャン=フランソワ・リオタール
『ポスト・モダンの条件』
<「大きな物語」の危機>近代の言説が、主体の解放といった大きな物語によって合法化されたのに対し、ポスト・モダンの知はそれへの無効性・不信によって定義される。相互に異質な諸要素が、相互に繰り広げる複数のゲームのような様相を呈する。

カルチュラル・スタディーズ
スチュアート・ホール
『現代社会を理解する』
<カルチュラル・スタディーズ>批判的研究の性格をもち、文化による支配の構造に関心をもつ。文化と社会の関係をエスノグラフィックな方法によって追求し、イデオロギー論や記号論といった理論的視点から検討を行う。

ウィリス

モーリー

現代社会学
ソースタイン・ヴェブレン
『有閑階級の理論』
<誇示的消費>有閑階級に属していることを誇示するために、富や財あるいはサ−ヴィスを惜し気もなくかつ無駄に消費する行為。
『営利企業の理論』
<ビジネス>金銭の獲得を目的とし、浪費をしている。
<インダストリー><生産者精神>を基本として人間による自然の支配を企図するもの。
『技術者と価値体系』
<テクノクラシー思想>生産者精神を担う技術者こそが社会変革の要にならねばならない。

ジェームス・ボールドウィン
タルドの模倣と暗示の理論を社会的人間論の領域に適用し、人の自我が他者との模倣=暗示による相互作用を通じて段階的に成立することを論じ、自我と社会との不分離な関係を強調。
『幼児と民族の精神発達』『精神発達の社会的・倫理的解釈』

ジョージ・マ−ドック
『社会構造』
核家族は、単独にあるいは複合的家族の構成単位として、人類社会に普遍的な社会集団であった。
『世界の原始諸民族』『世界文化のアトラス』

エドワード・ショーター
『近代家族の形成』

デヴィッド・リースマン
『孤独な群集』
第二次大戦後、受動化したアメリカ中間層を<他人志向型>として捉え、ユートピア提示による自主性の回復を主張。
『個人主義の再検討』
ヴェブレンの制度主義を批判し、新しい個人主義を主張。
『何のための豊かさ』

チャールズ・ライト・ミルズ
『ホワイト・カラー』
<中間集団>第一次集団と全体社会との間にある集団。多元的社会の構造基盤を形成し、エリートの一方的な権力行使を防止し、デモクラシーを維持する。その脆弱化を指摘。
<ホワイト・カラー>社会・生産物・自我から疎外された存在、自由や合理性を奪われ、政治的麻痺状態であり、意識せず近代社会の先頭に立つ哀れな存在である。
『パワー・エリート』
経済・軍事・政治の制度的秩序の頂点に立って、支配的地位を占める人々。社会構造論とのかかわりでこの概念を論じ、アメリカの支配グループをえぐり出す。
『社会学的想像力』
私的な問題と公的な問題、個人的な生活と社会的・歴史的構造的とを関連づける能力。誇大理論と経験主義を批判的に乗り越えていくため、古典的社会学からこの能力を受け継ぐことを主張。
『キューバの声』

ルース・ベネディクト
各文化をそれぞれに固有な様式で組織された統合体と見て、そこに生まれた人は<型>によって方向づけられるという文化相対主義。
『文化の型』
<アポロ型文化とディオニソシス型文化>アポロ型は禁欲的な目的意識にもとづく権力志向。ディオニソシス型は欲求解放の美意識を中心として、人格と人格のふれあいの関係を志向する。
『菊と刀』
<恥の文化>日本の文化は、恥辱感を行動の原動力とし、外面的な制裁(他人の噂や嘲笑)によって善行がおこなわれる。
<罪の文化>絶対的な規範に従う道徳を説き、良心(超自我)の啓発に依存する、西洋の文化パターン。内面化された罪悪の確信に基づいて善行がなされ、他者に知られない非行でも罪の意識に苛まれる。

ジョルジュ・ギュルヴィッチ
<深さの社会学>社会現象はその観察可能性、経験の間接性、予測・予知の可能性、被決定性においていくつかの層に区別され、全体的社会現象として理解されなければいけない。
<全体的社会現象>社会的現実を、形態学的レヴェルから流動的な集合心性に至るまで各層において、動的関係にある捉える。
『法社会学』『社会学の現代的課題』『社会階級論』

ルネ・ケーニッヒ
『現代診断学』「社会学の現代的課題」
<現代学>デュルタイがはじめて用いた、特定の現在の意志から出て、再びその現在に働きかける理論という概念。常に特定の現在に結び付けられており、その問題の追求を任務とする。

ヘルムート・シェルスキー
改良主義的立場
『現代におけるドイツ家族の変化』
戦争直後のドイツ家族の混乱と困窮を克服しなければ、家族生活の全てを喪失する。
『懐疑的世代』
戦後世代は、ロマンティックでも、イデオロギー的でもなく、成熟し具体的・現実的で非政治的である。

ポール・ラザーズフェルド
<地位付与の機能>マスメディアに取り上げられること自体が、人や事物に正当性を与え威信や権威を高める。
『ピープルズ・チョイス』
<コミュニケーションの二段階の流れ>マスコミからの情報は<オピニオンリーダー>を通して、集団内にパーソナル・コミュニケーションで伝達していく。
<潜在構造分析>態度測定などに際して質問項目間の関係を分析する。
<リインフォースメント>受け手の意見や態度の妥当性・正当性がマスコミとの接触過程で再確認され、強化される。
『パーソナル・インフルエンス』
人々の態度や行動を方向づける個人的な働きかけがもっている影響力。マスコミよりも、家族・友人・仕事仲間などによる説得の方が、投票行動に影響する。

アーヴィン・ゴッフマン
『行為と演技』
<ドラマトゥルギー>日常の相互行為を劇場の相互行為とみなす。パフォーマ−は、役割をうまく演じるべく<印象管理>を行う。
<ヴァネラビリティ>相互行為秩序の脆さ。相互行為の場面と秩序は、それが排除しているものによって脅かされつつ、維持されている。
『儀礼としての相互行為』
<相互行為儀礼> 人は、自尊心をもつこと(自分の自己を守ること)と思いやりをもつこと(他人の自己を守ること)を期待され、それを相互行為儀礼として実践する。各人が落ち着いて適切に振る舞うために必要とされる扱いを互いに保証するためのものであり、それを実行することが道徳的に期待されている振る舞いでもある。
<回避儀礼>個人の領域を侵さない。
<呈示儀礼>個人に対する適切な関心を示す。

イヴァン・イリイチ
『脱学校の社会』 『脱病院化社会』
近代学校制度を批判し、制度の根本的な改革を提案。近代医療制度が結果的に人の健康を損なうと警告。
近代的制度、科学技術や法体系などの<道具>の発達が人を奴隷化するとみて、<共生社会>を主張する。
『シャドウ・ワーク』
家事労働を、市場経済が機能するために必要とされるが、その背後あるいは外部にあって、フォーマルな市場経済に登場しない労働として分析。

マーシャル・マクルーハン
『グーテンベルクの銀河系』『メディア論』
メディアは人の諸感覚の拡張。
「メディアはメッセージである。」メディアの様式は、伝えられるメッセージそのものよりも、社会の構造にはるかに強い影響を及ぼす。
<グローバル・ヴィレッジ>情報ネットワークにより、あたかも地球が一つの村になったかのような状態。
<クールなメディア>高精度で完成度が高く、人の関与する余地がない。(映画、小説、新聞、写真、ラジオ)
<ホットなメディア>低精度で完成度が低く、人の関与を誘う。(白黒テレビ、詩、落書き、電話)

ポール・レヴィンソン
『デジタル・マクルーハン』
インターネットによってテクストが電話線を通じて伝達されると、クールで魅力的になる。そうした表現は人を欲求不満にさせるので中毒になりやすい。

ホセ・オルテガ・イ・ガゼット
『ドン・キホーテに関する思索』
「私は、私と私の環境である。」
『大衆の反逆』
<大衆>自らを評価しようとせず、みなと同じだと感ずることに安心する人々。
虚構の生の中で暮らしている大衆の典型とは、教養の喪失した専門バカの科学者であり、その一方で国家による「生」の管理が始まった。模倣欲望の一般化を大衆社会の本質と捉える。

ハンナ・アーレント
『全体主義の起源』
全体主義は資本主義や社会主義のタームでは説明できない。
全体主義は、不確定で<アモルフ>な大衆に全体的なイデオロギーを示し、それをテロル(警察権力と強制収容所)の使用によって実現した。
『人間の条件』
人の活動を労働・仕事・活動に区分。
<公共生活>(近代的な社会領域)の概念を構築し、対話的共同体による<活動>の復権を唱えた。
『過去と未来の間』

アルビン・トフラー
『第三の波』

ジョルジュ・バタイユ
『呪われた部分』
人間の経済とは過剰エネルギーを浪費する過程にほかならず,戦争・贈与・供儀などにそれは典型的に表れている。しかし,そうした事実はさまざまな形で隠蔽されており,いわば「呪われた部分」となっている。

ダニエル・ベル
『イデオロギーの終焉』
マルクス主義のような大きなイデオロギーの時代は終わり、イデオロギーの終焉のもとで予測と計画を担うテクノクラート中心のシヴィル・ポリティクスの時代に入った。
『脱工業社会論』
工業化社会の禁欲と勤勉の生活倫理ではなく、情報を中心的資源とした<脱工業科社会>の新しい社会倫理と社会統合のメカニズムが必要である。

スーザン・ソンタグ
『反解釈』
「内容」や「解釈」を偏重するこれまでの批評に対し、「形式」を感受する官能美学の復権を唱えた。批評の機能は、作品がいかにしてそのものであるかを、いや作品がまさにそのものであることを、明らかにすることであって、作品が何を意味しているかを示すことではない。解釈の代わりに、われわれは芸術の官能美学を必要としている。
『写真論』

ウィリアム・コーンハウザー
<社会類型論>エリートへの接近可能性と大衆の操作可能性とを組み合わせて、両者がともに高い社会類型として大衆社会を位置付ける一方、貴族主義的批判と民主主義的批判の二つの系譜を区別した。共同体社会、多元的社会、大衆社会を区別。
<中間集団衰退説>中間集団の機能的衰退から大衆行動の発生を捉える。
<多元的社会>安定した中間集団をもち、自由と多元性を保持する条件が、エリートと非エリートの間に生まれ、民主主義的諸制度維持のぜんていとなる。

ペーター・ブラウ
『権力と交換』
<非経済的交換(社会的交換)の経済学的考察>社会的交換は、報酬をもたらす他者の反応を条件とする行動んみから成り立つ。
不等価の贈与によって、地位の上下、権力関係が生じる。
<内的報酬><外的報酬>
『アメリカの職業構造』
主要受益者を基準に<共益組織><ビジネス組織><サーヴィス組織><公益組織>に区分。

ジョージ・ホマンズ
『ヒューマン・グループ』
集団を活動・感情・相互作用の相互依存関係からなる社会システムとして独自の理論的図式を展開。
<インターナル・システム>相互に対する感情の表現ともいうべき集団行動。集団内部の自立的な側面。
<エクスターナル・システム>相互作用の関係のうち、環境によって規定され、環境と相互関連にある側面。

ホアン・ホイジンガ
歴史における非合理性・非常同性を重視。
『中世の秋』
中世人の情動生活を描く。
『ホモ・ルーデンス』
「遊戯する」という行動も人の本質のひとつであり、文化は遊戯の中で発生・展開し、遊戯の結果として形成された。人間存在の本質が遊びにあるとして、人間の文化現象を遊戯という観点から見直す。

ロジャー・カイヨワ
『遊びと人間』
遊戯は、自由な活動、分離した活動、不確定の活動、非生産的な活動、ルールのある活動、虚構的活動である。
<遊びの四分類><アゴーン>能力主義による競走。<アレア>偶然性に依拠。<ミミクリー>物真似を本質とする。<イクリンス>心地よい眩暈それ自体。
『神話と人間』『人間と聖なるもの』

ロバート・キング・マートン
<機能主義>事物の普遍的な実体ではなく、それと他の事物との相互関係や相互作用から事物の本質を探る。
『社会理論と社会構造』
<中範囲の理論>現実の観察に基づく経験仮説と巨大な概念図式の双方の機能を活性化させていく。
<潜在的機能>特定の単位の参与者によって意図されず、認知されていないが、その単位の調整・適応に寄与する客観的諸結果。(予期せぬ効果)
<顕在的機能>役割・制度・習慣などが果たしている機能が、社会の成員に意図され、認知される場合。
<順機能>社会システムの活動・維持あるいは存続に寄与する働き。
<逆機能>ある全体を構成する諸部分が、その全体の維持・存続を脅かす作用。
<官僚制の逆機能>規則の支配や専門化が、<過剰同調><訓練された無能力>を生み、組織にとってマイナスとなる場合がある。
<準拠集団>人がものの見方や態度を形成・変容する拠り所となる集団。<規範機能>その集団に受容されたいと欲する個人が、その集団規則にそって行動する。<比較機能>個人が自己や他者を評価する際に判断基準となる。
「社会構造とアノミー」
<アノミー>ほとんどの社会成員が追求する<文化的目標>と、この目標達成のために制度的に認められている<制度的手段>との矛盾から生じる無規制状態。
「自己成就的予言」
<自己成就的予言>虚像の規定、信念、思い込み、決めつけが、それにもとづいて行われた行為を通じて現実の物となること。
『科学社会学』

ジェームズ・コールマン
『社会理論の基礎』
<合理的選択理論>の課題を、ミクロからマクロへと転換される<ミクロ現象の集成メカニズム>の追求におく。
<不可能性定理>集合的な選好性を最大化する試みを個人の選好や選択から必ずしも引き出せない。
<ゲーム理論>個々人の合理的行為は、集合的には合理的とはいえないナッシュ均衡にしばしば落ち着く。
<フリー・ライダー問題>人は合理的に行動するなら集団行為に加わらず、共通の利益には貢献しないで、分け前と恩恵だけにあずかる。
現代社会において<形式合理性>の進展はさけがたい、家族や近隣を基礎とした基本的構造は崩壊し、意図的に構成された社会構造と合理的な行為者が出現した。
<コーポレートアクター>社会全体にとって望ましい成果を引き出す者。

グレゴリー・ベイトソン
行動科学の機械論敵思考を批判し、サイバネティクス思考を導入。
『精神の生態学』
<ダブル・バインド>「私の命令に従うな」という命令に従う際に生じる、心理的拘束状態。

ピエール・ブルデュー
『実践感覚』『ディスタンクション』
<認識論的切断>日常知だけではなく、科学的客観性の幻想からの切断。研究対象の客体化と同時に、客体化する主体の客体化を行う。
<ハビトゥス>個人の知覚や評価や行為を持続的に方向付けていく、社会に植えつけられた性向。社会化の過程において、個々人に一定の規則性のうえに行動を方向づけるメカニズムが形づくられてゆく。
<プラティック>ハビトゥスを通して組み立てられる、実践的な行動。
<場>個々の実践が展開される相対的に自律化した社会空間。
<イルーシオ>それぞれの場の成立を可能にしている共有された幻想。
『遺産相続者たち』『再生産』
<文化再生産論>それぞれの文化は学校という市場のなかで一種の資本として機能する。この<文化資本>の格差が、ブルジョア子女を高等教育のなかで多く生き残らせる。
<象徴的暴力>様々な意味を力によって押しつけながら、その根底にある力関係を覆い隠し、その意味を正当なものにするような象徴作用。

ベネディクト・アンダーソン
『想像の共同体』
近代における出版資本主義やメディアの発達、さらには教育制度や行政制度の整備によって、はじめて共通の「国民」意識をもつことが可能になった。
<遠隔地ナショナリズム>グローバリゼーションの進行によって、「国民国家」は内部に外国人・移民が流入しており均質性が崩れている。

イマニュエル・ウォーラスティン
『近代世界システム』
<世界システム>単一の分業で結ばれ、複数の文化を包合する世界帝国や世界経済を意味する。世界システムは<中核><反辺境><辺境>からなる。
<ヘゲモニー国>中核国の中でも最も勢力のある国。19世紀にはイギリスによる西欧を中心とする<世界資本主義>によって世界はシステム化されていた。
『資本主義世界経済』『史的システムとしての資本主義』

モデルスキ
ネオリベラリズム

エドワード・サイード
『オリエンタリズム』
オリエンタリズムのテクストは、あるがままの表象<リプレゼンテーション>ではなく、代替<リプレゼンテーション>としての表象の不可視でない形跡に力点を置いている。
学術を含む観念体系と政治権力の内在的共犯関係を解明。
『イスラム報道』

フランシス・フクヤマ
『歴史の終わり』

サミュエル・P・ハンチントン
『文明の衝突』
冷戦後の世界の枠組みを、八つの文明圏の内部結束と、相互の衝突という視点から描く。

アラン・リピエッツ
『レギュラシオンの社会理論』『ベルリン−バグダッド−リオ』

ポール・ヴィリリオ
「速度」が人間の知覚、意義、戦争のテクノロジー、科学技術に与える変容について分析し続けている。
『速度と政治』
「速度」に対する徹底的な歴史的考察と哲学的思索を通じて、知の新たな可能性を開き続ける思想家である。本書はその彼の思想の原点となった著作。ヨーロッパにおける戦争の発展史をたどりつつ、同時に資本主義という「もうひとつの戦争」の進化の様を読み解き、「速度術」をキーワードに、時間戦争としての現代社会の帰趨をあざやかに描き出している。
『戦争と映画』
写真の発明と映画の登場以後、映像技術の進展はつねに軍事技術の革新と歩調を合わせてきた。20世紀における知覚の変容の歴史を辿り技術の本質を抉り出す。
<純粋戦争>ミサイルの打ち合いだけが戦争なのではなく、知とテクノロジーがその根幹において軍事化と結びついている現代の状況。
『電脳世界』
通信と交通の高速化により空間的隔たりが消滅しつつある世界で、どのような事故がありうるのかを多面的に考察。技術的進歩への過信を批判し、科学のあらゆる発明は同時に新たな事故の発明でもある、という事実を見つめ直す。核の抑止力から情報の抑止力の絶対性に移行しつつある現在、一人一人が抵抗の言葉を練り上げ、連帯することを教える。

ウルリッヒ・ベック
<コンテナ社会>従来の国民国家は、一つのコンテナとして労働力、経済、文化、政治などほとんどの要素が内包された、相互に区別され孤立したシステムであった。グローバリズムの進行により、コンテナ社会として国民国家を分析することはできない。

ジークムント・バウマン
『リキッド・モダニティ』
重く堅固な、「ハードウェア」型近代から、軽く柔らかな、「ソフトウェア」をキーワードとする時代へ。「いま」という時代がどこへむかって流れているのかを描く。

アンソニー・ギデンズ
『社会理論の最前線』
<構造化論>個人と社会は相互に基礎づけあう。構造とは社会システムを再生産するための、個人が依拠する<規則>(ルール)と<資源>(リソース)である。
<構造の二重性>行為者は、規則と資源という構造特性を用いることによって他者との間に行為(実践)を形成する。他方その構造特性は、行為によって個々の具体的場面で再生産されていく。
『近代とはいかなる時代か』<モダニティ論>
<部族社会>対面的な相互行為を中心にした、時間−空間の分離がみられない社会。人々は<いま・ここ>という空間に閉ざされており、特定の他者との関係に閉ざされている。
<伝統的社会>地域的な分業、都市と農村の分離と階級の分化。時間−空間の分離がはじまるが、地域が固有の文化や宗教などの伝統をもち、固有の親族組織が地域社会の核となるので、システム統合の面で近代社会と大きく異なる。
<近代社会>時間と空間の分離が推し進めらる。社会の再帰性が高まる。自由市場や官僚制的組織などグローバルな原理が浸透し、<いま・ここ>を共有しない他者との関係が支配的になる。グローバルな特徴をもつ情報の拡大と浸透による時間と空間の分離は、メディア化された社会空間を拡大させ、<脱埋め込みメカニズム>(社会活動をローカルな文脈から引き離し、社会関係を時空間の広大な隔たりを越えて再組織化していく)を進行させる。伝統的社会の基準が、新たな情報のもとで問いなおされなければならないので、<社会生活の再帰性>の増大が起こる。
『親密性の変容』<純粋な関係論>
<純粋な関係>再帰性の高まった人間関係。経済的条件や親族間の関係などといった「外的基準」に依存せず、成員同士が結びつきから充足を得、歴史を共有し、解散することもある流動的で開かれた、家族や友人関係、恋人関係など。
純粋な関係の拡大は、<「民主制」の確立>の萌芽を意味する。
『第三の道』
第三の道の政治か目指すところを一言で要約すれば、グローバリゼーション、個人生活の変貌、自然と人間との関わり等々、私たちが直面する大きな変化の中で、市民一人ひとりが自ら道を切りひらいていく試みを支援することに他ならない。グローバリズム、市場主義と、社会の安定は両立できる。冷戦以降の欧米政治の基本理念となった考えを初めて包括的に明らかにし、ブレア政権の政策に多大な影響を与えた。

日本の社会学
外山正一
日本の社会学の開拓者。スペンサーに傾倒。
古代の婚姻・家族・政治制度を実証的に研究。
『民権弁或』

建部遯吾
『理論普通社会学』
コントの学説に東洋哲学を加味して、組織的な社会学体系を樹立。儒教的理念による社会有機体説と社会進化論の統合を統合。

米田庄太郎
タルド、キディングスの影響から、社会現象の背後にひそむ心理的問題に注目し、心理学的社会学や形式社会学の先鞭をつけた。
『輓近社会思想の研究』『現代社会問題の社会学的考察』

高田保馬
綜合社会学を否定し、社会の本質を<有情者の結合><望まれた共存>にあるとする<心的結合説>にたって、普遍的特殊科学としての社会学を確立。<結合定量の法則><基礎社会拡大・縮小の法則><基礎社会衰耗の法則>を提起して社会構造や社会変動の分析に道を拓き、人口中心の<第三史観>を唱える。<力の欲望>によって分業・階級・国家などを説明し、<勢力説>を展開しマルクス主義と一線を画す。

戸田貞三
『家族の研究』
日本の結婚後すぐの離婚が多いのは、結婚・離婚が男子の便宜によって行われるからである。
『家族構成』
家族の特性は、成員の感情的融合、非打算的信頼感、消費における共産的関係にある。その内的契機は家族を夫婦と未婚の子供による小家族にする普遍的傾向がある。
日本には、家父長制度があり多くの親類を取り込む制度的傾向があり、小家族へと向かう普遍的傾向と拮抗する。

松本潤一郎
『社会学原論』
<総社会学>社会学は<体系科学>であり、<社会集団論><社会過程論><社会形象論>を総体的に把握すべきである。
<松本・新明論争>松本の総社会学の諸部門の連結が緊密でないという批判。
『集団社会学原理』
<社会集団論>
社会集団の構成原理<相互接触><ゲマインシャフト><ゲゼルシャフト>
<社会過程論>
社会過程の様相<社会的行為><社会関係現象><集団活動>
『文化社会学原理』
文化とは社会過程の中に生成した<社会形象>。
文化の三分的企図<物質文化><精神文化><社会的ないし制度的文化>

有賀喜左衛門
『日本家族制度の小作制度』
戦前の身分的階層・主従的上下関係の構造を、同族団研究として結実。同族結合は封建的ではく、民族的性格と規定し、組結合の概念を対置。条件次第では労働の互助組織を土台として同族結合が再生する。

新明正道
『形式社会学論』
ジンメル、フィアカント、ヴィーゼの形式社会学を紹介。
『社会学の基礎問題』『社会本質論』『総合社会学の構想』
特殊社会科学である形式社会学を批判。
<綜合社会学>社会の本質を、単なる関係概念を持ってくるのではなく、人間主体の把握を可能にする行為、その関連<行為関連>から解明する。
<行為関連の立場>(行為的見地)行為は「意味的」(内容的)でも「関連的」(形式的)でもあり、それは内容と形式の合一=総合である。

田辺寿利

柳田国男
<ハレとケ>ハレは人前にあること、改まった状況。ケは普段、通常の意。二つの生活の位相を回帰的に設定し、生活サイクルにリズムをつけ、それらにあわせて民俗的行事を行い、休日制を遵守することで集団の統合と社会生活の秩序づけが図られた。
『蝸牛考』<方言周圜説>
『日本の祭り』
<機能神による統合心の放逐>神社祭祀は、郷土の連帯と公共の福祉を目的とする<公祭>だったが、近代化の過程で我が身我が妻子の福利欲望のための<私祭>に変わってしまった。

鈴木栄太郎
『日本農村社会学原理』
<自然村>村落に存在する様々な集団関係が累積したまとまりが、行政上の村のなかにいくつか存在する。その多くは明治以前の「むら」に相当する。
『都市社会学原理』
<都市の結節機関説>ひと、もの、情報の社会的交流が営まれる様々な結節機関が都市には存在する。結節機関群は、全国に階層的に配置され、都市の格や地位が決定する。

尾高邦雄
日本社会を対象とする実証的研究を通じて中範囲理論を構築。職業社会学、産業社会学、社会階層研究の先駆者。

大塚久雄
<大塚史学>マルクスとヴェーバーの影響から西洋近代の成立を究明、近代的人間類型論を展開。

磯村英一
世界とし規模の大都市の実現・構想の実証的研究を手掛けるとともに、80年代以降は同和と人権・差別問題への関心を通じて、人間コミュニティと重層する都市の社会理論をワールド・パースペクティブで提示した。

丸山眞男
戦後民主主義の指導者。西欧思想史の知識と儒教・朱子学の素養を背景に活動。
『日本の思想』
<社会科学的思考><文学的思考>
<理論思考><実感思考>
<タコツボ型><ササラ型>
<「である」ことと「する」こと>
『現代政治の思想と行動』
<超国家主義>(日本のファシズム)の分析をもとに<無責任の体系>を指摘。家族主義と農本主義による、日本ファシズムの「空想性、観念性、非計画性」を分析。

九鬼周造
『「いき」の構造』
ハイデガー流の解釈学的・現象学的方法を用いて「いき」を分析した場合,「媚態」「意気地」「諦め」という3つの契機を見出すことができる。すなわち,「いき」とは,「垢抜けして(諦),張のある(意気地),色っぽさ(媚態)」のことである。

土居健郎
『甘えの構造』
<甘え>人の存在に本来つきものの分離の事実を否定し、分離の痛みを止揚しようとすること。日本では、母子関係だけではなく、成人が新たな人間観を結ぶ際にも働く。対象依存的であり、他者に接近し他者と一体になりたいという主客合一を願望する感情や行動。

吉本隆明
共産党を含む左翼を「擬制」と否定、非共産党左翼の理論・心情的支柱として全共闘世代に支持される。
<大衆の原像>
『共同幻想論』
国家の本質は<共同幻想>であり、物的な構成体ではない。<自己幻想><対幻想><共同幻想>をキーに、国家の起源に迫る。
『マス・イメージ論』
「古典近代的世界概念」の解体と失効、サブカルチャーの重視。

多木浩二
芸術学を背景に記号論・建築学をも用いて、都市・写真・建築・デザインなど他方面で活躍。
『生きられた家』
家は住むための容器ではない。家を時間や空間が折り込まれた複合する「テクスト」と捉え、そこに展開する人類の思考と想像力を掘り起こす。
『天皇の肖像』
見える天皇から見えない天皇へのプロセスと聖域・権威の確立について論じる。

橋爪大三郎
構造主義をふまえた<言語派社会学>の樹立を目指して執筆を続け、性・言語・権力の三つを説明原理とする<記号空間論>の構想を展開した。
『言語ゲームと社会理論』
二つの対立する法理論ハートとルーマンの検討を通して,言語ゲームのアイデアを新たな社会理論へと結晶させようとしている。

宇沢弘文
『社会的共通資本』
ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する—このことを可能にする社会的装置が<社会的共通資本>である。その考え方や役割を、経済学史のなかに位置づけ、農業、都市、医療、教育といった具体的テーマに即して明示する。

加藤周一
『雑種文化』
日本の文化問題は、日本文化が雑種的であるという事実を認めることから始まり、その事実に積極的な意味を見つけることで終わる。

柄谷行人
『マルクスその可能性の中心』
価値形態論としての『資本論』の読み替え。
『日本近代文学の起源』
「風景」「内面」など、近代文学の自明の前提は、対象として客観的に存在したのではなく、それを描くことのできる文の創出よって後から作り出された制度である。
『内省と遡行』
デリダやド・マンのデコンストラクションはゲーデルの不完全性定理に還元される。
『探究』
<売り手と買い手>の非対称な関係を論じる中で<他者>を鮮明に浮かび上がらせ、他者性を隠蔽してしまう<共同体>以前の<交通>の姿を描き出す。

内田隆三

山本七平
『「空気」の研究』<空気><通常性>

宮島喬

作田啓一
『恥の文化再考』
恥と罪が対概念ではなく、<所属集団>と<準拠集団>の問題であって、社会構造上の違いである。
拒否であろうと受容であろうと、人は他人に一種特別の注視にあった時に恥を感じる。
『個人主義の運命』
ルネ・ジラールの模倣欲望論に依りながら、<主体>と<客体>の間に常に<媒介者>が存在する欲望を考察し、個人主義の起源と未来を考察。

山口昌男
<中心>と<周縁>
<トリックスター>

鶴見俊輔
<漫画文化>
『限界芸術』
<限界芸術>とは「非専門的芸術家によってつくられ、非専門的享受者によって享受される」「もっとも目立たぬ様式」である。5000年前のアルタミラの壁画にはじまり、ヒトが日常的に生産するさまざまな言説(評者にいわせれば、一種のシャドウ・プレイ)−鼻歌、手作りの竹馬、労働歌、早口ことば、酒の飲み方、泣き方、服の着こなし方、拍手などなど−これらすべてが含まれる。したがって、「限界芸術」とは「生活様式でありながら芸術としての側面をもっている分野」であり、それゆえ政治・宗教・家族生活・教育・労働などさまざまなファクターとの関係の中で考える必要があるのだ。

加藤秀俊
リースマンの大衆社会論の影響を受け、日本文化を考察し<中間文化論>を提起。未来社会学を開拓。
『空間の社会学』
マクロとミクロ両面から、地球と人と環境を論じ、日本には空間計画というものがなかったと指摘。

山崎正和
<硬質の自我>デカルト的な自我イメージ。
<柔らかい個人主義>

小室直樹

見田宗介
『現代日本の精神構造』
日本の社会がそのなかに生きる諸個人の内面をそのように侵し、私たちの創造力や愛や生き甲斐がどのような屈折を示しているか。
『気流の鳴る音』
『時間の比較社会学』
「時間」は社会形態によって規定されている。時計化された生、時間に拘束された生からの解放を模索。
『現代社会の理論』
現代社会の特質は、「ゆたかな」社会、消費社会、情報化社会である一方の、環境問題、自然の問題、多くの人々の貧困と飢餓である。この危機的状況を消費と情報というコンセプトの透徹を通して分析し、<自由な社会>の構想を示す。

森本哲郎
『日本語 表と裏』「よろしく」「やっぱり」「どうも」「どうせ」など、私たちが普段使っている<あいまいな言葉>を俎上にのせ、その表現は何を意味し、日本人のいかなるメンタリティを語っているのか。

落合恵美子
強い情緒的関係をもつ近代家族の形成こそ、主婦の役割と母の役割の近代的定義を形成し、女性を公領域から排除し経済的依存に陥らせた。

上野千鶴子
マルクス主義フェミニズム
「セクシィ・ギャルの大研究」
広告では女性がどのような役割を演じさせられており、CMに登場する「記号としての女性」を、(男性)社会がどのように消費しているか。
『発情装置・エロスのシナリオ』
<性の自己決定権>女性が自由にセックスをしても、しなくても、どんなサンクションも受けない権利。近代主義的な「性の商品化」タブーを批判し、「セックス・ワーカー」を肯定。

青木やよひ
<エコロジカル・フェミニズム>男性原理に基づく近代産業社会の行き詰まりは環境の悪化によって宣告されたとし、「女性原理」の復権を主張。
<エコ・フェミ論争>フェミニズムをエコロジー運動に重ね合わせることは、性役割や性別役割分業を否定するフェミニズムの道を誤らせるとする上野千鶴子との論争。

中根千枝
『タテ社会の人間関係』
日本社会の人間関係は、個人主義・契約精神の根づいた欧米とは、大きな相違をみせている。「場」を強調し「ウチ」「ソト」を強く意識する日本的社会構造にはどのような条件が考えられるか。「単一社会の理論」によりその本質をとらえる。
『タテ社会の力学』
日本社会では人々の行動を律するのは法ではなく、個人あるいは集団間にはたらく力学的規制である。無原則のまま外界の変化に柔軟に対応する日本社会は、<軟体動物的構造>をもっている。本来の意味での権力が存在せず、小集団におけるリーダーの力が弱いのも、この特殊な社会構造によるのである。タテ社会内部にはたらくダイナミズム・動的法則を、<全人格的参加><無差別平等主義><儀礼的序列><とりまきの構造>など、興味深い事例を引きながら分析し、現代人1人1人をとりまくネットワークを明示する。

佐伯啓思
経済学の枠を越えて、科学「知識」のあり方を問い続ける。
『隠された思考』
高度市場社会は、「経済的」な考え方があらゆる局面に浸潤した社会である。高度市場社会という語も社会科学によって恣意的に作られたものであり、その背後にある形而上学的前提<隠された思考>を探るろうとする。同時に<演技する知識>が饗宴を繰り広げるだけのポスト・モダンを批判し、時代精神の古層に届く<解釈する精神>の樹立を目指す。

今村仁司
『近代の労働観』
一日のかなりの時間をわれわれは労働に費やす。近代以降、労働には喜びが内在し、働くことが人間の本質であると考えられてきた。しかし、労働の喜びとは他者から承認されたいという欲望が充足されるときである。承認を求める欲望は人間を熾烈な競争へと駆り立てる。労働中心主義文明からの転換を、近代の労働観の検討から提起する。
『暴力のオントロギー』

浅田彰
『構造と力』知のカタログ化。<ニューアカ>
『逃走論』<スキゾ><パラノ><住む文明><逃げる文明>
『ヘルメスの音楽』

鷲田清一
『モードの迷宮』
衣服の構造は両義的であり、隠蔽しながら強調する、誘惑しながら拒絶するといった背反がある。ファッションは歴史の中で、身体の輪郭から離れていき、許容度を越えたときにまた身体に戻るという運動をくり返す。この推移はひとのディスプロポーションに組み込まれたものである。

細川周平

加藤典洋
『敗戦後論』
旧護憲派、旧改憲派のイデオロギー的な分裂構造を、ジギル氏とハイド氏の人格分裂と捉え、双方の論理的な半人前ぶりを批判。

刈谷剛彦

山岸俊男
『安心社会から信頼社会へ』
日本はいま「安心社会」の解体に直面し、自分の将来に、また日本の社会と経済に大きな不安を感じている。集団主義的な「安心社会」の解体はわれわれにどのような社会をもたらそうとしているのか。
『社会的ジレンマ』
違法駐車、いじめ、環境破壊等々、「自分一人ぐらいは」という心理が集団全体にとっての不利益を引き起こす社会的ジレンマ問題。数々の実験から、人間は常に「利己的」で「かしこい」行動をとるわけではなく、多くの場合、「みんながするなら」という原理で動くことが分かってきた。この「みんなが」原理こそ、人間が社会環境に適応するために進化させた「本当のかしこさ」ではないかと著者は考える。
『心でっかちな日本人』
<心でっかち>とは、心と行動のバランスがとれなくなってしまっている状態を指す。日本人は集団主義だなどという通説も、実は心でっかちの思い込みにすぎないということをユニークな実験で実証しているが、心でっかちな思考が、どれだけ私たちの「現実を見る目」を曇らせているかが理解できる。

青木保
『「日本文化論」の変容』
『菊と刀』から「日本叩き、日本封じ込め」論まで、日本「独自性」神話をも創り出した、その議論の移り変りを戦後の流れのなかで捉え直した。
戦後の日本文化論の変容を大きく4つの期間に分けて分析。<否定的特殊性の認識>(1945〜54)<歴史的相対性の認識>(1955〜63)<肯定的特殊性の認識>(1964〜83)<特殊から普遍へ>(1984〜)

大塚英志
『物語消費論』
1980年代の終わりに、子供たちは「ビックリマンチョコレート」のシールを集め、「人面犬」などの都市伝説に熱狂した。それは、消費者が商品の作り手が作り出した物語に満足できず、消費者自らの手で物語を作り上げる時代の予兆であった。1989年に於ける「大きな物語」の終焉を出発点に、読者が自分たちの消費する物語を自分たちで捏造する時代の到来を予見した幻の消費社会論。

大澤真幸
社会システムの構造を規定する規範が生成され変容していくメカニズムについて、比較社会学的見地から、理論的に探求する。とりわけ、システムの究極の生成因子として、コミュニカテ ィヴな志向性を有する身体に着眼することで、社会システムと外囲の自然環境との間の連続と断絶を理論化する。

松原隆一朗

宮台真司
朝日新聞紙上のいわゆる「ブルセラ論争」をきっかけに一般にも注目を集める。
テレクラ、援助交際、オウム問題、郊外、専業主婦、少年犯罪、学級崩壊、盗聴法など、現在まで多くの分野で発言を行い、改革プログラムなどにも参加。多分に論争的なその主張から反発する声も多いが、同様に支持する声も多い。
『権力の予期理論』
権力なき自由への夢想を斥け、社会が自らを再生産するための装置である権力のメカニズムを解く、権力理論の新たな段階を画す。比較的素朴な相互行為における予期的な了解の中で権力を定義し,いろいろな契機を追加することによって社会的な広がりをもった権力の構造とメカニズムに到達する.
『制服少女たちの選択』
「売り」は「悪い」こと?大人はそれに答えられるか。見知らぬ男を相手に身体を売る女子高生。しかし、彼女たちに倫理を問えるほど、私たちの社会に確固とした倫理規範があるだろうか。家庭・学校・地元あらゆる既存の共同体が消滅し、<島宇宙化>社会が到来する90年代以降の社会構造を予見。
『終わりなき日常を生きろ』
<さまよえる良心>と<終わりなき日常>をキーワードに、オウムと現代社会を分析する。社会が成熟し、幻想が共有されなくなった時代、人はそれぞれの物語を生きるようになっている。
『まぼろしの郊外』
成熟社会になると、近代過渡期の<郊外幻想>が覆いかくしてきた私たちの社会の<基層>が再浮上する。—家・学校・地域が軒並み空洞化した<郊外>と、そこに浮遊する若者たちを論じる。

吉見俊哉
『博覧会の政治学』
<まなざしの近代>として、帝国主義と消費社会を作動させ、大衆娯楽的「見世物」の場としての博覧会を分析。日本が海外で自らをどのように演出するかを問題視。
『都市のドラマトゥルギー−東京盛り場の社会学』
<近代>が具象的な目に見えるかたちをとって定在する場所が都市という空間である。<上演論的パースペクティヴ>を視座に浅草・銀座・新宿・渋谷の都市空間の鮮明な対比を骨格とした厚味のある社会史研究。

上野俊哉
『ディアスポラの思考』
ディアスポラの思考とは、離散の生を強いられた人の思考とはかぎらない。それはある場所にいることが許されなくなるような緊張をはらんだ、批判=批判的思考のことである。文化研究「以後」の生存様式のアルタナティヴを探る。

宮崎哲弥
『身捨つるほどの祖国はありや』
『自分の時代の終わり』
オカルト、自己啓発セミナー、ニューエイジ、自分さがし。あらゆる結びつきが失われゆく現代ニッポンの深層を浮き彫りにし、新世紀を展望する。

東浩紀
『存在論的、郵便的』
『動物化するポスト・モダン』
オタク系文化はJポップのような国民的広がりをもつ文化ではないが、決してマイナーな文化でもない。オタク系の消費者は、きわめて活動的な層に限っても、数十万の規模を下げることはないと思われる。そしてさらに付け加えれば、オタク系文化はもはや日本だけの現象でもない。オタクたちが作り上げたコミックやアニメ、ゲームなどの独特の世界は、アジア地域のサブカルチャーに深い影響を与えている。日本のネット文化の基礎はオタクたちによって築かれている。したがって、いま、日本文化の現状についてまじめに考えようとするならば、オタク系文化の検討は避けて通ることができない。

経済学
アダム・スミス
<経験的社会論>
『道徳感情論』
『国富論』
自由競走を媒介とすることにより利己心が、<神の見えざる手>によって国富の増大につながるとし、自由放任を主張。

レオン・ワルラス
『純粋経済学要論』
<限界効用>最終的に増減する財の1単位に起因する効用の増減分、つまり、購入者にとっての単位当りの財の主観的な有用性を意味し、これにより商品の価値が決まる。

ローザ・ルクセンブルク
レーニンのボリシェリズムや党概念を批判、大衆の自然発生性に依拠するレーテ民主性による革命を説いた。

ジョン・メイナード・ケインズ
『雇用・利子あよび貨幣の一般理論』
<有効需要>各部門が最終的に示すであろう消費額と投資額の需要総計。この水準が一国の生産水準、国民所得水準を決定する。
<ケインズ革命><乗数理論>によって、公共投資による有効需要の創出に基礎を与える。

ヨーゼフ・アロイス・シュンペーター
『経済発展の理論』
資本主義の動態分析に、企業家による生産諸要素の新結合を意味する<イノベーション>概念を導入。
<企業家精神>企業家が既存の経済システムを創造的に破壊し、経済発展をもたらす革新的な企業活動を推進する上で必要な精神力。
『資本主義・社会主義・民主主義』

フリードリッヒ・ハイエク
『価格と生産』『景気と貨幣』
<貨幣的景気変動論>
『隷属への道』
マルクス主義・ケインズ主義を批判し、自由と民主主義の不変の価値と進むべき道を示した。

ジョン・ケネス・ガルブレイズ
『豊かな社会』
<豊かな社会>欠乏と闘ってきたかつての社会に対し、生産力が向上したために、民間部門の豊かさと公共部門の貧しさという異質の問題性をもった社会。
社会の基本問題がモノから人に移り、<人間の投資>としての教育が重視されなければならない。
『新しい産業国家』
<テクノストラクチュア>が権力をもつ成熟した法人企業は、労使協調をつくり出し、国家制作に自己の影響力を反映させる。

金子勝
『セーフティーネットの政治経済学』
バブル期から今日に至るまで「自己責任」や「規制緩和」がいわれ続けている。こうした市場原理主義的な政策と、無節操な公的資金投入を繰り返した結果、デフレが深刻化している。長期停滞から抜けだし、失業や年金不足といった将来不安を解消するには、セーフティーネットを張り替え、大胆な制度改革につなげていくことが不可欠である。ハイリスク社会に警鐘を鳴らし、「市場か政府か」という二元論を超えた、第三の道を具体的に提唱する。
『日本再生論』
もはや「市場か政府介入か」といった二分法では対処できなくなった日本社会の危機。戦略なきグローバリズム路線の危うさを突き、新しいリスク時代に対応できる思考法とそれを支える社会哲学を模索。

政治学
プラトン
『国家』

アリストテレス
<社会的動物>(ポリス的存在)

ニッコロ・マキアヴェッリ
『君主論』
<マキアヴェッリズム>「目的のために手段を選ばず。」君主は、宗教や道徳の制約から自由に適合的な手段を選ぶべき。

トーマス・ホッブス
経験論哲学者
『リヴァイアサン』
<自然権>自己保存の権利。
自然状態は、「万人の万人に対する戦争」であり、その解決には人為的な社会契約が必要である。国家とは、平和維持のために絶対主権をもって君臨すべく創出された人工的人間<リヴァイアサン>である。

ジョン・ロック
経験論哲学者
『市民政府ニ論』
社会契約の内容を制限することによって、国家の任務を夜警国家的なものに制限し、人民の抵抗権を正当化。

カール・シュミット
ヴァイマール期に<カトリック規範主義><決断主義>、ナチス支配下で<具体的秩序思惟>の思想的立場をとる。
『憲法理論』
ヴァイマール憲法を批判。
『政治的なるものの概念』
敵と味方の区別を政治の本質とみる。

チャールズ・メリアム
シカゴ学派
『政治権力』
<クレランダ>王権神授説や代議制の間接民主性の理念など、支配の正当性を根拠づける合理化の象徴。
<ミランダ>言語的象徴、物的象徴、行動的象徴など支配者や支配の秩序が賛美に値するという感情を喚起する同一化の象徴。

クラーク・カー
『インダストリアズム』『産業社会の未来』
<収斂理論>諸社会が、変化と進化の過程で経済機構、政治機構、文化の点で類似したものに収斂していく。
<多元的インダストリアリズム>所得の平準化、複数のインタレスト・グループによる権力の分有、イデオロギーに対する科学の優位、階層間差異の消滅と垂直的社会移動の頻繁な、平等で多元的な社会。

ジョン・ロールズ
『正義論』
<公正としての正義>ロック、ルソー、カントの社会契約論から、原初的契約により正義の概念を考える。
<第一原理>各人の基本的自由についての平等。
<第二原理>所得や富の配分は平等である必要はないが、それは誰にでも有利でなければならず、権限と地位はすべての人が接近できるものでなければならない。

ロバート・ノズィック
『アナーキー・国家・ユートピア』

人類学
ボロニスロー・マリノフスキー
<機能主義>文化を諸要素の有機的な関係の全体として捉える。
<インテンシブ・メソッド>少数事例についてその他側面にわたり分析・記述する社会調査の方法。
『西太平洋の遠洋航海者』
<クラ>と称する儀礼的交易形態を通して、原住民たちの親族組織・呪術・技術・経済などが有機的に連関することを解明。文化を基本的欲求充足の手段的装置とみなす。
『文化の科学的理論』『文化変化の動態』

アルフレッド・ラドクリフ=ブラウン
社会的機能を、文化的慣行が社会構造の維持に貢献することだと規定した。
「親族体系の研究」『未開社会における構造と機能』
<親族体系>親族関係と姻族関係によって互いに関係づけられるニ者間の相互行為に見い出される、社会慣行の全体的規則性。

カール・ポランニー
『大転換』『初期帝国における貿易と市場』
経済人類学を開拓。市場社会と前市場社会を貫く一般的な社会の経済原理を追求、市場原理が近代社会に特有なものであり、これを人類史の中で相対化する視点を提供。
<大転換>市場メカニズムが人の支配者となった。
<暗黙知>人は、身体を通して直接に対象の本質を把握することがあるように、前言語的な認識活動をたえず行っており、この暗黙の知識によって、部分には還元できない創発特性を備えた包括的全体の認識が可能になる。
『経済と文明』

マーガレット・ミード
『サモアの思春期』『三つの未開社会における性と気質』
子供の成長過程、性愛、男女の気質や行動の相違などのパーソナリティは、文化によって大きく左右される。
『文化とコミットメント』
国民性は民族的性格にほかならず、それは文化的構造によって把握可能である。

メアリー・ダグラス

哲学
フランシス・ベーコン
経験主義「知は力」<帰納法>

ルネ・デカルト
<明晰判明>を基準に、自我=心の自立性を主張。

デイヴィッド・ヒューム
経験主義

ジェレミー・ベンサム
「最大多数の最大幸福」に集約される<功利主義>を主唱。自然法を批判し、実定法の制定を主張。刑務所改革を唱え、パノプティコンを発案。

ゲオルグ・ヘーゲル
『精神現象学』
究極の実在たる理念が自己運動によって発展するものと考え、この発展は論理的には<弁証法>であるとした。
『法哲学綱要』
人倫の形態は家族、市民社会(欲望の体系にもとづく経済社会)、国家(自由の最も具体的な形態)として現れ、弁証法的発展として捉えられる。

フリードリッヒ・ニーチェ
ヨーロッパ的理性はニヒリズムの顕在化であり、生の実相である<力への意志>にもとづく強者の価値を主張。

エドムント・フッサール
<現象学>人にとって自明な対象の存在を括弧に入れ、その対象を対象として存在させる人の意味付与活動に着目し、その結果、意味付与を可能にしその基底となっている<生活世界>を見い出した。

ヴィトゲンシュタイン
『論理哲学論考』
<言語ゲーム>人の営為行為一般を、規則に従った遂行的な出来事と捉える。

アントニオ・ネグリ
『帝国』
グローバル化による国民国家の衰退と、生政治的な社会的現実の中から立ち現われてきた世界秩序=「帝国」とは何か? グローバル化を包括的に再考し、それに対するオルタナティヴな実践の可能性を構想する。
<内在平面><バイオ・ポリティクス>

心理学・精神分析
ジークムント・フロイト
<快感原則>(不快の原則)快を求める傾向。本能欲求の充足を求める<イド>の行動原理であり、これを抑圧するエゴの行動原理<現実原則>と対置。
<エディプス・コンプレックス>男の子が母親に強い愛着を持ち、父親に対して無意識な敵意や嫉妬を抱く葛藤や不安<去勢不安>。
<リビドー>人の成長・発展を可能にする心的エネルギー源。エロスとタナトスを含む。
<エロス>性本能を中核とする結合と創造の力であり、生命を維持し豊かにするエネルギー。
<タナトス>死の本能。分解と破壊の力。
<エス>(イド)心的装置のうち最も深奥にあって、原始的・本能的エネルギーの源泉をなす。その働きは無意識的で、現実も理想も無視する非論理的・無道徳的衝動として快楽原則に従い、リビドーの充足を目指す。
<自我>イドから発して外界の影響によって分化し、理性や分別の役割を演ずる。
<超自我>個人が大人たちの禁止的態度、懲罰的態度、叱責的態度などと同一化してこれを内面かしたもの。道徳的な良心ともいわれ、自我を監視し禁圧する心的メカニズムであり、その機能が極度に低下・肥大すると非行・情緒障害・結婚障害を起こす。
『トーテムとタブー』『精神分析入門』『幻想の未来』『文化の中の不安』

エリック・エリクソン

ジャン・ピアジェ
『知能の心理学』
<認知発達の段階>
<感覚運動期>誕生から2才まで。視覚や聴覚、触覚などによる感覚運動を通じた経験によって環境を意識し、事象を認識して知的活動を発達させる。
<前操作期>2才から7才まで。言語を修得し、言語を用いて対象やイメージを象徴に表現するようになる。<自己中心性>自他、主観と客観が未分化なため、対象を自己に同化してしまう。
<具体的操作期>7才から11才まで。抽象的観念や論理的観念を修得していく。
<形式的操作期>高度に抽象的な観念や仮説的な考えを理解できるようになる。
『発生的認識論』
<発生的認識論>科学の進歩と思考の個体発達とは並行関係にあり、どちらも発達は実際的な操作から数理的論理として公理化に向かう。

ジャック・ラカン
『エクリ』
<鏡像段階論>幼児は生物学的未成熟の段階で生まれ、欲動に突き動かされながらも、欲動を統一的に掌握する術を欠くため「寸断された身体」の状態にあり、鏡像を介して身体像の統一性をイマージュとして先どりする。
<他者の言説><言語のように構造化されたもの>としての無意識概念。

アブラハム・マズロー
『動機づけとパーソナリティ』
<自己実現>自己の能力や可能性を十分生かし現実化していくこと。
<メタ要求>(成長の要求)正義・善・美・秩序・統一などへの高次の欲求。
<欲求段階説>人の動機は生理的動機・安全への動機・所属と愛情への動機・自尊動機・自己実現への動機に変遷していく。
『人間存在の心理学をめざして』
<人間性心理学>行動主義に反対し、人の内面に目を向ける。

香山リカ
『リカちゃんコンプレックス』
<リカちゃんコンプレックス>あなたと「リカちゃん」の区別がつかなくなる現象を言う。私たちの日常生活の舞台は、物質的に豊かになるにつれて、女の子の憧れの世界である「リカちゃんハウス」に近づいた。そのときから、私たちは「リカちゃん」の複製品としてしか現実を生きられなくなる。
『テレビゲームと癒し』
ゲームの世界は病んだ子の心をやさしく迎え入れてくれる。テレビゲーム批判の系譜をたどり、カウンセリングの場での体験を紹介しつつ、ゲームが子どもたちの心を癒す可能性を探る。

斉藤環
『若者のすべて』
<自分さがし系>(渋谷群)自己イメージが定まらなく、過度にコミュニケーションを志向。
<ひきこもり系>(原宿群)自己イメージが定まっていて、自らの内的過程に魅了される。自己イメージが定まっているため、かえって社会に適応できない。

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