『フランス語がわかるリスニング』ベルトロン・セゲス、マリー=ピエール・リコ(DHC、2008年5月)
ゆっくりしたやさしいナレーションでフランス語が聞き取れるよろこびを!!
フランス人の書いたフランス文化に関する文章と100語/分のゆっくりしたナレーションによるフランス語リスニング入門教材です。CD二枚、それにナレーションのテクストと日本語訳と訳注を収録したブックレット(小冊子)のセットになります。
全体は、3分から5分の25のチャプター(Chapitre)で構成されています。さらに各チャプターは3~6つ、30秒から1分に分けられています。各チャプターのテーマはアルセーヌ・ルパン、エッフェル塔、チーズからル・コルビジェ、ゲンズブール、スト、地方主義、高級ブランド産業まで、またルイ14世やフランス革命、ナポレオンといった歴史的なものまで様々なテーマが取り上げられています。ただのフランス文化のステレオタイプな解説に終わるのではなくフランス人によって文化の実態が描かれた洒脱やエスプリの効いた内容になっています。リーディングの教材として優れていると思います。
各チャプターごとにネイティヴの女性と男性が交互にナレーションを行います。発音はゆっくりで適度に間をおいて話すのでシャドーイングやディクテーションの練習に向いています。DHCから出ている同じシリーズの『イギリス英語のリスニング』よりは、発音は”教材的”な印象ですが初心者にはわかりやすいです。
僕のオススメの勉強法は、単純なのですが、テクストを辞書を引きながらある程度わかるまで読んで、CDを聴きながらテクストを読んで、次にテクストをCDに合わせて音読する、iPodで移動中などにナレーションを聴く、ということを繰り返すことです。
レヴェル的には大学の第二外国語のフランス語を終わったくらい、仏検4~3級、発音や文法や単語を一応学び終えた方くらいが対象になります。完全初心者や旅行などでとりあえずフレーズを覚えたい方には向いていません。ある程度まとまった文章のリスニングができるようになりたい方の最初の一歩となる教材です。
それなりにおもしろい内容で、フランス語のリスニングを始められる教材です。CD2枚で1500円なので、コスト・パフォーマンスも高いです。
フランス語の綴りの読み方 正しい発音の出発点 稲田晴年 第三書房
フランス語の綴りの読み方 正しい発音の出発点 稲田晴年 (第三書房、2005年4月)
フランス語の綴りの「読み方」を詳しくわかりやすく解説。
フランス語参考書で日本で最も詳しくフランス語の綴りの「読み方」について書かれている本です。
フランス語の綴りと読み方の関係は英語に較べるとはるかに規則的ですが、正しく読むためには規則の理解とコツと慣れが必要です。
この本は、この本は読み方の規則を近似する発音や子音字の単位で、例や比較を挙げながら逐一・詳細に、だけどわかりやすく説明しています。「c」のカ行・サ行の入れ替わりの図示などは、斬新な感じがします。
「脱落のe」「フランス語は必ず子音+母音の組み合わせになるわけではない」「四つの鼻母音の発音の違い」フランス語の発音で重要な「rの発音のしかた」など、重要な発音に関する注意についても書かれています。
この本はフランス語の「綴りの読み方」についての本です。「発音」についての本ではありません。「読み方」について徹底的にレクチャーするけど、それがカタカナ発音という中途半端なスタンスです。”カタカナ発音はフランス語ではなく日本語。””正しい発音を理解しないと正しく読んでいることにはならない。”という面もありますが、全く綴りが読めないとそもそも単語を覚えたり、文を読むことができないので、その本は有効です。(発音の重要性についても触れられています。)
「綴りの読み方」の本なので、「発音のしかた」「口腔母音・鼻母音とは何か?」についてはほとんど書かれていません。別の発音に関する本で、正しい習得する必要があります。サブタイトルに「正しい発音の出発点」と書かれていますが、「発音の出発点」にはならないと思います。「発音」→この本→また「発音」というように、発音や単語を習得しながらたまに読むといいです。
でも、発音記号は書かれているので、発音記号とその発音が理解さている方が読むなら、一段フランス語の理解を深めることができると思います。
CDは、ノンストップでページ番号が読まれた後、そのページに掲載されているひたすら単語が読まれるだけです。使いやすいものではないですが、後に続いてリピートして正しい綴りの読み方と発音を覚えましょう。
フランス語の綴りと読みは、量をこなせば慣れで覚えてしまう部分もあるので、大学などで授業をとっている方は必要がないかもしれません。しかし、全くの独学でフランス語の勉強を始めた方、フランス語を本格的に勉強したり専門にしようと思っている方には必読の一冊です。
それでは、
Au revoir!!
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やさしいフランス語の発音 小島慶一(語研)
やさしいフランス語の発音 小島慶一 (2002年9月、語研)
フランス語の発音、もといフランス語はまずこの一冊から!!
『英語耳』のフランス語版とも云うべき良書です。
日本で出版されているフランス語の発音の解説書で最もわかりやすく、クオリティが高く、充実した内容です。
パート1~2は、子音・母音の練習です。子音のみの発音を説明する『英語耳』ほど丁寧ではありませんが、顔の断面図で下の動きや鼻の空気の流れを説明して、類似する発音と比較しながらCDに合わせて発音の練習ができます。CDはちょうどいい早さで使いやすいです。
パート3は「綴りと発音」で、母音字eや副母音字、鼻母音といったフランス特有の発音について解説します。パート4は、「リエゾン・エリジォン・アンシェヌマン」についての解説と発音の練習です。綴りと発音をマスターするには物足りなく、別の参考書が必要ですが、発音の練習にはなります。パート5「音節とアクセント」、パート6「イントネーションとリズム」はフランス語を勉強していけば、自然に身につくと思うので軽く流せばいいと思いますが、英会話が上手くて英語のアクセントやリズムでフランス語をしゃべってしまう人は練習した方がいいです。
巻末の「フランス語らしく話すために」は、音声のまとまりとして複合語や文章を捉える練習です。フランス語の文法や思考、発想法をある程度、理解してからチャレンジした方がいいと思います。
付属のCDのパート1~2の長さは、15分です。フランス語の初学者の方はこれのナレーションの後をリピートして音読することを、毎日2回、一ヶ月は続けましょう。
フランス語の発音に自身のない方も口のエクササイズだと思って、毎日一回、数ヶ月は行いましょう。発音は、言語の覚える・考える・読む・書く・聴く・話すのすべての面で必要な基礎能力だと、僕は思っています。
日本人にとってフランス語は、英語やドイツ語に比べて音が高く、強い破裂音がなくや大きく顎を動かす必要はないので習得は絶対的に簡単だと思います。
がんばって知的で美しいフランス語の発音をマスターしましょう。
それでは。
Au revoir!!
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