『これなら覚えられる! フランス語 単語帳』六鹿豊(NHK出版)

『これなら覚えられる! フランス語 単語帳』六鹿豊(NHK出版、2008年3月)
多くの例文とそのすべてのナレーションが収録されたフランス語単語集!!
1500語収録で、800の見出し語に例文が掲載され、そのすべての例文のナレーションが収録されたヴォリュームたっぷりの単語集です。
収録されている単語の内訳は、動詞190、形容詞150、名詞940、前置詞35、副詞90、その他120となります。
全体の構成は、以下の通りです。
まず最初に、「あいさつなど」として、あいさつや感謝・謝罪の表現、呼びかけの表現などが1ページ紹介されます。このページもナレーションが収録されます。
本文ページは、「便利な表現・疑問詞・動詞」「形容詞」「名詞:場面名詞・一般名詞・時の名詞」「前置詞/副詞/接続詞/いろいろな表現」のパートに大きく分かれます。パートの中でさらにチャプターに分かれ、2~3ページの具体的なチャプターに分かれます。
「便利な表現・疑問詞・動詞」のほとんどは動詞です。類書と違い例文つきで多くの動詞が紹介されます。「形容詞」も様々な形容詞をやや深く掘り下げて収録しています。「名詞:場面名詞・一般名詞・時の名詞」の場面名詞では、日常的な名詞が紹介され、一般名詞では抽象的・一般的な概念をやや詳しく紹介します。「前置詞/副詞/接続詞/いろいろな表現」は副詞が多く取り上げられているのが特徴です。
本文ページの構成は、ページ左側にフランス語の単語とフリガナとその単語を用いた例文、左側に単語の意味と例文の日本語訳が掲載されています。1/4ほどの単語で複数の例文が収録されています。4つ収録されているものもあります。一部、ページ全体やページの下半分が「これもいっしょに」として例文なしで単語とふりがなと日本語の意味のみが多く収録されています。どちらも名詞の意味の前には性の表示があります。女性形や複数形で特殊なかたちになるものは表示があります。
CD二枚つきで、フランス人の女性によるナレーションが収録されています。ナレーションはまず単語が読まれて、日本人の女性によって単語の意味が読まれます。その後で例文が読まれます。「これもいっしょに」では、これに例文がないかたちになります。女性形でかたちの違う名詞や形容詞は、女性名も読まれます。
ナレーションの間の間隔が短く、ナレーション自体も早いです。例文が読まれた後に次の単語に移るのが早いで混乱します。
モノの名詞だけではなく動詞や形容詞、副詞、抽象的・一般的な名詞が多く取り上げられていて、多くの例文とそのナレーションが収録されているのが本書のストロング・ポイントです。
単語は絶対必須な超基本的なものからややレヴェルの高いものまで幅広く収録されています。一方で無駄に食べ物や動物、植物の名前が沢山収録されてはいないので、効率よく必要なヴォキャブラリーを得ることができます。例文はごく短い日常会話的なものがほとんどです。例文の時制は、直接法の現在形、複合過去、半過去、近接未来、命令形で単純未来や条件法、接続法はほとんど使われていません。そして、例文のナレーションも早めなので、フランス語を始めたばかりの初心者には難しいと思います。一通り文法を勉強して発音がある程度できて他の単語集である程度単語を習得している方が本書の対象となります。大学の第二外国語でいえば2学期が終わったか1年間勉強したぐらいの方が対象で、仏検のレヴェルとしては3~4級のあいだといった感じでしょうか。そのくらいのレヴェルの方なら逆にナレーションが早いので効率的に大量の単語を吸収できます。コストパフォーマンスも高いです。
語学としてフランス語を勉強する方にもフランス旅行で勉強をする方にも、多くの単語と表現を覚えるための教材として推薦します。
Au revoir!!
初心者のための学習順フランス語入門書・参考書リスト

『フランス語がわかるリスニング』ベルトロン・セゲス、マリー=ピエール・リコ(DHC)

『フランス語がわかるリスニング』ベルトロン・セゲス、マリー=ピエール・リコ(DHC、2008年5月)
ゆっくりしたやさしいナレーションでフランス語が聞き取れるよろこびを!!
フランス人の書いたフランス文化に関する文章と100語/分のゆっくりしたナレーションによるフランス語リスニング入門教材です。CD二枚、それにナレーションのテクストと日本語訳と訳注を収録したブックレット(小冊子)のセットになります。
全体は、3分から5分の25のチャプター(Chapitre)で構成されています。さらに各チャプターは3~6つ、30秒から1分に分けられています。各チャプターのテーマはアルセーヌ・ルパン、エッフェル塔、チーズからル・コルビジェ、ゲンズブール、スト、地方主義、高級ブランド産業まで、またルイ14世やフランス革命、ナポレオンといった歴史的なものまで様々なテーマが取り上げられています。ただのフランス文化のステレオタイプな解説に終わるのではなくフランス人によって文化の実態が描かれた洒脱やエスプリの効いた内容になっています。リーディングの教材として優れていると思います。
各チャプターごとにネイティヴの女性と男性が交互にナレーションを行います。発音はゆっくりで適度に間をおいて話すのでシャドーイングやディクテーションの練習に向いています。DHCから出ている同じシリーズの『イギリス英語のリスニング』よりは、発音は”教材的”な印象ですが初心者にはわかりやすいです。
僕のオススメの勉強法は、単純なのですが、テクストを辞書を引きながらある程度わかるまで読んで、CDを聴きながらテクストを読んで、次にテクストをCDに合わせて音読する、iPodで移動中などにナレーションを聴く、ということを繰り返すことです。
レヴェル的には大学の第二外国語のフランス語を終わったくらい、仏検4~3級、発音や文法や単語を一応学び終えた方くらいが対象になります。完全初心者や旅行などでとりあえずフレーズを覚えたい方には向いていません。ある程度まとまった文章のリスニングができるようになりたい方の最初の一歩となる教材です。
それなりにおもしろい内容で、フランス語のリスニングを始められる教材です。CD2枚で1500円なので、コスト・パフォーマンスも高いです。

フランス語の綴りの読み方 正しい発音の出発点 稲田晴年 第三書房

フランス語の綴りの読み方 正しい発音の出発点 稲田晴年 (第三書房、2005年4月)
フランス語の綴りの「読み方」を詳しくわかりやすく解説。
フランス語参考書で日本で最も詳しくフランス語の綴りの「読み方」について書かれている本です。
フランス語の綴りと読み方の関係は英語に較べるとはるかに規則的ですが、正しく読むためには規則の理解とコツと慣れが必要です。
この本は、この本は読み方の規則を近似する発音や子音字の単位で、例や比較を挙げながら逐一・詳細に、だけどわかりやすく説明しています。「c」のカ行・サ行の入れ替わりの図示などは、斬新な感じがします。
「脱落のe」「フランス語は必ず子音+母音の組み合わせになるわけではない」「四つの鼻母音の発音の違い」フランス語の発音で重要な「rの発音のしかた」など、重要な発音に関する注意についても書かれています。
この本はフランス語の「綴りの読み方」についての本です。「発音」についての本ではありません。「読み方」について徹底的にレクチャーするけど、それがカタカナ発音という中途半端なスタンスです。”カタカナ発音はフランス語ではなく日本語。””正しい発音を理解しないと正しく読んでいることにはならない。”という面もありますが、全く綴りが読めないとそもそも単語を覚えたり、文を読むことができないので、その本は有効です。(発音の重要性についても触れられています。)
「綴りの読み方」の本なので、「発音のしかた」「口腔母音・鼻母音とは何か?」についてはほとんど書かれていません。別の発音に関する本で、正しい習得する必要があります。サブタイトルに「正しい発音の出発点」と書かれていますが、「発音の出発点」にはならないと思います。「発音」→この本→また「発音」というように、発音や単語を習得しながらたまに読むといいです。
でも、発音記号は書かれているので、発音記号とその発音が理解さている方が読むなら、一段フランス語の理解を深めることができると思います。
CDは、ノンストップでページ番号が読まれた後、そのページに掲載されているひたすら単語が読まれるだけです。使いやすいものではないですが、後に続いてリピートして正しい綴りの読み方と発音を覚えましょう。
フランス語の綴りと読みは、量をこなせば慣れで覚えてしまう部分もあるので、大学などで授業をとっている方は必要がないかもしれません。しかし、全くの独学でフランス語の勉強を始めた方、フランス語を本格的に勉強したり専門にしようと思っている方には必読の一冊です。
それでは、
Au revoir!!
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フランス語の綴りの読みかた―正しい発音の出発点