<バイアス>
ある特定の人種や集団に対して、特定の行為や敵意を示す心理的傾向・見解。ある結論を導き出すための材料が適切ではなく偏っていること。
<恥の文化>ベネディクト『菊と刀』
日本的な文化の型。外面的な制裁に頼って善行がなされる。
<パーソナリティ市場>ミルズ『ホワイト・カラー』
現代社会では人も商品となり、商品の交換価値のように、人の価値が他人の評価と判断で決定される仕組み。
<パーソナル・インフルエンス>ラザーズフェルド
選挙の投票行動において、マス・メディアによるキャンペーンよりも、家族・友人・仕事仲間による説得のほうが強い影響をもつ。パーソナルな影響は、日常の何気ない接触により、個別的具体性をもって結果を直接確認しながら行使される点に強さがある。
<ハビトゥス>ブルデュー
社会的過程のなかで習得され、身に着いた一定のものの見方・感じ方・振舞い方などを接続的に生み出していく性向。学習行動、言語行動、芸術の享受、社会的交換など多くの行動において、ハビトゥスが大きな役割を演じているとし、文化再生産のメカニズムを説明した。
<パラダイム>クーン
科学者集団が共通に活用する概念図式・モデル・理論・用具・応用の全体。科学研究の伝統をつくる。
<パレート最適>
財の配分がなされる時、何人にも不利益ではなく、ある特定の個人の利益を高めるような財の再配分が不可能な状態。
<バンドワゴン効果>ボウランド
ある意見が大多数の人に支持されているということだけで、その意見を受け入れる傾向があること。
<ピア・グループ>
<皮下注射モデル>
マスコミの効果が、即効的に現れること。効果研究では、起こりにくいことだとされ、クラッパーは現象的なアプローチを提唱している。
<批判理論>アドルノ、ホルクハイマー
<伝統的理論>=現存社会秩序の再生産につながるかたちで諸経験を組織づける専門諸科学に対し、所与の経験的事実や特殊的理論の絶対化を拒否するとともに、現実から切り離されたユートピア的思考をも排除する弁証法的・批判的な社会認識の立場。
<非物質文化>
人の行動様式や観念など、人為的ではあっても、物的実体性をもたないため触知することのできない文化の要素。
<フェミニズム>
女性の権利の確立を志向する思想または男女同権主義。男女間の諸権利や地位の不平等が、女性の男性への隷属をもたらしているという認識に立ち、女性解放のために既成の社会構造を変革していこうとする運動論。
<フォークウェイズ>
ひとつの社会の成員が生存競争のために諸欲求を充足させる過程で、彼らのあいだに無意識的・自然発生的に現れる共通の固定的な行動様式をさす。伝統・慣習を通じて世代から世代に継承される間に、その順守が集団の秩序を守るとみなされて社会規範の力をもつ。
<フォーマル組織>
成員個人の主観的な感情や態度からは独立して、組織図や成文規則によって決められ、それにもとづいて組織目標を目的合理的に達成しようとする組織。
<複製文化>
オリジナル文化の「いま・ここに」しかない一回性・非代替性に対して、コピー文化は反復性・大量性=大衆性を特徴とする。しかし、オリジナルが存在しなかったり、存在していてもコピーの原型にすぎない場合、単純なオリジナル=コピー論は通用しなくなる。複製技術の開発と普及は、オリジナルとコピーの境界を不分明にし、コピーの自立性をかえって保障し、確立させる。
<物質文化>
道具、機械、交通・通信手段、建造物など人間の自然環境に対する適応の成果もしくは所産としての物質的事物、発見や発明、伝播によって蓄積され発達したもの。
<物象化>マルクス『資本論』、ルカーチ、広松渉
人の社会的関係が歪曲され隠蔽されて、モノとモノとの関係やモノにそなわる性質としてあらわれる事態。ルカーチはプロレタリアートの意識が疎外され客体化される事態と解した。広松渉は、後期マルクスは人間の本質を社会関係の総体と捉えなおし、本質主義の立場を脱却し、物象論へ移行したとした。
<物神崇拝>マルクス『資本論』
資本主義的生産のもとでは人と人との関係がモノとモノとの関係としてあらわれ、社会関係が物象化され物象的依存関係に変質しているいて、人の労働の生産物にすぎない商品・貨幣・資本などの物質があたかも固有の力をもつ。人は商品・貨幣・資本などを信仰・崇拝の対象とし、これにひざまずくことになる。この事態は、資本主義社会の日常的宗教となっている。
<不等価交換>エマニュエル、アミン
途上国の一次産品と先進国の工業製品とが、同じ労働時間で生産されながら異なる価値を付与されることにより、商品交換を通じて一次産品から工業製品へ価値移転が生じ、低開発をもたらす。
<フリー・ライダー>オルソン
コストを負担せず恩恵のみを教授する人々。共通利益が存在しても、利己的な個人は、強制や貢献に応じた特別な報酬がない限り、負担をさけようとする。
<文化決定論>
個人の人格・行動様式が、属する文化により規定されるという考え方。デュルケームは文化の外在性・拘束性を重視する。
<文化資本>ブルデュー、パスロン
個人や集団の社会的活動の場において有する文化的有利さの可能性の大小。家族その他の社会的環境のもとで伝達される文化的財・知識・言語能力、その他種々のハビトゥスによって構成。
<文化相対主義>
文化的現象を認識したり記述したりする際、対象への価値関与を避け、当の現象の意味を所与の社会的・文化的意味のなかで評価する態度・立場。
<文化遅滞>オグバーン
文化の変化・発展に際して、その要素もしくは内部領域の間で変化の速度に相違がある現象。物質文化と非物質文化ないしは制度的文化の間には文化遅滞があり、社会生活に不適応・混乱・不安をもたらす。技術的文化、社会的文化、イデオロギー的文化に区分すると、技術的文化が最も早く新しいものに移行し、イデオロギー的文化は古いものをより強く残す。
<文化的再生産論>
再生産の過程を、学歴取得など文化的要件の面から明らかにしようとする。
<分衆>
他人と同じ生活に不満をいだき、自分なりの価値観や生活意識を探す人々の群れ。
<ヘゲモニー>グラムシ
一つの階級が他の階級に対して行使する「イデオロギー的・文化的支配力」。支配階級のそれが他の階級にも合意され共有されていることが、社会=経済システムを安定させる要因である。
<弁証法的唯物論>マルクス
客観的事物の発展法則として、対立物の統一と闘争、量的変化から質的変化への移行、否定の否定、が三原則となる。また、本質と現象、必然性と偶然性、現実性と可能性、普遍と特殊などの関連を明らかにした。
<法文化>
社会の法制度・法過程の特徴のうちで、固有の文化価値の伝統によって規定されると考えられるもの。日本のほうの利用・運用の融通性の重視は、文化的伝統によって説明されてきた。
<ポストフォーディズム>
消費需要の多様化・細分化、労働の単調化による意欲低下に対応するため、ME機器など電子技術を装備した生産設備により工場全体を自動制御化し、人の労働を節約し、フレキシブルな生産工程において需要の多様化に応じた多品種少量生産を効率的に行い、企業業績の向上を図ること。
<没意味化>ヴェーバー
人の行為に付与された当初の意味が次第に埋没し、その意味や理念が抜け落ちていくこと。
<ホット・メディアとクール・メディア>マクルーハン
情報の密度が高いメディア=ホット・メディア(ラジオ、映画、写真)は、多くが与えられているため、受け手が関与できる部分が少ない。情報の密度が低いメディア=クール・メディア(電話、テレビ、コミック)は、受け手の参加の度合いが少ない。
<ホッブス問題>パーソンズ『社会的行為の構造』
社会が「万人に対する万人の戦争」なら、どのようにしたら個人間の闘争をやめさせ、社会システムの安定的な秩序をつくりだせるか。その解決法は、共通の価値体系をパーソナリティに内面化させ、その価値体系を社会システムに制度化させることである。
<ポトラッチ>
膨大な量の食物の消費、貴重な財の贈与、それらの破壊によって、気前のよさを示す。社会的地位を示すため、競争的に行われる。
<ホワイト・カラー>
専門的職業、技術的職業、管理的職業、事務的職業、販売的職業などに属する非現業部門の雇用従業者。