<コーポラティズム>
最も包括的な規定を試みると、コーポラティズムとは、何らかの意味で身分制的な色彩を帯びた職能代表制によって政治的・社会的調和を実現しようとする思想・運動・体制である。w.w.2後には、ヨーロッパ諸国で労使の巨大組織を国家の経済政策の決定や執行の過程に参加させる事例が顕著になり、この事態をさすものとして「ネオ・コーポラティズム」が登場してきている。
<イデオロギー>
イデオロギーとは、人間・自然・社会の総体について人々が抱く意識形態。1.彼らの存在にその根底的な意味を与え(価値体系)、2.自己と客観的諸条件についての現実的認識をもたらし(分析体系)、3.願望と確信とによって自己の潜在的エネルギーを意志的に活性化する(信念体系)とともに。4.具体的な社会的争点に対する手段と態度の選択図式を含む。これが社会集団によって共有されると、「社会的イデオロギー」が成立し、それが具体的な諸個人の生活過程を通じて内面化される時、各個人の「個人的イデオロギー」が形成される。 マルクスは、いつの時代にも支配者のイデオロギーが支配的であることを認めつつ、それに対する被支配者のイデオロギー闘争の武器として自らのイデオロギー論を位置づけた。マンハイムは、それは特殊イデオロギーであり、「普遍的イデオロギー」の見方を提起した。それは、自分のイデオロギーに敵対するイデオロギーの虚偽性を暴露するにとどまらず、自己の立場をもイデオロギー論的考察の対象にしようとする。マンハイムは、階級対立を超越したインテリゲンチャの立場によって、この知識社会学的イデオロギー分析の見方が支持されるとした。
<旧意識>
旧社会、旧制度に固有な社会意識を一般的に総称する言葉。W.W.2後、「近代化」「民主化」が社会的中心課題となった時、それとの対比で、戦前支配的であった伝統的、封建的社会意識を指して使われた。天皇制イデオロギーに結晶化された価値体系から、それを基底において支えた人々の社会意識まで包括するが、伝統的・近代的、封建的・民主的の軸では必ずしも切れない部分もあるとする考え方もあり、今日まで繰り返し議論されている。
<存在被拘束>
マンハイムの知識社会学の中心概念。人間の知識は、思想や認識も含めて、その担い手の置かれている歴史的・社会的位置に制約される。そのような存在要因の拘束性は単に発生的な外的意義をもつだけではなく、人々の視座構造まで入り込み、意識の内容と形式を規定する。 上部構造・下部構造
<対自的階級>
自己の階級的位置を科学的に認識し、その位置から生じる矛盾、その矛盾を生み出す階級対立について明確に自覚するに至った階級意識が、対自的な意識である。マルクスによれば、労働者階級こそが、即時的階級から対自的階級に不可避に成熟していく唯一のものである。
<即自的階級>
自己の階級的位置について自覚的な考察を行うことなく、自分の周囲の客観的な状態をあるがままに、ストレートに感じとっている階級意識の段階。
<革新主義>
<保守主義>
社会の現存秩序や組織を保持し、その変革に反対する一般的な社会的・政治的態度。マンハイムは人間の本性に根ざす、変化を好まない自然的傾向を伝統主義として区別しているが、歴史的には、近代保守主義はフランス革命に対する「対抗イデオロギー」であり、つねに伝統主義と結びついていた。保守主義は本来理論的傾向を持たず、現実と理念が一致していることを素朴に革新しており、ユートピア的発想を警戒するリアリズムであり、支配知をその本質とする。