『まるごと覚えようNHKスタンダード40フランス語』大木充(NHK出版)

『まるごと覚えようNHKスタンダード40フランス語』大木充(日本放送出版協会、2000年2月)
初学者のフランス語最初の一冊として推薦!!
文法ではなく、ごく簡単なフレーズや会話やからフランス語に入門するための教材です。それぞれのチャプターのメインになる40の「重要表現」を覚えることが第一の目標とされています。単語の意味とフレーズのつくり方は説明されていますが、”文法”の解説はされていません。
チャプターは基本的に4ページ構成です。1ページ目は、そのチャプターの重要表現と日本語訳、重要表現の状況説明とイラストが書かれています。2ページ目の上半分は、「まず発音してみましょう」として、重要表現に関連する発音の仕方が解説されます。単語を分解してひとつのチャプターでひとつかふたつの発音記号や発音の規則が紹介されます。口蓋の断面図のイラストかパトリスかファビエンヌの写真が使われていてわかりやすいです。2ページ目下部は、もっと知りたいといして表現の応用や関連表現、簡単な文法の解説、単語の意味が紹介されます。3ページ目は「さあ、使ってみましょう!」として、重要表現のフレーズの一部に空欄があってそこに単語を埋めて、表現の応用をしたり発音の練習をします。3ページ目の下部には「文法でパワーアップ!」として、文法のごく簡単な解説があります。4ページ目は上部は「もっと使えます!」として、重要表現のさまざまなシチュエーションでの表現や関連する表現が紹介されます。下部の「こんな場合は?」では、さらに応用的な表現や答える時の表現が紹介されます。
CD1枚付きで、大木先生が進行をしてチャプターごとにパトリスかファビエンヌのフレーズのナレーションが収録されています。まず、「重要表現」が少し遅めの発音とナチュラル・スピードで一回づつ読まれます。「まず発音してみましょう」では、スロー・スピードで重要表現を発音した後、テキストに沿って単語や音節を分解して発音します。最後にもう一度、重要表現を発音します。「さあ、使ってみましょう」では、大木先生がそれぞれ問題を読んだ後、フランス語での解答が読まれていきます。「もっと使えます」「こんな場合は?」では、大木先生が日本語訳を読んで、フランス語での表現やパトリスとファビエンヌによってダイアローグが読まれます。
この本のメリットは、フランス語の知識が全く無くても、簡単な会話フレーズでフランス語を学んでいけるところです。表現は本当に最後まで簡単で、文法の解説も最小限です。全くの初学者が有効な会話フレーズを少しづつ理解していけるように上手く工夫されています。「さあ、使ってみましょう!」の問題は文法の知識が無くても解けるもので、かつ表現や単語を覚えていけることができます。発音を初歩から少しづつ練習していけるのも本書の特徴です。
僕は、この本を発音の練習の教材として、フランス語の独学を始めるキッカケとして、フランス語がどんな言語かということを音声面で知るための本として、中級者も含めて暗記だけではなくある程度応用のできるフランス旅行のための会話フレーズの習得の教材としてオススメします。特に独学で、フランス語を学ぼうとしている方の文法書や単語集の前の最初の一冊として『フランス語のしくみ』よりこちらを推薦します。
この本の使い方は、各チャプターごとに、とりあえず解説を読んで、CDを聴きながらひたすらナレーションに合わせて声を出していきましょう。それが一通り終わったら解説を読まずにCDに合わせて発音だけをしていきましょう。
本書は、音声を中心にした良質のフランス語入門のための一冊です。
Au revoir!!

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『60歳からのフランス語入門』滝沢隆幸・大岩昌子(三修社)

『60歳からのフランス語入門』滝沢隆幸・大岩昌子(三修社、2001年12月)
専門ではない一般の方を対象にしたフランス語文法書です。
アルファベの読み方、句読記号~主語人称代名詞、動詞といった初歩から条件法、接続法といった高度な文法事項まで一通り解説しています。
ひとつのレッソンで2つか3つの文法事項が取り上げられていて、「文法構造の解説」「基本的な会話表現」「発音の説明」で構成されていています。終盤では、「文法構造の解説」と「読んでみましょう」といして単文が日本語訳とともに掲載されています。
CD一枚付きで例文や表の中のフランス語のナレーションが収録されています。ネイティヴの男性と女性がナレーションを行っていて、発音は特に問題はない聴きやすい発音だと思います。
なるべく難しい専門用語を使わずに書かれていますが、普通に文法用語は使われています。全くの初学者でもわかるようにやさしい文法事項から、熟慮して配置されています。
この参考書の特徴は、文法についての解説と会話表現と発音が一緒に習得できるところです。ですが、文法の解説と会話表現の解説と発音の練習内容はリンクしていないのが残念です。初歩から3つの能力を伸ばしていけるメリットはあります。
「60歳からの」というタイトルですが年齢に関係なく使用することができます。というかなぜ「60歳からの」をつける必要があるのかよくわかりません。
Au revoir!!
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『フランス語がわかるリスニング』ベルトロン・セゲス、マリー=ピエール・リコ(DHC)

『フランス語がわかるリスニング』ベルトロン・セゲス、マリー=ピエール・リコ(DHC、2008年5月)
ゆっくりしたやさしいナレーションでフランス語が聞き取れるよろこびを!!
フランス人の書いたフランス文化に関する文章と100語/分のゆっくりしたナレーションによるフランス語リスニング入門教材です。CD二枚、それにナレーションのテクストと日本語訳と訳注を収録したブックレット(小冊子)のセットになります。
全体は、3分から5分の25のチャプター(Chapitre)で構成されています。さらに各チャプターは3~6つ、30秒から1分に分けられています。各チャプターのテーマはアルセーヌ・ルパン、エッフェル塔、チーズからル・コルビジェ、ゲンズブール、スト、地方主義、高級ブランド産業まで、またルイ14世やフランス革命、ナポレオンといった歴史的なものまで様々なテーマが取り上げられています。ただのフランス文化のステレオタイプな解説に終わるのではなくフランス人によって文化の実態が描かれた洒脱やエスプリの効いた内容になっています。リーディングの教材として優れていると思います。
各チャプターごとにネイティヴの女性と男性が交互にナレーションを行います。発音はゆっくりで適度に間をおいて話すのでシャドーイングやディクテーションの練習に向いています。DHCから出ている同じシリーズの『イギリス英語のリスニング』よりは、発音は”教材的”な印象ですが初心者にはわかりやすいです。
僕のオススメの勉強法は、単純なのですが、テクストを辞書を引きながらある程度わかるまで読んで、CDを聴きながらテクストを読んで、次にテクストをCDに合わせて音読する、iPodで移動中などにナレーションを聴く、ということを繰り返すことです。
レヴェル的には大学の第二外国語のフランス語を終わったくらい、仏検4~3級、発音や文法や単語を一応学び終えた方くらいが対象になります。完全初心者や旅行などでとりあえずフレーズを覚えたい方には向いていません。ある程度まとまった文章のリスニングができるようになりたい方の最初の一歩となる教材です。
それなりにおもしろい内容で、フランス語のリスニングを始められる教材です。CD2枚で1500円なので、コスト・パフォーマンスも高いです。