『ほんとうの英語がわかる 51の処方箋』ロジャー・パルバース、上杉隼人(新潮選書、2001年3月)
ネイティヴの言語感覚や日常表現を理解する!!
日本人が暗記中心の硬直的な学校英語・受験英語の中で教えられなかったり誤解してしまっている単語の実際の使われ方や会話表現のあり方をわかりやすく解説した一冊です。
パターンプラクティスを繰り返す「勉強」ではなく、「ほんとうの英語を理解するために必要な51個の単語と言い回し」の解説から「日本人がネイティヴ・スピーカーの心の中に踏み込むこと」を目指します。
全体の構成は、それぞれ一つの単語や表現を取り上げた51の「Step」というチャプターにわかれます。
Stepの始めで、その単語や表現の「you=あなたではない」「companyはguestの意味でも多用される」といったようなネイティブ・スピーカーの持っている感覚を具体的な状況を設定して解説します。「RELEVANT EXAMPLES」では、いくつかの例文を挙げてさらに解説を補強します。「EXTRA POINT」では、それまでの解説には該当しない特別な用法について説明します。さらに「EXTRA EXTRA POINT」があるStepもあります。「ANOTHER MEANING」で、その単語の別の意味の使い方を解説しているStepもあります。
それぞれの解説は短いコラム形式で、文法の構造の解説などではなく、英語の意味や感覚の解説をわかりやすくしてくれます。単語の語源や単語の解説からは脱線したその単語に関連する文化的な感覚や思考についての解説がされているStepもあります。
ネイティヴの実際の日常会話での単語や表現の使い方の感覚が理解できるのが、この本のストロング・ポイントです。筆者が日本人の思考法や言語感覚、日本では誤用されている英単語を熟知していて、ネイティブ感覚で英語を使うためのポイントを上手く取り上げています。
基本的な英語力があって、さらに英語の感覚や表現の意味を深く知りたい方に推薦します。
Cheers!!
『イギリス英語教本ベーシックコース』クリストファー・ベルトン、渡辺順子(研究社)
『イギリス英語教本ベーシックコース』クリストファー・ベルトン、渡辺順子(研究社、2004年11月)
ブリティッシュ・イングリッシュで英語を復習!!
ブリティッシュ・イングリッシュを用いて書かれた英語の基礎を学んだり、復習・確認を行うための本です。
全体の構成はレヴェル順に6つのLESSONで構成されます。各LESSONは「PART 1 背景」「PART 2 会話」「PART 3 練習問題」の3部で構成されそれぞれ「語彙」「文法」「用法」の3つのパートが付加されています。
PART 1では、まずメインになるスクリプトとその日本語訳があって、その後にスクリプトで使われた「語彙」が紹介され、次にスクリプトに関連する「文法」の解説があり、表現の注意点や単語やイディオムの使い方を紹介した「用法」があります。PART 2では、スクリプトが1組か2組のダイアログになっています。「語彙」のコーナーでは、ブリティッシュ・イングリッシュのヴォキャブラリーがアメリカン・イングリッシュとの比較を交えて紹介されます。PART 3は、文法問題や和訳・英訳の練習問題になっています。
CD一枚付きで、PART 1のスクリプトとPART 2のダイアログ、PART 3の問題や解答(英語の部分)のナレーションが収録されています。ナレーションは、パートやダイアログの役割毎にブリティッシュ・イングリッシュを話す男性と女性が行っています。男性の発音がブリティッシュ・イングリッシュなのですが、違和感のある少し日本人っぽい発音です。もしかしたらネイティヴ・スピーカーではないのかもしれません。
この本は「ブリッティッシュ・イングリッシュの文章と音声で構成された英語教本」で「ブリティッシュ・イングリッシュの解説書」ではありません。
文法や表現の解説がネイティブの目線によって書かれているのが特徴でしょうか。
英語から離れていて、ブリティッシュ・イングリッシュを学ぶ目的がある人、ブリティッシュ・イングリッシュに興味がある人・好きな人などにオススメです。
Cheers!!
『英単語イメージ ハンドブック』大西泰斗、ポール・マクベイ(青灯社)
『英単語イメージ ハンドブック』大西泰斗、ポール・マクベイ(青灯社、2008年10月)
単語をイメージで理解することで、その多様な意味とネイティヴ・スピーカーの感覚を理解する!!
筆者の書いてきた英語のイメージ関連の著作のエッセンスを凝縮したダイジェスト版です。
学校英語・受験英語的に複数の意味をもつ日本語訳を暗記するのではなく、言葉の持つイメージを捉えることでイメージの拡張によって生み出された複数の意味を理解するための教材。英語と言う言葉の持つイメージを理解することで、ネイティヴ・スピーカーの言葉の感覚を身につけて表現や読解の力をアップさせることを目指します。
単語独自の中心的な意味・感触・手触り=「イメージ」を解説します。「単語」といっても冠詞や複数形、時制、強調表現など文法や語法などのイメージの解説も含みます。
全体の構成は、「名詞関連のイメージ」(可算と非可算名詞、単数系/複数形、冠詞、量や数の表現)「動詞関連のイメージ」(様々な基礎動詞と関連動詞)「助動詞関連のイメージ」「前置詞関連のイメージ」「接続詞関連のイメージ」「ときのイメージ」(現在形、過去形、進行形、現在完了形)「重要なその他の表現」(強調表現、頻度表現、可能性表現、副詞、代名詞)の各Chapterに分かれます。
Chapterでは、それぞれの単語や事項のセクションに分かれて、適宜イラストを挿入しながら、「基本イメージ」と「Check Point」として具体的な例を挙げながら応用的なイメージを複数解説します。
実際のコミュニケーションの場では、言葉が言葉を語るのではなく、言葉が身の回りの世界を語ります。その点でイメージで動詞の意味を理解するということは大変効果があります。
この本がイメージがイラストで示される点が優れています。あんまり巧くないものも多いですが、ほとんどの項目でイラストが個別に描かれている点が素晴らしいです。
イメージでの単語の理解はイディオムの理解にも役立つと思います。
また、「可算名詞/非可算名詞の区別」「進行形や過去形を使う場面」などあやふやになっている英語の難問を、イメージをベースにした理解をすることで合理的で忘れない知識や感覚を身につけることができます。
助動詞や接続詞、強調表現や頻度表現のイメージが説明されていることが類書には無い特徴だと思います。
「ハンドブック」というタイトルがついたダイジェスト版ですが内容が薄いわけではなく、必要な項目は過不足無く収録されていてイメージの解説も無駄が無く凝縮された無いようです。
結構レヴェルの高い解説書です。英語の基礎が完成していて、さらに表現や理解のレヴェルを高めたい中級者~上級者にオススメの一冊です。
Goodbye!! Cheers!!