『単語耳 英単語八千を一生忘れない「完全な英語耳」 理論編+実践編Lv.1』松沢喜好(アスキー、2007年4月)
英語を無意識に完全に聞き取れることを目標とする教材です。
全体は、語彙力(ヴォキャブラリー)の強化を中心とした英語習得のための方法が解説された「理論編」と単語の発音練習のための「発音バイエル」が収められた「実践編」に分かれます。1/3以上が理論編になります。
CDが2枚付属します。
理論編・第1部では、英語マスターのための「スピードが、すべて最終目標は3倍速での理解」「アクセントのある音節で単語を理解する」「文法の習得は絶対に必要。英語を頭から理解する」といった9か条が提示されて、それに関する日本人の英語習得の問題点や英語習得のためのポリシーや有効な方法が説明されます。
第2部以降では、「完全な英語耳」獲得のための方法の具体的な手法やメカニズムを解説します。筆者は、そのための手順は、「発音」「語彙」「多読」の3段階に分かれるとしています。第2部では、「発音」では、音節や単語、文の発音の構造や特徴が紹介されます。第3部では、オールド・イングリッシュとラテン語に分かれる英単語の起源を軸にして、それぞれの意味の特徴や接頭辞や語根の読み取り方を中心に英語のヴォキャブラリーのための思考法が解説されます。第4部では、ペーパーバックなどの多読の効果と初心者でも苦痛なく読むことができる教材が紹介されます。
実践編では、JACET 8000(『大学英語教育学会基本語リスト 8000語』)の最初の1000語を、子音や母音別に発音の練習をしていきます。(音節や語源に基づいた発音の練習は、次巻以降になります。)
発音記号別に27の章があり、まず、発音のポイントや方法が丁寧に解説されます。それぞれの章でその発音が語頭や語中や語尾にあるか、spやstやs+母音になるかなどによって分類され、順番に並べられてそれぞれの発音の特徴やコツが説明されます。
付属CD1には、それぞれの単語が「スロースピード→ナチュラルスピード」で、ネイティブの女性による発音が延々と収録されています。特に問題の内容だと思います。
巻末には、1000語がアルファベット順で並べられたリストと番号順(重要度)に並べられたリストが収録されています。
CD2には、それぞれのナチュラルスピードの発音のナレーションがひたすら収録されています。
この本の解説や練習の内容は『英語耳』を一応習得していることが前提なっているので、まずそちらで発音の練習をすることをオススメします。
正しい発音を行ってヴォキャブラリーを身につける、「音節」の発音のコツや「音節」で英語を理解する、という方法を提案する新しいタイプの単語教材です。本やCDのヴォリュームから考えてコストパフォーマンスは高いです。
まず、既存の単語教材や発音教材に不満のある方はご一読をオススメします。そして、英語から長くはなれていて単語をほとんど忘れていて、英語をほとんどゼロからやりなおされる方にも大推薦です。
理論編、第3部の語源による単語の機能的・意味的な違いの解説が非常に面白いです。(英語の語源の本を何冊か読んだけど知らなかった。)
Goobye!! See you again!!
『速読速聴・英単語 Core1900 ver.3』松本茂(Z会)
『速読速聴・英単語 Core1900 ver.3』松本茂(Z会、2007年3月)
長文でコンテクストとの関連で単語や熟語を覚えることを目的にした教材。
大きな構成は、100字から130字ほどのニュース記事が収録されたPart 1 News Articlesと短い会話や単文が収録されたPart 2 Short Passagesの2部構成です。Part 1は、ひとつのメインとなるテクストを中心とするトピックが4ページで構成され1ページ目は、本文と語句・構文の解説が半分づつ、2ページ目は読み下し訳と通常訳が半分づつ、3~4ページは単語・熟語とその訳や関連表現となっています。Part 2は、1ページにひとつかふたつの例文と日本語訳、そのそれぞれの例文の下に単語・熟語とその訳が掲載されています。
Part 1のテーマは、「環境」「教育」「社会」「政治」「経済」「司法」「科学・コンピュータ」「医療・健康」「その他」の9つです。各テーマのそれぞれのメインのテクストはほとんどがAPや共同通信、ロイターなどのニュース通信社の記事やワシントン・ポスト、ロサンジェルス・タイムス、USAトゥデイ、ジャパン・タイムスの記事から引用したものが使われて、一部オリジナルがあります。他の教材のように、専門家といってもノンネイティヴの日本人が書いた文章で、英文として不自然、意味が通じない、表現がアクチュアルじゃない、ということがありません。本物のニュースの文章が使われているので、英字新聞や英語ニュース・ラジオを理解するための内容面での基礎知識も身につけることができます。
CDは二枚付属で、1枚目はPart 1と2の本文のナチュラルスピードでのナレーションが、2枚目はPart 2の本文のスロースピードでのナレーションが収録されています。発音はネイティブの女性と男性によるもので、普通のアメリカン・イングリッシュだと思います。
例文主義や単文での英語学習を序文で否定てしておいて、短い文章で構成されてるPart 2が収録されているのが理解できません。Part 2は削除して、Part 1を増量するべきではないでしょうか?
僕のオススメの勉強法は、スロースピードのCDを流しながら日本語の読み下し文を読んで、止めて単語とその訳を読む、また同じナレーションを聴きながら英文を読んで次のトピックにすすむ、これを一日20分繰り返すことです。一度か二度それを通してやって、英文の内容が一応理解できるようになったら、スローピードのCDを流しながらナレーションに合わせてテクストの英文を次々に読んでいって、スロースピードがマスターできたらナチュラル・スピードでそれを行います。
発音・文法・基礎的なヴォキャブラリーを習得されている方がヴォキャブラリーを中心に英語力を総合的に強化するための教材としてオススメです。
Goodbye!! See you again!!
『英語のリスニングは発音力で決まる! UDA式30音練習帳』鵜田豊(ジャパンタイムス)
『英語のリスニングは発音力で決まる! UDA式30音練習帳』鵜田豊(ジャパンタイムス、2004年10月)
「発音ができないとリスニングはできない」というポリシーで書かれた、12日間で英語の発音を習得するための教材です。前半の7日間は、発音記号ひとつひとつの練習を丁寧に行って英語の発音を口に覚え込ませます。後半の5日間はイントネーションや音の変化、文の発音の練習を行います。
前半の「英語の口を覚える7日間」では、まず1日目に「口まねトレーニング」があって、2日目以降、個々の発音記号を練習していきます。それぞれの発音記号の練習のページは、「発音のポイント」と発音時の口元の写真、口の断面図のイラストが掲載されていて、「発音記号を単独で2度か3度発音→単語を発音の最小単位に解体して発音→単語を発音→別の単語を3つ発音→例文を発音」というかたちで発音を練習します。それぞれのDayには、発音とリスニングのテストがあります。
後半は、母音と子音のバランスや英語の音の共鳴させ方、イントネーションや文の中でのアクセントを口まねをすることで習得していきます。Day12はリスニングのテストになっています。
発音はアメリカン・イングリッシュです。
僕はブリティッシュ・イングリッシュが得意なんで、いまいちリスニングテストができませんでした。
『英語耳』や『英語舌のつくり方』とは違った教材で発音を勉強してみたい方にオススメです。
巻末には付録として、オーストラリア英語、ブリティッシュ・イングリッシュ、南アフリカの訛りの解説があります。