『誰もここまで教えてくれなかった使える裏技 ネイティブなら子どものときに身につける 英会話なるほどフレーズ100』スティーブ・ソレイシィ、ロビン・ソレイシィ(アルク、2000年4月)
ネイティヴの子どもが使うベーシックなフレーズを沢山覚えて会話能力を向上!!
日本人が見過ごしている簡単な短いフレーズによるベーシックで日常的な表現を学ぶことでコミュニケーション能力を高めるための一冊。
100個のフレーズ収録で、全体の構成は以下の5章に20づつフレーズが収録されています。
「BABY」Go ahead. Here. Almost! Not yet. It’s OKなど
「KID」What’s that mean? Hi! Oh well. How was …? How about?など
「CHILD」What do I have to do? Sure. I’m not sure. See you later. We should…など
「PRETEEN」Do you mean this? That’s not what I mean. I’ll get it. I think I… Maybe it’s…など
「TEENAGER」I love this! I can’t help it. I’m not sure how. What do you think? Take your time.など
章が進むごとに難しく長い表現になっていきます。
本文のページの構成は、見開き1ページでひとつのフレーズを取り上げています。左ページの上半分はそのページの基本のフレーズとその日本語訳、そのフレーズが使われるダイアログと場面を描写したイラストが描かれています。下半分は「POINT」では、そのフレーズの意味が例文や比較、使用例を挙げながら易しく解説されます。「POINT」の下には「BE CAREFUL」として、使ってはいけないシチュエーションやTPO、日本が陥ってしまう誤用や誤解について解説します。右ページの上半分は、「GROWN-UP」としてフレーズの応用的な表現や関連表現が取り上げられ、具体的な場面をダイアログとイラストで提示します。下半分は「ONE MORE STEP」として、その表現の文化的な背景や思考、応用的・実践的な表現のためのアドバイスが解説されます。さらに、その下には「EXERCISES」として日本語の文を英訳する問題が2~3個出されます。
CDのナレーションはネイティブの男性とバイリンガルの女性によって収録されています。バイリンガル女性によって基本のフレーズとその意味が読まれて、(ここで、半分くらいのフレーズで筆者の解説が入ります。)、ダイアログとその日本語訳が読まれます。その後、続けてバイリンガル女性によってグローイング・アップのフレーズ、そのフレーズが入ったダイアログの一部と日本語訳が読まれて、(ここでも筆者の解説が入ることがあります。)ネイティヴ男性によってダイアログが読まれます。
取り上げられているフレーズは、どれも簡単ですが日本人が微妙なニュアンスを知らなかったり、意味を誤解していたり、誤用しているようなものばかりです。そのニュアンスや誤解、誤用を丁寧にわかりやすく指摘して解説してくれます。英語を解体して詳細な解説を加えて難しくしたり、高度なフレーズや表現を覚えるのではなく、ネイティヴの子どもが使う基本的なフレーズに立ち返ることで、日常で円滑に効率的に相手に意図を伝えるためだったり、迅速にアフォーダブルに会話に対応できたりすることに必要な英語の思考力や会話能力を鍛えてくれます。難しいフレーズや表現を覚えるのではなくて、簡単なフレーズを沢山覚えたりそれを応用することで、ベーシックな会話能力を身につけるのが本書の狙いです。
基本的な表現力や作文力を向上させたい方にオススメです。英会話入門としてもオススメです。
Goodbye!! See you again!!
『ネイティヴスピーカーの単語力 1基本動詞』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社出版)
『ネイティヴスピーカーの単語力 1基本動詞』大西泰斗、Paul Chris McVay(研究社出版、1999年4月)
動詞をイメージで理解して、ネイティヴ・スピーカーの感覚に迫る!!
学校英語・受験英語的に複数の意味をもつ日本語訳を暗記するのではなく、言葉の持つイメージを捉えることでイメージの拡張によって生み出された複数の意味を理解するための教材。動詞の持つイメージを理解することで、ネイティヴ・スピーカーの言葉の感覚を身につけて表現や読解の力をアップさせることを目指します。
全体の構成は、「さあ、はじめよう」「移動をあらわす動詞」「変化をあらわす動詞」「静的状態をあらわす動詞」「知覚をあらわす動詞」「思考をあらわす動詞」「伝達をあらわす動詞」「入手をあらわす動詞」「創造をあらわす動詞」「インパクトをあらわす動詞」というパートに分かれます。それぞれのパートではイメージの原型や基礎となる「PROTOTYPE」が単数あるいは複数提示され、応用的で具体的なイメージを持つ「MORE SPECIFIC」が紹介されます。さらにそれぞれの動詞には、その語の原義をあらわす「基本イメージ」とその応用である「派生イメージ」があります。
本文のページの構成は、まず取り上げられる英単語が提示され、基本イメージとしてそのイラストと例文を用いながらの解説が入ります。次に派生イメージに移って、それがいくつものイラストや例文を使いながら解説されます。goやcomeなどの「PROTOTYPE」のように派生イメージが複数ある動詞もあれば、具体的なイメージを持つ「MORE SPECIFIC」の単語では派生イメージがないものもあります。
実際のコミュニケーションの場では、言葉が言葉を語るのではなく、言葉が身の回りの世界を語ります。その点でイメージで動詞の意味を理解するということは大変効果があります。
この本がイメージがイラストで示される点が優れています。あんまり巧くないものが多かったり意味がわからないものもありますが、イラストが個別に描かれている点が素晴らしいです。
イメージでの単語の理解はイディオムの理解にも役立つと思います。
「イメージで動詞を理解する」という発想は優れていると思いますし、それと同様のことがないと英語をマスターしたとは云えないと思います。しかし、派生イメージの説明はもちろん間違っていませんし基本的には有用ですが、これを覚えてどこまで表現や読解に活かせるのか、結局理解を言語に還元していないか、という点が少し疑問です。本当にイメージで英語を理解するには、沢山、英語を読んで聴いて話して、慣用の中でイメージを定着させて、この本の日本語の説明を忘れていくことが必要だと思います。
基本的な英語力があって、コミュニケーション能力や理解力や読解力を高めたい人にオススメです。
Goodbye!! See you again!!
『単語博士 いちばん知りたい暮らしの単語』山岸勝榮(小学館)
『単語博士 いちばん知りたい暮らしの単語』山岸勝榮(小学館、2003年2月)
コミュニケーションのための文化的意味が解説されたおもしろい単語帳!!
日常的に使う単語や表現とその簡単な説明が書かれた単語集。筆者によると「「読んで楽しく、引いて身につくミニ和英辞典」的書物」だそうです。
全体は「注意したいことば」「会社の英語」「家庭生活の英語」「体・健康の英語」「社会の英語」の5つのパートに分かれます。
本文のページの構成は、1ページに3~5つほどの項目が収録されています。各項目は左側に日本語の単語や表現が書いてあって、その横にそれに対応する英語の単語か表現が載っています。その下にはその表現の解説や注意点と例文、関連する表現が載せられています。
見出し語800語ほど、派生語やその他の単語情報を含めると1300語を収録しています。
暗記のために「辞書的意味」(denotative meaning)によって書かれた通常の単語帳とは違い、コミュニケーションのための「文化的意味」(connotative meaning)やネイティヴ・スピーカーとのコミュニケーションの手助けとなる基本的な情報が掲載されているのがこの本の特徴です。日本人が間違いやすい表現の注意や「playは「エッチな遊び」をするという意味もある」というような間違ってはいけない表現、ネイティヴ・スピーカーの言葉の感覚、同様の表現での日本語と英語での意味の比較、「ところてん式に=ベルトコンベアー式に」のような同じ意味を持つイディオムやことわざ、和製英語や「ハプニング」などの日本語で用いられている英語と実際の英語の意味の違い、「storeとshop」など英米での意味や表現の違い、など表現や理解に役立つ知識がわかりやすく書かれています。その単語の解説から離れて関連する豆知識のみが書かれている項目もあります。「教育ママ」や「ばんそうこう」「飲み放題」「プレイボーイ」「奴」など一般の単語集では紹介されない言葉も紹介されています。
それぞれの英単語の文化的意味や日本語との違いがポイントを押さえてわかりやすく書いてあって、筆者の英語知識の豊富さと確かさを実感できる素晴らしい単語帳です。ネイティヴと深いレヴェルで意味が通じるコミュニケーションのための英語を学びたい方にオススメです。寝転びながら気軽に面白く読めて、英語に対する理解力を深めてくれる一冊です。
Goodbye!! See you!!