『ニュース英語のキーフレーズ8000 経済・金融・産業・ビジネス』晴山陽一(DHC)

『ニュース英語のキーフレーズ8000 経済・金融・産業・ビジネス』晴山陽一(DHC、2002年12月)
ニュース英語や英字新聞を理解するためのボキャブラリーの習得に!!
ニュース英語を理解するための経済・金融・産業・ビジネスのための単語やフレーズを集めた単語集です。
全体は「経済」「金融」「産業」「ビジネス」のパートに分かれ、それぞれに複数のチャプターがあり、ビジネスなら「企業・組織」「営業・業務」「販売」「人事」「雇用・労働」「倒産・再建」「経営」「会計・財務」「業績・法務」いうチャプターで構成されています。
本文のページでは1ページに3つのフレーズが紹介されます。それぞれのフレースでは、日本語訳とそれに対応する一つか二つのフレーズあるいは単語と発音記号が表示され、その下にそのフレーズの説明がされます。さらにそのフレーズの複数の関連表現やそのフレーズを用いた例文が記述されます。
CD2枚付きです。内容は、まず日本語が読まれ、その後にネイティヴの女性によってフレーズが発音されます。これがずっと続きます。
複合語が多いのでそれを単語集で勉強して意味があるのか、という印象が少しあります。
「ニュース英語」というタイトルですが「ニュース英語」というより「経済・ビジネス英語」の方が適切なタイトルだと思います。「経済・ビジネス英語」としてはかなり多くのボキャブラリーが習得されています。ビジネス英語の基礎~中級を習得したい方にオススメです。
それでは、
Goodbye!! See you again!!

『NHK新感覚☆わかる使える英文法 文法がわかれば英語はわかる!』田中茂範(NHK出版)

『NHK新感覚☆わかる使える英文法 文法がわかれば英語はわかる!』田中茂範(日本放送出版協会、2008年2月)
主体がどう世界を表現するかという観点から英文法の時間・空間の感覚や意味の力学を解体して解説!!
直接的な「表現のためにすぐ使える解説」というよりも、文法事項が持っている時間と空間の感覚、言葉の意味の力関係を徹底的に解説します。
全体の構成は「コトの世界を語る:動詞の文法」「モノの世界を語る:名詞の文法」「状況を語る:副詞の文法」それらの組み合わせと総合について解説する「チャンキング:構文と配列」に分かれます。全体の半分が動詞で残りの3つのパートが1/3づつといったページ配分になっています。
それぞれのパートには複数のチャプターがあり、3つのセクションで構成されます。各パートの始めにはパートの内容を概観するOverviewと終わりにSumming-upとして各パートで学習した内容をまとめてあります。
「表現主体が世界を以下に表現するか」という視点から英文法を視る筆者が「表現英文法」と呼ぶ英文法で書かれた文法解説書です。文法には意味的な動機づけがあると考え文法を説明していきます。それによって、文法を意識的に「使い分ける」ことと「使いこなす」ことを目指します。
英文法の持つ感覚を主体の側から解きほぐして、ニュアンスやシチュエーションの違いによる意味の違いを理解することで、「be going toがなぜ未来をあらわすのか?」「他動詞とそれに続く前置詞の有無/自動詞」「to do不定師と動名詞のニュアンスの違い」といった構造の解説だけでは意味がよくわからない文法事項がなぜそういった形になるのか、意味になるのか、理解できます。「can/be able to」「be going to/will」「would/used to」の意味の違いを使用者の立場から解説して、学校英語では単純に交換可能だとされるそれらの使い分けを明晰に説明します。
「対称の捉え方の5つの名詞の型の違い」「形容詞の並べ方(冠詞の有無や単数形・複数形)」の説明は見事です。
最終チャプターの「語句の配列とチャンキング」では、英語のサブジェクティブな性質と強い線状性の構造といった英語の本ついて解説されていて興味深いです。
1100円という値段やソフトカバーの装丁のイメージとは違ってかなり高度な内容の本です。筆者の専門である認知言語学の知見に基づいて書かれた本で、少し哲学や記号論の本を読んでるような気分になります。この本を読んでると抽象的な思考力や哲学的な感覚が高まる気がします。
半年の語学番組のために筆者が作成したテキストを凝縮して再構成したのが本書です。値段の割に情報量が多く、コストパフォーマンスは非常に高いです。一気に読むのでは、毎日、1チャプターづつ深くしながら読むこととオススメします。
筆者も書いていることですが、この本の知識を本当に身につけるにはただこの本の内容を覚えるだけではだめで、この本に書いてある内容を実際の表現の中で実践する必要があります。しかし、この本がないとノンネイティヴが不定師と動名詞、can/be able toの使い分けや形容詞の並べ方傾向を理科して意識して使用できないと思います。
学校英語ではないコミュニケーションや表現のための英語を目指している方には必読の一冊です。すごくいい本です。

『ネイティヴスピーカーの単語力2 動詞トップギア』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社出版)

『ネイティヴスピーカーの単語力2 動詞トップギア』大西泰斗、Paul Chris McVay(研究社出版、1999年11月)
単語のニオイや肌触りを知ることでネイティヴ・スピーカーの感覚に迫る!!
学校英語・受験英語的に複数の意味をもつ日本語訳を暗記するのではなく、言葉の持つイメージを捉えることでイメージの拡張によって生み出された複数の意味を理解するための教材。動詞の持つイメージを理解することで、ネイティヴ・スピーカーの言葉の感覚を身につけて表現や読解の力をアップさせることを目指します。
全体の構成は、「さあ、はじめよう」「移動をあらわす動詞」「変化をあらわす動詞」「静的状況をあらわす動詞」「知覚をあらわす動詞」「思考・感情をあらわす動詞」「伝達をあらわす動詞」「授受をあらわす動詞」「創造をあらわす動詞」「インパクトをあらわす動詞」の各章に分かれます。各章は、前作の『ネイティヴスピーカーの単語力1 基本動詞』の9つの『PROTOTYPICAL IMAGE』のグループに対応していて、本書はその原型イメージに入ることになる応用的な動詞を深く掘り下げていくことを目的としています。
それぞれの章は、いくつものセクションで分かれます。例えば、「静的状況をあらわす動詞」では、「持」「保」「留」「住」「含」「止」「同」「異」のセクションに分かれています。各セクションでは、少ないもので3個、多いもので10ほどの動詞が収録されています。例えば「同」では、「equal」「agree」「coincide」「correspond」「match」「tally」が紹介されます。それぞれのセクションではまず、そのセクションのベースになるイメージがイラストと文章で説明されます。その後でそれぞれの単語のイメージがイラストと解説、例文で説明されます。1ページに2~3個、単語が収録されています。
解説は簡単ですが的確に内容を捉えていると思います。例文も解説やイラストの内容を反省しています。一般的な動詞からかなりレアな難しい動詞も紹介されていて、特にレアな動詞をどう使い分ければいいか、どう解釈すればいいか、理解できるという点が優れています。
実際のコミュニケーションの場では、言葉が言葉を語るのではなく、言葉が身の回りの世界を語ります。「study」「research」「learn」「investigate」「delve」はすべて辞書的な日本語訳だとすべて「学ぶ」で理解してしまいますが、実際にはそれぞれ違った意味やニュアンスがあり、使用するシチュエーションも違います。その点でイメージで動詞の意味を理解するということは大変効果があります。また、イメージでの言葉の豊かな理解やイメージの理解による同意語の使い分けは表現力を高めてくれます。
この本がイメージがイラストで示される点が優れています。イラストが個別に描かれている点が素晴らしいです。挿絵として書いたわけの分からないイラストではなく、ちゃんと内容を反映しています。
この本は、シリーズ1の『基本動詞』よりも、中級以上の英語を学ぶ全ての人に確実に有用だと思います。読んで絶対に損や時間の無駄にはなりません。
基本的な英語力があって、コミュニケーション能力や理解力や読解力と中心に英語力を一段高めたい人にオススメです。
Goodbye!! See you again!!