『だれにでもわかる鬼コーチの英語講義 ゼロからスタート英文法』安河内哲也(Jリサーチ出版、2003年9月)
全体の構成は、INTRODUCTION「文法の基礎をもう一度」と10のSECTIONとして「さまざまな文のかたち」「時制と時間表現」「完了形と助動詞」「文型のポイントと受動態」「不定詞と動名詞」「分詞と分詞構文」「関係詞」「仮定法」「形容詞と比較」「接続語とその他重要事項」に分かれます。SECTIONの中はそれぞれ5個ほど、合計52のUNITに分かれます。SECTIONの終わりには「かんたん10分エクササイズ」があります。巻末には「英文法公式120」としてそれぞれUNITで取り上げられた重要ポイントがまとまられています。
「文法の基礎をもう一度」では、品詞の種類を確認して基本的な文法用語を確認します。UNITでは、それぞれひとつの文法事項が解説されます。例文が2つ提示され、解説が2~3項目入り、最後に簡潔に整理された「まとめ」があります。「かんたん10分エクササイズ」では、日本語を英訳する問題が10題、出題されます。
CD一枚つきで、UNITでは例文がネイティヴの女性によって発音され、日本人の男性による文法の解説が入ります。「かんたん10分エクササイズ」では、問題の答え(英文)がネイティヴの女性によって読まれます。
文法の解説が音声によって学習できるメリットがあります。
「ゼロからスタート」というタイトルですが、ある程度、英文法の知識が確かな方がゼロから復習するために書かれた本です。最も”基礎的な解説”はカットされています。
文法をただ暗記するだけではなく、表現に使用できたり理解に役立つようにわかりやすく文法が解説されています。様々な「文のつくり方」がわかりやすく解説されているのが本書の特徴です。
短時間で英文法全体を俯瞰しながら再確認をしたい方や表現のために文法の知識を再構成したい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!
『ハートで感じる英文法 会話編』大西泰斗、ポール・マクベイ(NHK出版)
『ハートで感じる英文法 会話編』大西泰斗、ポール・マクベイ(NHK出版、2006年5月)
文法事項の形の定義ではなく、イメージや感覚をつかむことで文法と表現を融合させる!!
Lessonは12あって、「to不定詞」「if」「知覚構文」「倒置」「否定」「時制の一致」「「とき」の感覚」「some & any」「可算・不可算」「疑問詞・関係詞」「使役動詞」「up & down」となっています。
各レッスン構成は、まず「Is your Grammer Working for you」で例文を示して読者の理解力を問います。「Traditional Approach」では、従来の学校英語的な形の定義による文法事項の説明を紹介します。次に、本書の独自の文法の解説である「Power of Grammar」になります。「STEP 1」では、「その呼吸をつかまえろ」というタイトルでその文法事項がもっている基本的感覚を紹介します。「STEP 2」では、例文を挙げて、この文法事項が持つ意味や表現方法を解説します。「STEP UP」では、関連する文法事項や応用的な表現の説明でさらに理解を深めます。レッスンの最後は「Now, Switch on Your Conversation Power」で、復習をしたり、その文法事項を実際の会話の中でどう使ったりどういう意味で理解されるか、ということが解説されます。
既存の文法書のように表現の解説や形の定義ではなくて、ネイティヴ・スピーカーが無意識的に感じている文法事項のイメージや機能を解説して、さらに会話や表現での応用方法を説明します。
例えば、「to不定師」では、to不定詞と前置詞の「to」を意識的に区別していないで、無意識的に使っているネイティヴの感覚=「呼吸」で理解しようとします。「指し示して」「足りない情報を埋める」というようにtoがもっているイメージを理解して迅速で応用のきく英語表現ができることをめざします。
ネイティブ感覚での英語理解を学ぶための参考書ですが、外国語を理解するためには知識としての文法理解が必要です。この本は、一通りの文法の知識がないと難しいと思います。文法の知識を解体して、実践的な表現力に再構築するための参考書です。ある程度の英語力があって、会話やライティングなどのための表現力や日常会話や口語の理解力を伸ばしたい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!
『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社)
『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社、2005年11月)
「表現解説」ではなく、ネイティブの英語の感覚や英文法の意味の構造の感覚原理を解説!!
既存の文法書のような「表現解説書」ではなくて、英語の「絶対基礎力」を身につけるために<5つの感覚原則>を中心に英文法の意味の構造を解説する参考書です。4章構成で、各章のタイトルと内容は以下のようになっています。
1.「英語の骨格を決める配置感覚」「てにをは」のない英語の配置の重要性を感覚原則<並べると説明>も用いて説明。そして、様々な文型や構文がもっている意味を解説します。
2.「骨格を変形する」配置を重視する英語における「主語ー助動詞倒置」を<不安定な感情>の表現という感覚原則で説明。
3.「修飾する」<前は限定><並べると説明><穴は埋めろ>という感覚原則を用いて、形容詞・限定詞・wh語の配置関係を含めた機能やイメージを解説。
4.「「とき」をあらわす」<ときは距離>時制が持っているイメージや機能の違いを心理的距離の違いとして説明。距離によって丁寧表現や仮定法も説明します。
文法の表現を逐一解説していくのではなくて、ネイティヴスピーカーの言葉への意識や英文法の持っている意味の基本構造を解説します。冠詞や時制の使い方、倒置法の意味や使い方など、既存の文法書でなぜこうなるのかが解らなかった部分の構造の原理を解きほぐして解説していて、英文法の疑問点を解消することができます。英語のリーディングだけではなく、ライティングから会話までメリットがあると思います。
「絶対基礎力」というタイトルがついていますが、初心者には高度な内容です。初心者がいきなり読んでもよくわからないと思います。この本が対象になるのは、一通りの英文法の知識や英語力がある方です。この本は学校英語の英語の知識を整理して再構築するためのものです。基礎的な英語力があって、さらに実践的な表現力やより深い読解力を獲得したい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!