『英単語イメージ ハンドブック』大西泰斗、ポール・マクベイ(青灯社、2008年10月)
単語をイメージで理解することで、その多様な意味とネイティヴ・スピーカーの感覚を理解する!!
筆者の書いてきた英語のイメージ関連の著作のエッセンスを凝縮したダイジェスト版です。
学校英語・受験英語的に複数の意味をもつ日本語訳を暗記するのではなく、言葉の持つイメージを捉えることでイメージの拡張によって生み出された複数の意味を理解するための教材。英語と言う言葉の持つイメージを理解することで、ネイティヴ・スピーカーの言葉の感覚を身につけて表現や読解の力をアップさせることを目指します。
単語独自の中心的な意味・感触・手触り=「イメージ」を解説します。「単語」といっても冠詞や複数形、時制、強調表現など文法や語法などのイメージの解説も含みます。
全体の構成は、「名詞関連のイメージ」(可算と非可算名詞、単数系/複数形、冠詞、量や数の表現)「動詞関連のイメージ」(様々な基礎動詞と関連動詞)「助動詞関連のイメージ」「前置詞関連のイメージ」「接続詞関連のイメージ」「ときのイメージ」(現在形、過去形、進行形、現在完了形)「重要なその他の表現」(強調表現、頻度表現、可能性表現、副詞、代名詞)の各Chapterに分かれます。
Chapterでは、それぞれの単語や事項のセクションに分かれて、適宜イラストを挿入しながら、「基本イメージ」と「Check Point」として具体的な例を挙げながら応用的なイメージを複数解説します。
実際のコミュニケーションの場では、言葉が言葉を語るのではなく、言葉が身の回りの世界を語ります。その点でイメージで動詞の意味を理解するということは大変効果があります。
この本がイメージがイラストで示される点が優れています。あんまり巧くないものも多いですが、ほとんどの項目でイラストが個別に描かれている点が素晴らしいです。
イメージでの単語の理解はイディオムの理解にも役立つと思います。
また、「可算名詞/非可算名詞の区別」「進行形や過去形を使う場面」などあやふやになっている英語の難問を、イメージをベースにした理解をすることで合理的で忘れない知識や感覚を身につけることができます。
助動詞や接続詞、強調表現や頻度表現のイメージが説明されていることが類書には無い特徴だと思います。
「ハンドブック」というタイトルがついたダイジェスト版ですが内容が薄いわけではなく、必要な項目は過不足無く収録されていてイメージの解説も無駄が無く凝縮された無いようです。
結構レヴェルの高い解説書です。英語の基礎が完成していて、さらに表現や理解のレヴェルを高めたい中級者~上級者にオススメの一冊です。
Goodbye!! Cheers!!
『連想式にみるみる身につく 語源で英単語』清水建二、ウィリアム・ジョセフ・カリー(学研)
『連想式にみるみる身につく 語源で英単語』清水建二、William Currie(学研、2008年1月)
語根の理解よって発展的に英単語を理解!!
英単語を構成するパーツの語源を理解することで単語の記憶と未知語の意味の予測を目指す教材。
全体の構成は、基本のword partsごとに100のチャプターに分かれます。20チャプターごとに語源で腕試しとして練習問題があります。
本文のチャプターは見開き2ページでひとつのword partsを取り上げます。まず左ページでは、そのページで取り上げる一つあるいは複数のword partsとその意味が提示されます。左ページの上半部は、そのword partsが含まれる単語の意味をイラストで表現して、「Back to Roots」のコーナーでは、語源のword partsを覚えるキッカケになるカタカナ語や基本的な英単語を紹介します。下半部「訳語を考えよう!」では、3問のクイズ形式で、word partsの組み合わせられた単語とそれを使った例文とその単語の部分が空欄になった日本語訳、単語の意味のヒントによって単語の意味を推測します。右ページでは、word partsを用いた6つの単語と発音記号と名詞形などの派生形、それらの品詞と意味が書かれます。それぞれの単語には「語根de連想」として語根を分解した意味の簡単な解説と、単語を用いた例文と日本語訳が掲載されています。
CD一枚付きで、ネイティヴ・スピーカーの女性によるナレーションが収録されています。内容は、各本文のチャプターのメインになるword partsの意味が日本人の女性によって読まれて、ネイティヴの女性によって、右ページの単語と派生語が次々に読まれていきます。発音は流暢なアメリカン・イングリッシュです。
「語源の解説」というよりは、語根を覚えて意味を連想していくための感覚を養う教材です。
ただ知識として語根や語源を知るだけではなく、実践的具体的にイメージが湧いて、それによって単語・応用的な単語が理解できるように工夫されています。結構、面白く読める本です。また、office=仕事を「する」場所、official=「作られた」、finance=「終わる+名詞」→「清算すること」のように言葉のもとの意味、原義にも触れることができます。
イラストは、語根の意味やイメージを解りやすく表現しているものもあれば、適当に書かれたよくわからないものもあります。
CDが、本を読んだ後にそらで聴いて単語の意味を予測するくらいにしか使えないのが残念です。
”英単語の暗記”から脱却したい方、既存の単語集ではヴォキャブラリーが増えなかった方、違った感覚で英語の勉強をやり直したい方にオススメです。中学生や高校生が読んでも役に立つと思います。
Goodbye!! Cheers!!
『バーナード先生のネイティヴ発想・英単語』クリストファ・バーナード(プレイス河出書房新社)
『バーナード先生のネイティヴ発想・英単語』クリストファ・バーナード(プレイス河出書房新社、2004年6月)
基本名詞の表現のヴァリエーションや語の連関からヴォキャブラリーを強化する。
通常は動詞の持っている用法や原理的な感覚を学ぶのが類書の傾向ですが、この本は動詞を中心にしてヴォキャブラリーを増やすことと英語とそれがつくる言語の世界の理解を目指します。
「名詞が動詞(そしてその他の言葉)を文の中に連れてくる」という考え方である「名詞の文法」から英語のボキャブラリーを広げることをコンセプトにしています。理論的には、単語が誘導してくるコロケーションの固まり(チャンク)を覚えたり、冠詞や形容詞、動詞、動詞につく副詞、単語がつくるフレーズの「文法」を学んだり、「生活空間」の中での単語同士の連関から自然にボキャブラリーを増やしていくことで、ネイティヴと同じ発想でヴォキャブラリーを増やします。
本文のページの構成は、すべての単語で2ページがひとつのユニットになっていて、101の単語がアルファベット順にならんでいます。まず見出し語とそれの名詞が可算名詞か非可算名詞化が表示されます。まず、「文法・語法情報」として文法・語法面での注意事項と日本と英語圏での文化的な意味の差異について解説します。これ以降の表現やフレーズの紹介の項目は単語によって種類が違っていて以下のものから3~4の項目が紹介されます。「○○からのバリエーション」として、その単語につく様々な形容詞がついた語や関連表現を紹介します。「○○が連れてくる動詞」として見出し語の動詞がついたフレーズを紹介します。「関連表現」として見出し語を含まない単語やフレーズを含めた表現が紹介されます。「決まり文句」では、見出し語を用いた慣用表現が紹介されます。「「○○」に関わる表現」では、その単語の中心になる意味や状況に関連するその単語を使ったフレーズや表現が紹介されます。(roadでは、「位置」「ナビ」「行動」が取り上げられます。)「ストーリー」では、その単語を用いた文章とその日本語訳が紹介されます。
名詞の意味や表現にスポットを当てた新しいタイプの英語教材です。
Goodbye!! See you again!!