『耳単 英語のリズムでらくらく1000語』中田憲三、中田匡紀(ジャパンタイムズ)

『耳単 英語のリズムでらくらく1000語』中田憲三、中田匡紀(ジャパンタイムズ、2005年9月)
ボサノヴァのリズムで効果的に単語を覚える!!
重要単語1000語をBGMにのせたナレーションを聞くことで効率的に覚える単語集です。
全体の構成は一日の学習の目安である10のDAYに分かれます。
DAYの最初にはそのDAYで覚える単語100個前後の一覧があります。
本文のページでは、左右のぺーじそれぞれ上下に5段の項目に分かれています。項目の上部には1つから3つの見出し語と発音記号、日本語訳が書かれています。見出し語は単語と一部複合語とイディオムがあります。項目の下部には例文とその日本語訳があります。例文がアクセントの部分が赤い文字で書かれ、グレーのボックスで囲まれていて、発音を区切るアクセントの前の部分で間隔があります。この間隔は単語の途中にも置かれています。
各Dayの終わりには穴埋め式の練習問題があります。
CD2枚付きでネイティヴ・スピーカーの女性によるナレーションが収録されています。
ナレーションはまず見出し語が読まれて日本人の女性によって日本語訳が読まれます。次に、これがその本の特徴なのですが、上記のグレーのボックスの表示を反映して単語の中を含めて、文を区切って例文を発音します。その次に普通に例文を発音して、次の項目に続きます。
発音はアメリカン・イングリッシュです。
アクセントで区切って発音してある例文のナレーションは、おそらく後でハードディスク・レコーダーで編集して間隔を入れたものなので違和感があります。
ナレーションには記憶力を高めるためのBGMが付けられています。曲はポップス、ブギウギ、フュージョン~AOR風を右脳が活性化する4/8拍子にアレンジしたものです。テクノ・ポップやハウスではない打ち込みのほとんどループの単調な展開のかなり少ない(通常のポピュラー音楽ではこんな中途半端な展開はありえない)音楽が休みなく10分以上続くのが不快です。『キクタン』の方が音楽のクオリティが高いです。
BGMにくらべてナレーションのヴォリュームが小さかったり、英語の破裂が多い発音とリズム系の音色のサウンドが重なって聴こえたり……ミックスのバランスが悪いです。
収録されている単語は、必須の基本単語とされていますが、少し難し目の印象です。筆者によるとTOEIC 600~700を目指すレヴェルだそうです。
Cheers!!

『イラストで記憶に残る 語源ビジュアル英単語』清水建二、ウィリアム・ジョセフ・カリー、中田達也(学研)

『イラストで記憶に残る 語源ビジュアル英単語』清水建二、William Currie、中田達也(学研、2009年2月)
語根とイラストで単語の語源を覚える!!
語根と語源をイラストで効果的に理解することで確かなヴォキャブラリーを手に入れるための教材です。
全体の構成は、それぞれの語根がアルファベット順で収録されていて、見開き2ページでひとつの語根を取り上げます。magnとmax、ruptとrouteなど同じ意味の語根、関連する語根は同じページにまとめられています。
本文のページの構成は、左ページの上半分はにそのページのベースになる語根と解説したイラストと例を挙げた簡単な解説があります。左ページの下半分にはその語根が用いられている単語2つが掲載されていて、右ページには4つの単語が掲載されています。それぞれの単語の解説では、まず当該の語根が用いられた単語が提示され、発音記号と品詞と単語の意味、構成する語根による単語の意味か具体的な単語の内容とそれぞれの語根の意味、関連する単語、例文とその日本語訳、そして、単語のイメージを表現したイラストが掲載されています。
すべての単語にイラストがついていて文字情報と視覚情報という2つの情報が結びつくことで記憶保持を促進させること、語源を覚えることで記憶を確かなものにすることが本書を作った筆者の意図です。文章での解説はなく語根とイラストで単語を記憶することを意識していることが本書の特徴です。
ポップなイラストのイメージとは違い応用的なヴォキャブラリーが紹介されているページもあります。「bar=棒、横木」では、embargo、debar、barristerなどが、「mon(ster)=示す、警告する」では、muster、admonish、summon、remonstrate、premonitionなどが取り上げられます。
イラストは、非常に効果的に意味を表現しているものもあれば、adultで大人のイラストを書いているだけ、localで観光客の白い人と地元の日焼けした人が歩いている、のように意味がよく解らないものもあります。イラストで記憶するということを考えると難度も読む必要があります。
例文とイラストの内容が関係がないのが残念です。ふたつが絡んでいればさらに効果的な単語の記憶ができると思います。
語根を簡潔に覚えること、それを単語に簡単に応用して記憶することができます。他の語源関係の本のように無駄な歴史的な解説に飽きてしまうということはありません。明晰に単語を記憶できるという点で非常に優れた画期的な教材だと思います。
語源や語根を覚えることは英語を学ぶ上で有効で有益なので英語初心者から、高度なヴォキャブラリーが掲載されているので中級者~上級者まで活用できる教材です。どなたにもお薦めできます。
Cheers!!

『ほんとうの英語がわかる 51の処方箋』ロジャー・パルバース、上杉隼人(新潮選書)

『ほんとうの英語がわかる 51の処方箋』ロジャー・パルバース、上杉隼人(新潮選書、2001年3月)
ネイティヴの言語感覚や日常表現を理解する!!
日本人が暗記中心の硬直的な学校英語・受験英語の中で教えられなかったり誤解してしまっている単語の実際の使われ方や会話表現のあり方をわかりやすく解説した一冊です。
パターンプラクティスを繰り返す「勉強」ではなく、「ほんとうの英語を理解するために必要な51個の単語と言い回し」の解説から「日本人がネイティヴ・スピーカーの心の中に踏み込むこと」を目指します。
全体の構成は、それぞれ一つの単語や表現を取り上げた51の「Step」というチャプターにわかれます。
Stepの始めで、その単語や表現の「you=あなたではない」「companyはguestの意味でも多用される」といったようなネイティブ・スピーカーの持っている感覚を具体的な状況を設定して解説します。「RELEVANT EXAMPLES」では、いくつかの例文を挙げてさらに解説を補強します。「EXTRA POINT」では、それまでの解説には該当しない特別な用法について説明します。さらに「EXTRA EXTRA POINT」があるStepもあります。「ANOTHER MEANING」で、その単語の別の意味の使い方を解説しているStepもあります。
それぞれの解説は短いコラム形式で、文法の構造の解説などではなく、英語の意味や感覚の解説をわかりやすくしてくれます。単語の語源や単語の解説からは脱線したその単語に関連する文化的な感覚や思考についての解説がされているStepもあります。
ネイティヴの実際の日常会話での単語や表現の使い方の感覚が理解できるのが、この本のストロング・ポイントです。筆者が日本人の思考法や言語感覚、日本では誤用されている英単語を熟知していて、ネイティブ感覚で英語を使うためのポイントを上手く取り上げています。
基本的な英語力があって、さらに英語の感覚や表現の意味を深く知りたい方に推薦します。
Cheers!!