社会学用語集パート2 か行

<快楽原則>フロイト 本能的欲求の充足を求めるイドの行動原理。これを抑圧しようとするエゴの行動原理と対置。

<下位集団> ある集団の内部に形成された集団。上位集団の文化を分有し、独自の<下位文化>をもつ。それは上位集団の文化の分化・統合や分裂・解体を促したり阻止したりする。

<階層> 財産・職業・所得・学歴などの点で、ほぼ同じか類似した社会的地位を占有する人々。非歴史的・機能主義的・操作的分類概念。

<会話分析>サックス、シェグロフ エスノメソドロジーの一分野。日常会話の「会話すること」自体の秩序形成を詳細に分析。あらゆる社会問題場面における人々の会話活動に焦点を当て、そこでの実践的推論、問題自体の構成を明らかにした分析を蓄積。

<科学的管理法>テーラー 20世紀ははじめ提唱された工業生産の能率向上とコスト削減のためのIE技法であり、これによる生産と経営の合理化運動。課業管理と差別的出来高賃金性の導入、職能別職長制と企画部の設置によるライン組織の変革など。

<鏡に映った自己>クーリー 自我の社会化された側面。他者が自分をどのように認知し評価しているかを表す。相互作用過程の中で他者の自分に対する反応を通じて察知される。

<核家族>マ−ドック 婚姻によって成立した一組の夫婦とそこから生まれた未婚の子からなる家族の集団的単位。核家族は時代と地域をこえて、それ自体として単独としても、大きな複合的家族の構成単位としても、人類社会に普遍的な存在である。

<獲得的地位> 個人の努力や競争によって獲得された地位。生得的地位と対比。近代社会における専門職・自由職の多くは、個人の意欲的な達成動機に基礎づけられたか獲得的地位であるといえる。

<家事・育児の社会化> 家庭内での家事・育児の負担から女性を解放し、精神的・経済的自立と社会参加を促すために、家事労働や育児を家庭外の公共的な施設や集団にゆだね、これを行わせること。社会主義的女性解放論が主張。技術革新やサーヴィスの経済化が進むにつれて、家事労働を軽減化する商品や代替サーヴィスが増加し、主婦の家事からの解放が進んでいる。

<過剰社会>マルクーゼ 欧米の現代資本主義社会は、かつてない物質的豊かさ・快適さをもたらしたが、疎外、自由の抑圧、新植民地主義などの抑圧性を秘めているとした。

<家事労働> 人の生命の維持・再生産(出産・育児・介護)とそれにまつわる雑事(料理・洗濯・掃除など)および家庭生活の管理・運営(家政)をふくむ雑多な労働。職住分離後の性別分業体制下では自然的分業として主に主婦によって担われることが期待された。市場外の私的領域のなかで日々営まれる無償の労働であって、市場という公的領域における有給の賃労働と対比される。

<家族機能> 家族集団がその成員や社会に対してなす持続的な作用あるいは作用関係。マ−ドックの性的・経済的・生殖的・教育的機能の四機能説や、パーソンズの子供の社会化と成人の安定化のニ機能説など。

<価値> 【value, Wert, valeur】 社会学的用語としては、行為主体によっていただかれた「のぞましさ」についての概念であり、個人行為者の行為の方向づけにかかわり、集団に構造的特徴を与えるもの。デュルケームは一度成立した価値の概念は、文化の要素として客体化されることによって、個人や集団に外在する客観的な存在となるとした。文化的価値は、個人に内面化されてパーソナリティの要素になり、集団に制度化されることにより集団内部の社会関係の類を規制する。 パーソンズの社会学理論においては、社会秩序は一般的な共通価値〜正統的で統合的とみなされ、行為の目標選択の基準として作用するような価値〜の存在に依存しているとされる。社会システムとパーソナリティ・システムの間の関連づけは、<社会化>の過程を通した価値の<内面化>によって達成される。価値は、利害や生物学的欲求や階級に還元されず、またそれらによって説明することができないものである。 (マルクス)経済学的には、価値は商品(財またはサーヴィス)に含まれる有用性、効用性または希少性にもとづいて生ずるものとされる。商品の価値は、商品自体の有用性(使用価値)とともに、他の商品との交換可能性(交換価値)によっても量られる。相互に異質な商品同士の交換は、それらを生み出すために投下された労働量(労働時間)を基準になされるが、このような他の商品との交換可能性を通して、その商品の交換価値が現れてくる。

<価値自由>ヴェーバー 社会科学が認識の客観性を保つためには価値判断から自由でなければならない。経験科学は人が何を欲し、何をしうるか教えることはできても、何をすべきかを教えることはできない。それは事実判断と価値判断との区別という実証主義的格率に尽きるものでなく、理論と実践的評価の区別による両者の尊厳を守ることにあった。

<下部構造と上部構造>マルクス 人は社会的生産において、意志とは独立した関係に入るが、この生産関係の総体からなる社会の経済構造下部構造と、それに対応する意識的・イデオロギー的社会関係、その総体である上部構造とは区別されるべきだとして、上部構造に対する下部構造の規定性を主張した。

<カリスマ的支配>ヴェーバー 支配の三類型のひとつ。支配者の非日常的資質あるいは能力に対する非支配者の情緒的帰依にもとづいた支配。預言者、軍事的英雄、デマゴーグによる支配など。情緒的・没経済的性格のため、永続性と組織性に乏しく、伝統的・依法的支配とは対立関係をもっている。

<環境アセスメント> 環境に著しい影響を及ぼす虞のある事業の実施に際し、それが環境に与える影響について事前に調査し、影響の度合いを予測・評価すること。結果を公表し、地域住民など利害関係者の意見を聞いたうえで、環境保全対策を講じ、環境悪化を未然に防ぐことを目的としている。

<環境権> 人類の生存にとって不可欠の資源である環境の破壊を防止するうえの基本的理念として主張されてきたもので、良好な環境を享受し、またこれを支配し、保全しうる権利をいう。自然的なもの社会文化的なものがふくまれ、生活権として、一般に主張されている。

<慣習法> 実定的な法定立権限にもとづいて形成されたのではなく、社会生活のなかから生成してきた社会規範。

<環節社会>デュルケーム 類似した同質の氏族の連合から成る社会。

<官僚制> 複雑で大規模な組織の目標を能率的に達成するための、合理的な管理・の体系。官僚制は、規則の支配、権限のヒエラルヒー、人間関係のインパーソナリティ、職務の専門化、の特徴を備え、能率の論理の貫徹した技術的卓越性をもつ。

<機械的連帯>デュルケーム『社会分業論』 相互に類似した同質的な成員が機械的に結合した社会の結合形。有機的連帯と対置。

<企業家精神>シュンペーター『経済発展の理論』 企業家が既存の経済システムを創造的に破壊し、新たな経済発展をもたらす革新的な企業活動を推進するうえで必要な精神力。継続的な経済発展のためには、たえず旺盛な企業家精神をもった企業家の誕生が不可欠である。

<記号> ある事象が現存していないのに、その事象が引き起こすのと同様な反応を有機体のうちに喚起する刺激。記号は、事象に代わるものとして、事象の性質を指示あるいは意味する。記号の指示作用は一般的には、記号と事象との関係についての複数の有機体の間に成立している共有の了解ないし約束にもとづいている。記号がコミュニケーションの有効な媒介物となるのは、この共通性によってである。

<疑似イヴェント>ブーアスティン 広く報道される事を前提に、実際の出来事以上に本物らしく、しかも劇的で理解されやすいように合成された新奇な出来事。複製技術の発達にともなって疑似イヴェントは急速に増大し、現代人のイメージを支配している。

<技術社会>(テクノロジー社会)フロム 社会システムとテクノロジー・システムが有機的に複合した状態。

<技術的合理性>マルクーゼ『一次元的人間』 いっさいの事象を操作可能な制御と支配の対象として処理するテクノロジーの合理性。技術は中立的なものではなく、自然と人を支配する人の目論みに由来するとし、現代の成熟した産業文明を技術の観念と技術の構築によってすべてが動員される社会、技術的合理性に一元化される社会であるとしている。

<技術的分業>マルクス『資本論』 機械が工場に持ち込まれることで生ずる分業。機械に従属する労働者群と、機械と労働者を監視する少数の技師・機械工を生み出す。

<帰属意識> 他の個人ないし集団の価値基準、役割期待、役割などを自己の意識や行動のなかに内在させ、同化させる心理過程。自己が一体感をもつ他の個人や集団を手本にして自我を形成を図る姿勢や、それらの立場に立って行動しようとする姿勢。

<基礎社会>高田保馬 派生社会に対して、地縁や血縁といった基礎的・自然的な直接的紐帯によって結合した社会。家族・部族などの血縁集団と、村落・都市・国家などの地縁集団に分けられる。

<基礎集団> 地縁や血縁、さらにはこの両者を基礎とする社会的・文化的条件によって形成された自然発生的な集団。家族・村落・民族などをさし、人々はそこに産み落とされ、パーソナリティが形成される。

<議題設定機能> 受け手は、マスコミが報道する話題や争点を重要なニュースと考え、マスコミは受け手の知覚と認識を焦点化する。

<機能分析> 文化・社会現象を構成する諸要素の相互依存的な共変関係を、機能概念を用いて全体的な脈絡のなかで目的論的に説明しようとする分析。デュルケーム、ラドクリフ=ブラウン、マリノフスキーによって始められ、現在では精密に定式化されている。だが、仮説されている機能を経験的に確証し量的に測定する方法は、必ずしも確立されていない。

<客観性>ヴェーバー 経験科学の認識は、価値判断・倫理的良心・世界観・信仰など意欲と実践にかかわる領域に対してどのような関係立つか、という課題に示されたガイドライン。認識と評価を区別する能力、現実が測られ価値判断が導かれる基準の明確な自覚、方法に正しい科学的な証明、など。

<旧中間層> 資本主義社会において資本家と賃金労働者のいずれかにも属さず、小所有=小経営者として存在する自営農民層や、都市商工自営業層などをさす。封建社会では基本的階級を形成していたが、資本主義の展開により、分化・分離している。

<教師=生徒関係> 生徒たちは必ずしも勉強を好まない。これに課業を与え内面に定着させる役割を負う教師には、生徒の自然を統制する権威が制度的に与えられている。しかし、この権威は、生徒が服従する限りのもので、隠然・公然の反抗にさらされている。そして、自分の権威に敏感な教師たちの体質や、権威保持の方略も生まれる。

<共生>イリイチ 人と環境の自律的・創造的な関係やその関係における個人の自由の実現すること。

<共生社会>イリイチ 産業社会では、道具や諸制度が発達するにつれ、人はそれらに隷属させられている。それに対して、人が想像力を働かせ、他者や環境といきいきとした関係を築くことができる社会。

<業績志向>(メリトクラシー) 業績に基づいて人々を評価したり、地位を割り当てたりすること。近代産業社会では、職業・教育など多くの分野で業績志向が優位になる。

<協同組合> 資本主義の矛盾回避のため、営利主義の排除と相互扶助の精神によって生まれた共同組織。勤労者の消費生協、小生産者の生産協同組合、住宅や医療の生協などがある。経済的向上と民主主義を基本原則とする。

<儀礼主義>マートン アノミーへの行為者の適応様式のひとつ。成功を強調する文化的目標を自ら積極的に追求することは諦めているが、競争から降りても制度的規範だけはきっちり守り、穏便に全ての事を運ぼうとする。

<儀礼的相互行為>ゴッフマン 人は、自他の面子を保つため、または壊れそうになった関係を修復するためにも、様々な相互行為をしている。

<グレーカラー> 現社会では、科学技術の高度化、生産工程のコンピュータ化が進み、生産労働の内容も科学的な要素を帯びるようになった。なので、労働者もホワイトカラー的作業に従事するようになった。

<グローバリゼーション> 生産・流通・消費までを含む経済活動が、国家の枠をこえて世界的規模で展開されること。原材料・労働力の価格、国によって異なる規制、市場の状況などにおける最適化を求めて多国籍企業が活動していたことによってひき起こさせれている。

<群集>

<群集心理>ル=ボン 群集は匿名性を獲得し、周囲の役割期待から解放された自分を感じる。非理性的、無思慮、残忍、下品、軽信、盲動、無責任などの群集心理は、古い行動規範の放棄の度合いに応じて強まる。

<訓練された無能力>ヴェブレン 社会的分業が進展し、役割の分化・専門化が進むと、局部的・断片的な領域に閉じこもって全体を見渡すことが少なくなり、専門外の領域に無関心・無能力になる。

<経済的従属> 第三世界に一般的な、国々の経済が他の国々の経済の発展と拡張に制約を受け、服従を強いられる状況。

<形式的自由> 近代国家が国民に基本的人権として保証する身体・思想・信仰・言論・結社などの市民的自由。資本主義の発展とともに、それは生存や労働の自由を保証せず、実質的には不自由を引き起こしたため、社会的ないし経済的な実質的自由が問題とされるようになった。

<劇場国家>ギアーツ 祭儀を支配の手段ではなく、国家の存在目的とするような国家モデル。

<ゲゼルシャフト関係>ヴェーバー 成員の合理的に動機づけられた利益勘定に基づく場合の、社会関係・過程。成員間の同意による合理的な協定を特色とする。

<ゲマンシャフト関係>ヴェーバー 成員の主観的な共属勘定に基づく場合の、社会関係・過程。目的合理性を超えた感情価値を中心とする。

<権威主義的パーソナリティ>フロム、アドルノ アドルノは、ファシズム、エスノセントリズム、反ユダヤ主義などの反民主主義的なイデオロギーを受容しやすいパーソナリティ構造として分析し、安定した自我の不在を見い出した。

<限界効用理論>ワルラス、メンガー 最終的に増減する財の一単位に起因する効用の増減分=限界効用によって商品の価値が定まるとする。

<原子化> 相互に積極的な連帯もコミットメントもなく、原子のようにバラバラに孤立して存在する、平準化され同質化された物理的単位のような人に転化すること。官僚制の進行と裏腹に生ずるマスコミの発達による個人の分散化・流動化。

<限定効果モデル>クラッパー『マス・コミュニケーションの効果』 マスコミの影響は、先有傾向や集団規範とともに働くひとつの要素にすぎず、あらかじめ存在していた傾向を補強するものでしかない。

<限定戦争と全体戦争> W.W.1までの戦争は、先制攻撃を受けても軍事的浸透に限界があり、反撃による回復も可能なので、限定的だった。W.W.1は、国家の生産力と国民を総動員して、敵を徹底的に破壊する全体化の様相を呈するようになった。核戦争の時代の到来により、それも過去のものとなった。

<行為>ヴェーバー、パレート シンボルによって媒介された有意味的な行動。

<行為の合理性>ハーバマス 合理性を人と人との間の間主観的な了解関係の拡張として、コミュニケーション行為の重要性を指摘。

<行為類型>ヴェーバー 普遍的方法を用いて構成される行為の理念型。目的合理的行為・価値合理的行為・感情的行為・伝統的行為に分類。

<郊外化> 大都市圏の舞台が、中心都市から大都市周辺部に移行するなかで、人口と諸機能の離心化過程に併せて、周辺部と結びついた特有の<郊外生活様式>の広範化をさす。

<交換価値>マルクス『資本論』 商品が人の欲望を充たすものである限りでは使用価値であり、これと引換えに他人の商品の一定量を獲得できる限りでは交換価値である。価値としての商品が交換可能なのは、価値が人の労働一般の大きさによって形成されるものだからである。

<交換理論> 人の行動を他者との報酬の交換過程とみる。人のなす行動にはつねに費用と報酬が伴い、行為者は費用・報酬・社会的資産にもとづいて行動するという関係に置かれる。3つの比例関係が他者と比べて有利であれば行動を維持し、不利であれば関係を改善または停止して新たな関係へと向かう。互酬性、公正的分配、競争を基礎概念とする。現実の社会関係は略奪・競争・協同・愛の4つに類型的に特徴づけられる。

<後期資本主義>ゾンバルト W.W.Ⅰ以降の、国家の経済的介入のもとでの、巨大な独占資本を中心とする、組織化され官僚制化が進行した資本主義の形態。ハーバマスは「正当性の危機」が生じていることを論じた。

<公共性>ハーバマス『公共性の構造転換』 私的な家族や市場経済と、議会・官僚制・軍隊などの公的な国家装置にとの間に位置する集団や圏域をさし、社会生活が日常的に営まれる領域をいう。市民の間で討論が行われる圏域であり、世論形成の母体となる。市民相互の非公式コミュニケーション合理性のなかに、現代社会のテクノクラート支配から人々を解放する契機がある。

<公衆>タルド 「拡散した公衆」。マスコミを媒体として関心を共有する日常的・合理的な未組織集団。世論の担い手になり、民主主義を可能にする。

<交通>マルクス 諸個人が特定の社会的形式において相互に物質的・精神的に交わり通ずること。交通は、市民社会においては商品とか資本とかがその姿態を変換し、それぞれの姿態の持ち手を変換する過程にすぎない。それは、モノが商品として、また資本のもとでモノが生産される場合の、生産の連続性の確保のために不可避に発生する。

<高度産業社会>ロストウ、カー、ベル、ガルブレイズ 工業は成熟期にあり、国家活動と計画化の経済的比重が高く、知識社会の様相を呈する。

<高度資本主義>ゾンバルト 産業革命からW.W.Ⅰまでの西欧資本主義の発展段階。営利主義と経済合理主義が経済活動の支配原理になり、機械的技術体系と信用経済が確立した段階。

<高度大衆消費時代>ロストウ『経済成長の諸段階』 工業化の最終段階。経済力を軍事・外交、福祉、消費水準の向上に配分する。軍事・外交と福祉の飽和とともに消費水準の比重が増すとする。資本主義も社会主義もここに収斂するとした。

<心の習慣>トクヴェル 民主的な共和国を支える道徳的・精神的な態度や習慣的実践としての「モーレス」。

<誇示的消費>ヴェブレン『有閑階級の理論』 自分が有閑階級に属していることを誇示するために、富や財あるいはサーヴィスを惜し気もなくかつ無駄に消費する行為。

<互酬性> 社会的交換における双務的で等価的な性質。

<誇大理論>ミルズ『社会学的想像力』 パーソンズの理論体系の現実的有効性を批判するために造語。

<孤独な群集>リースマン <他人志向型>の人々。高度に発達した資本主義社会の、大都市の中産階級の社会的性格を示す。

<コピーの世界> シンボルの言語機能を活用することによって、現実環境を間接的に表現したイメージ。現代では、シンボル・記号環境が増大していて、人はコピーの世界に適応することによって、現実世界に適応している。

<コマーシャズム> 資本主義社会では、物質的使用価値のみならず、教育・芸術・思想・イデオロギー・道徳そして人の存在そのものが利潤追求の手段となる。医療・福祉・宗教などの領域にまで資本の論理が浸透している。

<コミュニケーション行為>ハーバマス 目的合理的行為=道具的理性によって導かれた成果試行的な戦略的行為や合理的行為とは対照的に、対話的理性によって導かれた了解思考的な社会行為のこと。言語に媒介された相互了解関係の拡大をめざす。ここでの合理性は強制なき相互主観性、行為規範が相互に納得のいく妥当な合意に基礎づけられている状態をさす。

<コミュニケーション合理性>ハーバマス 自己中心的な成果の達成によって測られるのではなく、相手との対話を通して実現されていく支配や強制を伴わな了解や合意の確立によって測られる合理性

<コミュニケーション効果>クラッパー 創造、補強、小さな変化、改変、効果なしの5つに分類。

<コミュニケーションの二段の流れ> マスコミの実際の過程においては、送り手から発信されたメッセージはオピニオン・リーダーの解釈を経過して、個々人に伝達される。

<コンサマトリー> ある特定の欲求の充足をめざす反応ないし行動様式。行動の価値だけを重視し、その結果を全く考慮しない点に特徴があり、手段的・道具的合理性、目的合理性と対比。

社会学用語集パート1 あ行

<アイデンティティ>エリクソン
客観的には人格の統合性と一貫性を示す概念。主観的には自分が自分であるという確信・感覚であり、自分の不変性と連続性を他者が認めているという確信・感覚に裏づけられる。

<アウトサイダー>H・S・ベッカー
特定の集団・組織・社会・時代の規範秩序や価値体系に順応しない者。インサイダーのレイベリングにより、局外的立場に身を置く。

<アダルト・チルドレン>
ギャンブルやアルコール、薬物などの問題を抱えた家族のもとで育ったため、自尊心が低く、人と親密な関係を築きにくく、他人からの肯定や承認を常に求める子ども。

<アノミー>デュルケーム、マートン
社会的規範の動揺・弛緩・崩壊による欲求や行為の無規制状態。デュルケームは『社会分業論』で、分化し社会的機能が不統合な状態を「アノミー的」とし、『自殺論』では、社会変動によるアノミー状態が自殺の社会的条件の一つだとした。マートンは逸脱行動の分析において<文化的目標>と<制度的目標>の矛盾から生じる無規制状態をアノミーとした。

<一次元的人間>マルクーゼ
現代社会は基本的対立関係を抑圧してしまう一次元的社会であり、政治闘争の領域は局限され、理想を求め現実を変革する欲求が抑制されるから、人の精神自身が一次元化される。現実に抗議しようとする否定的精神は後退し、<技術的合理性>と<対象支配の論理>によって成る肯定的精神が支配している。

<一般化された他者>G・H・ミード
認知または内面化される社会的期待ないし規範の総称。人はさまざまな他者、そして社会一般の役割期待の内面化を通して、社会的自我を形成する。

<インフォーマル・グループ>
官庁・経営体などフォーマルな組織内に生ずる第一次集団。フォーマルな組織がこれを意図的に管理できるなら、目的達成のための有力手段になる。

<インフォームド・コンセント>
医療の提供者が、患者の自己決定権を尊重するために、医療の内容を十分に明らかに説明したうえで、患者側の理解と同意を踏まえて医療行為を行うこと。

<エクイティ>

<エクリチュール>ロラン・バルト、デリダ
ロラン・バルトが共有的なラングと私的な文体の間で機能するとした歴史的連帯の行為。

<SSM調査>
「社会成層と社会移動」調査。戦後、国際社会学会により社会構造の国際比較のために進められ、日本では日本社会学会が1955年に第一回の全国調査を行った。

<エスニシティ>
エスニック集団への帰属の状態、エスニックな自己意識。エスニック集団は客観的には言語、宗教、歴史的集合体験等の文化指標による集団的境界をもち。主観的にはメンバーの所属意識により定義される。主観的意識が重要な意味をもち、民族的内実も所与というより選択の結果であることが多い。

<エスノセントリズム>サムナー
自民族中心主義。自らの人種・民族を美化し至上のものとし、他人種・他民族を偏見・差別の対象とする思想や生活態度。

<エートス>ヴェーバー
人の社会行動のゆくえを内側から規範する観念の束。当為的な倫理規則ではなく、自覚しえない、することのない規範。個人の内面だけではなく、集団や社会階層のうちに共有される。

<エリートの周流>パレート
エリートと非エリートとの人的交替が起こる現象。<集合体の持続の残基>と<結合の残基>という権力獲得のために力に訴える傾向をもつエリートの間で交替がおこるとした。

<エロス>フロイト
タナトスと対をなすニ大本能の一つ。結合と創造の力、生命を維持し豊かにするエネルギー。

<オートポイエーシス>マトゥラーナ、ヴァレラ、ルーマン
元来は、生体システムがそのシステムの要素を継続的に自ら再生産している様子をさす。ルーマンは、これを社会システムの時間化された要素に適用。

<オピニオン・リーダー>ラザーズフェルド
一般的には、学者や評論家など社会や集団で、意見の形成や表明の際に主導的役割を果たす人。社会学的には、ラザーズフェルドの提唱した<コミュニケーションの二段階の流れ>のなかにいて、マスコミからの影響を、集団内にパーソナル・コミュニケーションで伝達していく、中継機能を果たす人をいう。

<オルタネーティヴ・メディア>
社会運動との関連の中で、現代の支配的なメディアに対抗する機能と役割を果たすメディア。

ハービー・ハンコック年表

1940 – 4月12日、ハーバート・ジェフリー・ハンコックはイリノイ州シカゴの裕福な家庭に生まれる。彼の父は連邦検査官であり音楽愛好家だった。彼の兄と妹も音楽を演奏し、彼の母親がピアノを演奏した。

1947 – ハービーは、クラシックピアノのレッスンを開始した。

1950 – 高度なコースに進み、ジョーダン先生に読譜と作曲を学ぶ。

1951 – シカゴ交響楽団との共演。 (モーツァルト、ピアノ協奏曲二十六番ニ長調の第一楽章)

1960 – グリンネル・カレッジを去る。彼は電気工学を学んだ。

シカゴに戻り、ドナルド·バードとコールマン·ホーキンスの元で演奏を始めた。

1961 – 1月には、ドナルド·バードによって呼び出された、ニューヨークに移る。

1962 – 「テーキンオフ」は、ハンコックの初のリーダーアルバム、「ウォーターメロンマン」を収録。 (ハードバップ、ファンキージャズ)

1963 – モンゴ·サンタマリアに「ウォーターメロンマン」を提供、ヒットした。

1964 – マイルス・デイビスがハービーにオーディションを受けさせる。ウェイン·ショーター、ロン·カーター、トニー·ウィリアムスとマイルス·デイヴィスの「第二期黄金クインテット」に参加した。

「エンピリアン・アイルズ」は「カンタロープアイランド」が収録される。(ハード·バップ、ソウル·ジャズ、新主流派)

ウェイン·ショーターによって「スピーク・ノー・エビル」のサイドマン。 (新主流派)

1965年 – 「処女航海」はマイルス·デイヴィス·クインテットのメンバーとフレディ·ハバードと共に拡張したモードのアプローチを採用した。新主流派とハービー·ハンコックの代表作。 (新主流派)

1966年 – 「ブローアップ」(サウンドトラック)

1967 – マイルス·デイヴィスによる「マイルススマイルズ」。このアルバムの中で宣言音楽スタイルは、「新主流派」と呼ばれるようになる。 (新主流派)

1968 – 「スピーク・ライク・ア・チャイルド」一般的ではないセクステット(アルトフルート、フリューゲルホルン、バストロンボーンとリズムセクション)を採用しまし、伴奏パートとしてホーンセクションを扱う。 (ハードバップ、ポストバップ)

マイルス·デイビスによる「マイルス·イン·ザ·スカイ」。このアルバムではマイルスはエレクトリックピアノを演奏することをハンコックに強制。 (ポストバップ、エレクトリック·ジャズ)

ハンコックは、マイルス·デイヴィスのバンドを脱退。

1969年 – 「プリズナー」「スピーク・ライク・ア・チャイルド」の延長上にある珍しいホーンセクションを使用し、ハービーは電子ピアノを演奏した。 (ポストバップ、エレクトリックジャズ、フュージョン)

1973年 – 「ヘッド·ハンターズ」、ジャズファンクの大ヒットでありマスターピース。大胆にジェームス·ブラウン、スライ&ザ·ファミリー·ストーンのファンク·サウンドを採用した。ファンクミュージシャンとシンセサイザーのいくつかを採用する。そして、ハンコックは、ファンクとジャズの即興の音楽的融合を達成しました。 (ジャズ·ファンク、フュージョン)

1976年 – 「VSOP」ハンコックのキャリアのそれまでのキャリアを振り返るライブアルバム。 VSOPクインテットは、特別なバンドのはずだったが、ただし、クインテットは、活動を継続した。VSOPクインテットのメンバーはフレディ·ハバードを加えたマイルス·デイヴィスのクインテットである。このクインテットは、新メインストリーム·ジャズの復活のような音楽を演奏。レコードの二枚間は、セクステット(「スピーク・ライク・ア・チャイルド」)とハンコックのジャズファンクの側面を収録した。特に、 「ハング・アップ、ユア・ハング・アップス」でレイ·パーカー·ジュニアとワー·ワー·ワトソンによるギターの演奏は「ファンク·ギター(またはカッティングギター)のバイブル」と呼ばれます。

1977 – 「ハービー·ハンコック·トリオ」メインストリームジャズのリバイバル。

1978 – ジョニ·ミッチェルによる「ミンガス」のサイドマン(フォークジャズ、ボーカルジャズ)

1982年 – 「ハービー・ハンコック・カルテット」は、新進気鋭のトランペッターウィントン·マルサリスをフューチャーにした。アルバムの曲のいくつかは、マイルスの「第二期黄金クインテット」とVSOPのレパートリーからのものであった。 (新伝承派、新主流)

1983年 – 「フューチャー·ショック」はビル·ラズウェルによって生成され、グランド・ミキサーDXTによるヒップホップ·サウンドとスクラッチを採用しました。アルバムの収録曲「Rock It」は、世界的に大ヒットしました。 (エレクトロ·ファンク、インストゥルメンタルヒップホップ)

1986 – 「ラウンド·ミッドナイト」ジャズ映画のサウンドトラック。 (サウンドトラック)

1994 – ハンコックによるアシッド・ジャズへの回答。「Dis is Da Drum」(フュージョン、ジャズファンク、インストゥルメンタルヒップホップ)

1998年 – 「ガーシュウィンの世界」ではジョージ·ガーシュウィンの曲をフューチャーにした。 (トラディショナル・ジャズ、オーケストラジャズ)

2001年 – 「Future2Future」ビル·ラズウェル、カール·クレイグ(デトロイトテクノプロデューサー、DJ)、ガイ・コールド・ジェラルド(ドラム ‘n’のベースとテクノプロデューサー)、ロブ·スウィフト(ヒップホップDJやターンテーブリスト)とチャカ·カーン(ソウルシンガー) が参加。 (フュージョン、エレクトロニカ)

2007 – 「リヴァー:ジョニーへの手紙」ジョニ·ミッチェルによって書かれた曲のトリビュート·アルバム。 ゲストボーカリストはレナード·コーエン、ティナ·ターナー、ノラ·ジョーンズやジョニ·ミッチェルがいます。 (ボーカルジャズ、フォークジャズ、ポップス)

◻︎参考文献
「定本 ハービー・ハンコック」ジャズ批評編集部、松坂、2002

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