『NHK BS英語ニュースを聴きこなす The NEWSHOUR リスニング』宮野智靖(語研、1999年5月)
本格的なニュース英語のリスニングの足がかりに!!
BS1でも放送されているPBSのジム・レーラー・ニュースアワーを収録したリスニング教材です。
全体で「ネットワーク社会のオフィス革命」「教師能力試験で学校教育は改善されるか」「ホロコースト生存者への資産返還と戦争責任」「殺人を犯した子どもをどう裁くべきか」の4つのニュース(Unit)が収録されています。各ニュースは始めから5つのSectionに分割されています。1Unitを5日間で学習していきます。
各Sectionは同じ構成になっています。まず「Listening to Main Point」として日本語でCDの聞き取りのポイントが5W1Hで一つか二つ示されていて、これをたよりに大まかな内容を掴みます。次の「Checking Key Words and Phrases」で、6個から8個ほどのニュースに登場する重要な単語やイディオムが紹介されているのでこれをたよりにもう一度ナレーションを聴きます。「Understanding Details」では、詳細な内容が確認できているかを問う多肢選択問題が3問出されます。設問を先に読むことで積極的かつ能動的なリスニングを行う効果があります。「Verifying Details」では、さらに難解な内容を問う正誤問題が3問出され、詳細な情報を正確に聞き取る能力をテストされます。「Roundup Reviewing」では、「Checking Key Words and Phrases」のキーワードが赤で示された英文のスクリプトと日本語訳が掲載されています。もう一度CDを何も見ないで聞き取って、確認するためのものです。
巻末に、ニュース全体が一読できるトランススクリプトが収録されています。
全体のニュースの難易度は同一です。偶然かもしれませんが後半の方がひとつのSectionのスクリプト、Unit全体のスクリプトが長くなっています。
CDには、Sectionに分けられて実際に放送されたニュースの音声が収録されています。余計な効果音やナレーションなどは何も入っていません。”英語教材として聴き易く”作られたものではありません。
本物のニュース英語が生のままでカットなしで収録されています。本書の特徴は、CNNやBBCやVOAの音声とスクリプトを収録したガイドの無い教材と違い、ニュース英語の音声をガイドつきで徐々に理解を深めながらリスニング能力を鍛えていけるところです。
1998年のニュースを収録しています。Unit 1はITを取り扱っているので、古い内容ですが、他のUnitでは現在でも古さを感じさせない普遍性のある内容だと思います。
TOEIC 600点、TOEFL 500点、英検準1級以上の中級~上級レヴェルの英語学習者が、CNNやBBCのニュースの放送をそのままリアルタイムで理解するための足がかりとして有効な教材です。
Cheers!!
『英語の耳になれる本 トレーニング編』安河内哲也(中経出版)
『英語の耳になれる本 トレーニング編』安河内哲也(中経出版、2004年1月)
独自のリスニング習得メソッドで段階的に着実にリスニング力を身につける!!
日本語を介さずにネイティブスピーカーと同じ過程で英語を理解する耳「英語の耳」をつくるための「耳の改造」を行うことを目的にした教材です。「厳密に言うと、日本語と英語では100パーセント全く同じ音というのは存在しない」というポリシーで英語を英語のまま解るようになる直読直解ができるよう段階的にできるように、筆者の経験に基づいた独自の学習メソッドが展開されます。
CD2枚付きで、ネイティヴ・スピーカーの男性によるナレーションが様々な方法で収録されています。発音はアメリカン・イングリッシュです。
全体の構成は、大きく「やさしい編」「ふつう編」「チャレンジ編」の3つのパートに分かれます。それぞれのパートには8つのチャプターが収録されています。
それぞれのチャプターは、一つのスクリプトを違った形で何度か学ぶという形で展開されます。まず「よく聞いて、書いてみよう」では、文節ごとにスロースピードで読まれるCDのナレーションを書き取ります。次に書き取った内容をスクリプトを見ながら間違っている部分を答えのスクリプトにチェックしていきます。それが終わったら、チェックしたスクリプトを見ながらもう一度ナレーションを聞きます。次に「なりきり同時通訳プロセス」として、文節ごとに英語→日本語が読まれるナレーションについて英語と日本語訳を発音していきます。本にも英文が文節で区切られ、その下に日本語訳が書かれたスクリプトが収録されています。その次に「直読直解トレーニング」として文節ごとに読まれるスクリプトをまねしながら発音します。本にも文節ごとに区切られたスクリプトが収録されています。最後に、ナチュラル・スピードで読まれたナレーションを3回以上聞きます。
スクリプトは中学卒業~高校1年レヴェルのかなり簡単なものです。この本はスクリプトの内容は重要ではなく、丁寧なリスニング習得メソッドが展開されていて、挫折せずに基礎的なリスニング力を得られるところが特徴です。
英語の読み書きはできるがリスニングが全くできない、リスニングができるようになりたいがどこから手をつけたらいいか解らない、発音を練習したがリスニングが全くできないので着実に基礎的なリスニング力を身につけたい、というような方にオススメです。
筆者も「言語の学習では、発声(口)と聴覚(耳)を切り離して考えることはできない」として述べていますが、この本を効果的に学習するためにも、僕はまず『英語耳』などで基礎的な発音のトレーニングをすることをおすすめします。
Cheers!!
『ロンドン発!今どきのイギリス英語 ネイティヴのイギリス英語表現』キャサリン・フランセス、ディビッド・セイン(明日香出版社)
『ロンドン発!今どきのイギリス英語 ネイティヴのイギリス英語表現』キャサリン・フランセス、ディビッド・セイン(明日香出版社、2008年2月)
イギリスで今使われているリアルなスラングや口語表現を紹介!!
全体の構成は、「日常のひとこと」「気持ちを表す表現」「恋愛・結婚、男と女」「日常生活」「学生生活、若者ことば」「人に関する表現」「食べる、飲む」「社会生活」「日常の行為」「イギリス人とアメリカ人の会話」の各Chapterに分かれます。それぞれのChapterには6個ほどのSectionがありそこに表現やフレーズが収録されています。
本文のページの構成は1ページの上下半分でひとつの表現を取り上げています。それぞれの表現の項目では、まず取り上げる表現と日本語訳が紹介され「スラング度」と「アメリカで通じる度」が3段階で表示されています。次にAとBのひとつの発言づつのダイアログとその日本語訳があります。次に「解説」として表現の意味やニュアンス、それを使うシチュエーション、アメリカン・イングリッシュとの違いなどの解説があります。その下には「普通に言うと」として、スラングや口語ではない通常の表現が掲載されています。
Chapter 10の「イギリス人とアメリカ人の会話」では、まずいくつかの表現が提示され、その表現が使われた4つの発言のアメリカ人とイギリス人のダイアローグがあります。ダイアローグがブリティッシュ/アメリカンでの表現の意味の違いに驚いたり、コミュニケーションがすれ違いに終わる、というものがほとんどです。ページ下部には解説があります。
CD一枚付きで、ブリティッシュ・イングリッシュの男性と女性のネイティブ・スピーカーによるナレーションが収録されています。まず、取り上げる表現が読まれてダイアログが読まれてます。発音は普通のブリティッシュ・イングリッシュです。
「イギリス人とアメリカ人の会話」でのアメリカ人役は、アメリカン・イングリシュのネイティヴ・スピーカーです。
収録されている表現や単語、イディオムは、イギリスでよく使われているスラング表現、イギリス人の間で使われている独特の表現、若者の間で使われているカジュアルな表現です。特定の地域で使われている表現ではなくイギリス全土で使われている表現を取り上げています。
取り上げられている表現は、例えば、「Watchya!」「Tickey-boo!」「Lovely-jubbly!」「chippy」「get some zeds」「take the Mickey」「apple and pears」など口語的な表現やスラングばかりです。
基本的な英語力とブリティッシュ・イングリッシュの知識があって、さらにブリティッシュ・イングリッシュを深く知りたい方、留学や旅行を予定している方、イギリスの映画やドラマ、小説を理解したい方にオススメです。
Cheerio!! Pip-pip.