『NHK BS英語ニュースを聴きこなす The NEWSHOUR リスニング2』宮野智靖、生月亘(語研、2000年4月)
本格的なニュース英語のリスニングの足がかりに!!
『NHK BS英語ニュースを聴きこなす The NEWSHOUR リスニング』の続編です。
BS1でも放送されているPBSのジム・レーラー・ニュースアワーを収録したリスニング教材です。
全体で「マイクロソフト社の「独占禁止法」と認定」「医療記録のプライバシー保護強化へ」「アメリカ人の「働きすぎ症候群」」「新たな農薬規制措置は妥当か」の4つのニュース(Unit)が収録されています。各ニュースは始めから5つのSectionに分割されています。1Unitを5日間で学習していきます。
各Sectionは同じ構成になっています。まず「Listening to Main Point」として日本語でCDの聞き取りのポイントが5W1Hで一つか二つ示されていて、これをたよりに大まかな内容を掴みます。次の「Checking Key Words and Phrases」で、6個から8個ほどのニュースに登場する重要な単語やイディオムが紹介されているのでこれをたよりにもう一度ナレーションを聴きます。「Understanding Details」では、詳細な内容が確認できているかを問う多肢選択問題が3問出されます。設問を先に読むことで積極的かつ能動的なリスニングを行う効果があります。「Verifying Details」では、さらに難解な内容を問う正誤問題が3問出され、詳細な情報を正確に聞き取る能力をテストされます。「Roundup Reviewing」では、「Checking Key Words and Phrases」のキーワードが赤で示された英文のスクリプトと日本語訳が掲載されています。もう一度CDを何も見ないで聞き取って、確認するためのものです。次に「語句注」として、スクリプトに登場した単語やイディオムの一部の一覧があります。Sectionの最後には「学習のポイント」として、英語の学習法のアドヴァイスニュースに登場した語句や表現の意味や語源、歴史的背景の解説、ニュースを読むための背景知識の解説などがあります。
巻末に、ニュース全体が一読できるトランススクリプトが収録されています。
全体のニュースの難易度は同一です。
CDには、Sectionに分けられて実際に放送されたニュースの音声が収録されています。余計な効果音やナレーションなどは何も入っていません。”英語教材として聴き易く”作られたものではありません。
本物のニュース英語が生のままでカットなしで収録されています。本書の特徴は、CNNやBBCやVOAの音声とスクリプトを収録したガイドの無い教材と違い、ニュース英語の音声をガイドつきで徐々に理解を深めながらリスニング能力を鍛えていけるところです。
1999年のニュースを収録しています。どれも比較的タイムリーなテーマですが、Unit 1以外は現在でもニュースを読む意義はあると思います。
TOEIC 600点、TOEFL 500点、英検準1級以上の中級~上級レヴェルの英語学習者が、CNNやBBCのニュースの放送をそのままリアルタイムで理解するための足がかりとして有効な教材です。
Cheers!!
『アメリカ人ならだれでも知っている英語フレーズ4000』山田詩津夫、David Thayne(小学館)
『アメリカ人ならだれでも知っている英語フレーズ4000』山田詩津夫、David Thayne(小学館、2005年11月)
辞書に載ってないネイティヴが生活で使う慣用表現を満載した「フレーズ表現の辞書」!!
慣用的な会話表現、ことわざ・格言、聖書などからの引用句、テレビ・映画の有名なせりふ、歌の文句、子どもたちが使うはやしことば、迷信、ジョークなどのフレーズ(定型表現)を多数収録した「フレーズ表現の辞書」です。
全体の構成は、フレーズの中心になる見出し語によってフレーズが分類されて、見出し語のアルファベット順に並べられています。見出し語の項目の中では、フレーズがアルファベット順に並べられています。
フレーズのそれぞれの項目は、まずそのフレーズが提示されます。同じ意味で使われる類似のフレーズや同じ意味だが表現方法が少し違うフレーズはスラッシュで区切って並べられ、notやneverがつく反意的な表現は矢印で印がつけられています。その次に、フレーズの意味が意訳や直訳、日本語の四字熟語やことわざ、文語表現などで複数あるいは単数紹介されます。主要な意味はフォントがボールドで強調されています。次に、フレーズの原義や映画・文学などの引用元や歴史的背景、使われるシチュエーションなどの表現を用いる時の注意、そのフレーズを使った応用的な表現やそのフレーズの部分的な言い換えによる表現の変化などが解説されます。次に例文や類似表現、映画・文学・音楽の歌詞・政治のスピーチなどにおける使用例などが掲載されている項目もあります。
紹介されているフレーズは、「Come on.」など頻繁に用いる表現から、「Do the math.」というような慣用表現、「All rise.」というような号令、「All good things come in threes.」というようなことわざ、「We’ll always have Paris.」「I’ll be a son of a gun.」というような映画や文学のせりふ、「a land flowing with milk and honey」と言った聖書などのことば、「In 1492, Columbus sailed the ocean blue.」というような勉強で使う韻や語呂によるフレーズ(日本で言う「意欲に燃えるコロンブス」)など、謙譲語や丁寧表現から口語やスラングまで様々なフレーズが収録されています。
アメリカ人が日常で用いる表現が沢山収録されています。一般の英和辞典や英英辞典に載っていないフレーズも多く収録されています。解説もおもしろくて、読み物としても使えますし、映画や小説を読んでいて解らないフレーズがあったときに参照する「フレーズ表現の辞書」としても活用できます。
英語力や知識がある中級者~上級者で、映画や小説などの口語表現を理解したい方、ネイティヴとのさらに円滑なコミュケーションを行いたい方などにオススメです。日本人が実際にネイティヴが生活で使っているフレーズや表現をマスターするために必須の一冊だと思います。
Cheers!!
『耳単 英語のリズムでらくらく1000語』中田憲三、中田匡紀(ジャパンタイムズ)
『耳単 英語のリズムでらくらく1000語』中田憲三、中田匡紀(ジャパンタイムズ、2005年9月)
ボサノヴァのリズムで効果的に単語を覚える!!
重要単語1000語をBGMにのせたナレーションを聞くことで効率的に覚える単語集です。
全体の構成は一日の学習の目安である10のDAYに分かれます。
DAYの最初にはそのDAYで覚える単語100個前後の一覧があります。
本文のページでは、左右のぺーじそれぞれ上下に5段の項目に分かれています。項目の上部には1つから3つの見出し語と発音記号、日本語訳が書かれています。見出し語は単語と一部複合語とイディオムがあります。項目の下部には例文とその日本語訳があります。例文がアクセントの部分が赤い文字で書かれ、グレーのボックスで囲まれていて、発音を区切るアクセントの前の部分で間隔があります。この間隔は単語の途中にも置かれています。
各Dayの終わりには穴埋め式の練習問題があります。
CD2枚付きでネイティヴ・スピーカーの女性によるナレーションが収録されています。
ナレーションはまず見出し語が読まれて日本人の女性によって日本語訳が読まれます。次に、これがその本の特徴なのですが、上記のグレーのボックスの表示を反映して単語の中を含めて、文を区切って例文を発音します。その次に普通に例文を発音して、次の項目に続きます。
発音はアメリカン・イングリッシュです。
アクセントで区切って発音してある例文のナレーションは、おそらく後でハードディスク・レコーダーで編集して間隔を入れたものなので違和感があります。
ナレーションには記憶力を高めるためのBGMが付けられています。曲はポップス、ブギウギ、フュージョン~AOR風を右脳が活性化する4/8拍子にアレンジしたものです。テクノ・ポップやハウスではない打ち込みのほとんどループの単調な展開のかなり少ない(通常のポピュラー音楽ではこんな中途半端な展開はありえない)音楽が休みなく10分以上続くのが不快です。『キクタン』の方が音楽のクオリティが高いです。
BGMにくらべてナレーションのヴォリュームが小さかったり、英語の破裂が多い発音とリズム系の音色のサウンドが重なって聴こえたり……ミックスのバランスが悪いです。
収録されている単語は、必須の基本単語とされていますが、少し難し目の印象です。筆者によるとTOEIC 600~700を目指すレヴェルだそうです。
Cheers!!