『フォニックス<発音>トレーニングBOOK』ジュミック今井(明日香出版社、2005年2月)
ネイティヴの子供のための綴りの学習法である「フォニックス学習」を用いて発音を習得するための教材。
全体は8章構成で各チャプターは、「1字つづりの子音」「1字つづりの母音(短母音)」「子音ダイアグラフ」「子音ブレンド」「母音ペア1」「母音ペア2」「Rの付いた母音」「サイレントE」となっています。
チャプター1と2は、3ページでひとつの「Rule」として発音を扱います。1ページ目では、「下準備」として発音の仕方をイラストつきで解説、「発音のツボ」として発音のコツや意識について説明、「ここが急所」ネイティヴに通じるための発音の注意点や類似する発音と区別して発音する方法を説明します。2ページ目では、「フォニックサイズ」として発音単独での練習を2回して、「How to say it」では発音単独と単語での発音の練習を8つ、「Read aloud!」では6つ単語での発音の練習。3ページ目では、「Spice it up!」として、経済や法律の専門用語やスラング、スポーツ用語など高度なヴォキャブラリーで5~6ほど発音を練習、「Tongue Twister」でその
Ruleで扱っている発音中心の早口言葉で発音を練習します。
チャプター3は、「子音ダイアグラフ=子音2字1音で新しい音をつくる」の発音を練習します。構成は、3ページがひとつのRuleで、「発音のコツ」と「フォニックスサイズ」「How to say it」、「Quiz」となっています。
チャプター4は、「子音ブレンド=母音を挟まない2つ以上の子音の組み合わせ」の発音を練習します。1ページがひとつのRuleで「フォニックスサイズ」と「How to say it」「Spice it up!」で練習をします。
チャプター5は、「最初の母音をアルファベット読みし、次は読まない母音ペア」を覚えます。8個ほどの単語を読んで、「Tongue Twister」を行います。
チャプター6は、「2つの母音が結びつき新しい音を作る」母音の組み合わせの発音を練習します。2ページがペアで「発音のコツ」「フォニックスサイズ」「How to say it」があって、「let’s talk about it!」でかなり短い対話文で発音の練習をして、最後に「Tongue Twister」があります。
チャプター7は、「Rのついた母音の発音」を練習します。「フォニックスサイズ」と「How to say it」「Read aloud!」「Tongue Twister」があります。
チャプター8は、「サイレントE=単語の終わりの読まれないe」のルールを学んで、「can you read it?」で10個ほどの単語を発音して規則を覚えて、「silent e quiz」でサイレントEの単語の穴埋め問題を行います。
付属CD付きでCDに合わせて発音の練習が行えます。ナレーションはネイティヴの男性で普通のアメリカン・イングリッシュだと思います。
アルファベット読みではない、実際の発音の中の「フォニックス読み」を行うことで、綴りと関連させて発音を覚えることができることがこの本のストロング・ポイントだと思います。
おそらくネイティヴ・スピーカーの筆者によって、ネイティヴに伝わるための発音が解説されている点も特筆に値します。
『英語耳』などの基本的な発音練習の教材を終えてさらに綴りを含めた発音の知識をアップしたい方、綴りを重視しない発音教材に不満のある方にオススメします。
Goodbye!! See you again!!
『英語のしくみが見える英文法 ネイティブのセンスに迫る!』酒井典久(文芸社)
『英語のしくみが見える英文法 ネイティブのセンスに迫る!』酒井典久(文芸社、2005年3月)
英語の原義や歴史的成り立ちを捉えながら英文法を解体して解説!!
基本的な文法事項を、受験英語的にただ暗記のために文法の機能や意味を解説するのではなく、「歴史的な形成過程とその結果」と「新しい発想での体系的な説明」で英語のしくみを元の形や意味に解体して解説します。
18章構成で、各章のテーマは「it構文」「~を除いてのbut」「useの表現」「簡略表現」「意味・ニュアンス」「意味の変遷」「不定冠詞のa」「ユニークな表現」「主格補語」「目的格補語」「現在完了」「分離動詞」「疑問文・倒置」「ドイツ語方言」「三単現と複数形」「フランス語の影響」「ing」「分詞構文」となっています。77のトピック(疑問)が収録されています。
「新しい発想での体系的な説明」とは、例えば、「「If it were no for」の構文は「It~that」の強調構文の前半部分を仮定法過去で強調したものである」のように、構文や品詞の元のかたちに解体して解説します。
「歴史的な形成過程とその結果」の解説とは、「「しかし」のbutは「~を除いて」のbutから意味が派生したもの。」「「be used to~」は、「慣らす」の意味で使われていたuseが受動態だけ残ったものである。」「fastの「しっかり」と「速く」、evenの「~でさえ」と「平らな、均一の」の関係の歴史的な変遷」など、英語の語源や表現のルーツを紹介。
後半では、古英語(アングロサクソン語)へのドイツ語・フランス語の影響が解説されます。「ドイツ語が英語にもたらした「三単現のs」と所有格の’sへの影響」「フランス語のdeの表現法の英語ofへの影響」「英語の動名詞形の誕生とフランス語のen+~ antの影響」のように、「三単現のsが複数形と同じかたちなのか?」「動名詞になぜ進行形の意味がないのか?」といった英語に対する素朴な疑問を解き明かしてくれます。
筆者は高校教師で「高校生にも読んでもらいたい。」としていますが、実際にこの本に書かれていることを覚えて実践で役立てるのは少し難しいと思います。もちろんに英語に対する理解を深めてはくれますが内容は少し高度です。「ネイティヴのセンスに迫る!」という副題ですが、実際のネイティヴが本書に書かれている知識がある謎です?でも、この本を読むことで「三単現のsは、韻を踏むためについている」などの知識を得ることで、ある程度「センスに迫る」ことは可能だと思います。
「文法の基礎」が書かれているわけではないので、文法をある程度マスターされている方が英語力や理解力を高めるために読む価値はおおいにあります。それなりにおもしろく読める本です。
Goodbye!! See you again!!
『速読速聴・英単語 Advanced 1000 ver.3』松本茂、ロバート・L・ゲイナー、藤咲多恵子(Z会)
『速読速聴・英単語 Advanced 1000 ver.3』松本茂、ロバート・L・ゲイナー、藤咲多恵子(Z会、2008年4月)
速読・速聴・ボキャブラリー・時事知識を総合的に鍛えて、さらに上級の英語力を目指すための教材!!
上級のヴォキャブラリー1000を収録した長文を中心にする英単語・リスニング・リーディング総合教材です。
全体は430ページほどで、本編は「社会」「政治・国際」「経済」「司法・法律」「医療・健康」「科学」「その他」の各章で構成されます。本文の内容は、実際のニュースからとられたもので、実際のニュースやニュースペーパー、雑誌を聴いたり読んだりするための知識を強化することができます。ピックアップされているヴォキャブラリーも基本的なものではなく、応用的なものでアクチュアルに現在のニュース英語・ビジネス英語に対応できるものだと思います。英文の質が高く教材的な”例文”とは一線を画しているところに好感が持てます。
本編のページは、4ページがペアになっていて左ページにメインの英語本文とその下にヴォキャブラリーが掲載されいます。右ページには日本語の(書き下し文ではない)通常文での全訳と、その下に右ページだけで収録しきれないものがある場合にヴォキャブラリーが掲載されていて、さらに「語句・表現」として難解なイディオムや語句・表現の解説や固有名詞の解説が加えられることがあります。メインのひとつのトピックの英文は長文で複数のページに分割されています。長いもので8つ16ページに短いもので3つ6ページに分割されています。
本文のナレーションを収録したCD3枚が付属します。CDの内容はネイティブの女性と男性によるファスト・スピードの本文のナレーションが、ほとんど間隔をおかずにひたすら収録されています。ファスト・スピードとはニュースのアナウンサーが普通に読み上げるスピードです。英文のトピックごとに女性と男性が交代します。発音はアメリカン・イングリッシュで特に問題のない(やや上品な)普通の発音だと思います。
僕のオススメの勉強法は、各ページごとに一応意味がわかるまで本文や日本語訳を読んで、CDを聴きながら本文を黙読、CDに合わせて本文を音読を繰り返して、全体でそれが終わったら、CDに合わせてひたすら本文を音読する方法です。
上級レヴェルの教材なので、基本的な発音や文法や単語などをマスターしてい、てある程度英文テクストが読める聴ける方でないとついていくことはできません。TOEICスコア 800点以上、英検1級以上を目指す方、CNNやBBCのニュースをリアルタイムで理解できるようになりたい方、Japan Timesなどの英字新聞をよりスムースに読めるようになりたい方にオススメします。