『LIVE from LONDON』岡田久恵、ジャパンタイムズ(ジャパンタイムズ)

『LIVE from LONDON』岡田久恵、ジャパンタイムズ(ジャパンタイムズ、2003年5月)
すべてロンドン周辺で収録された現地録音の生きたブリティッシュ・イングリッシュが聴けるリズニング教材です。
全体の構成は「5泊7日のイギリス旅行」をイメージしてDay1~5という5つのパートに分かれています。それぞれのパートは2~3の「Action」(行動)に分けられます。
各Actionの構成は以下のようになります。「Key Words」は本文スクリプトに登場する特徴的なヴォキャブラリーとその意味や背景知識を紹介します。単なる”語の意味”だけでなく文化的な内容が紹介されているところが優れています。「Do you follow?」では、5個の質問でスクリプトに対する理解を問います。「イギリスらしさを感じてみよう」では、本文に登場したブリティッシュ・イングリッシュの表現がイギリス英語とアメリカ英語の違いに基づいて解説されます。「これであなたもイギリス通!」では、基本的なブリティッシュ・イングリッシュの特徴的な表現やイギリスの文化に基づいた表現の解説、基礎的なイギリス文化の解説をします。たまに、「Location Report」として英国政府観光庁、ホテル、ショップなどのガイドや「Did you know?」としてパブやアフタヌーンティーなどの英語での歴史や基礎知識の紹介、各Dayにひとつ「Tube Quiz」としてロンドンの地下鉄のナレーションを用いたクイズが収録されています。
本文スクリプトの内容は、以下のようになります。
Day 1「Take off to London!」飛行機の機内アナウンス、ホテルのチェックイン手続き、パブでの料理についてのインタヴュー
Day 2「Explore the city!」観光案内所BTAでの会話、ワイナリーでワインを購入する際の会話、観光名所のウォーキング・ツアーのガイドのアナウンス
Day 3「Feel It!」BTAで演劇やフットボールのチケットを買い求めたりドレスコードや交通機関について聴く会話、スタジアムでチェルシーのゲームのチケットを買う時の会話とスタジアムのガイドのアネウンス、マーケットでヴィンテージのスエードのジャケットを買う時の会話
Day 5「Never-ending jorney」BTAで小旅行のための鉄道のチケットを予約する時の会話、電車の中でのナレーション、湖水地方のホテルのシェフへのインタヴュー
Day 5「Better yourself!」モンブランでボールペンとポーチを買う時の店員とのやりとり、フェントン・ハウスについての観光局の職員との会話、語学学校での会話
CD一枚付きです。CDは各トラックの間隔に合図としてチャイムが入っている以外は、余計な英語・日本語のナレーションは入っていません。ナレーションはすべてロンドン周辺で収録されたもので、言い淀みや繰り返しがあるリアルでブロークンな部分もあるブリティッシュ・イングリッシュが聴けます。会話はナチュラルスピードで、ニュース英語などとは違い”聴きやすい”ように配慮されているわけではない、プロの話し手ではない現地の人々の日常の言葉が聞けます。また、生活音のノイズもそのまま収録されていてリアル感を高めています。
内容はすべてイギリスの文化に関連するもので、内容的にも飽きずに読んだり聴いたりすることができます。「イギリス文化」についての本としてもオススメです。スクリプトは本の後半にまとめて収録さてていて、CDのナレーションとリスニングを目的にした本ですが、読み物としても面白いです。
この本は、初心者向けの本ではありません。ブリティッシュ・イングリッシュの発音や文法の”基礎”については書かれていませんし、CDの音声のスピードも早く、発音も初心者向けの聴きやすく配慮されたものではありません。基礎的なリスニングの能力が完成している方ではないと教材のレヴェルについていけません。でも、個人的にはアメリカン・イングリッシュより大分聞き取りやすいです。
イギリスとブリティッシュ・イングリッシュの理解を深めたい、ブリティッシュ・イングリッシュのリスニングの仕上げをしたい、BBCをリアルタイムで聴きとれるようになりたい、イギリス旅行のための準備がしたいといった方にオススメです。
Goodbye!! Cheers!!

『ハートで感じる英文法 会話編』大西泰斗、ポール・マクベイ(NHK出版)

『ハートで感じる英文法 会話編』大西泰斗、ポール・マクベイ(NHK出版、2006年5月)
文法事項の形の定義ではなく、イメージや感覚をつかむことで文法と表現を融合させる!!
Lessonは12あって、「to不定詞」「if」「知覚構文」「倒置」「否定」「時制の一致」「「とき」の感覚」「some & any」「可算・不可算」「疑問詞・関係詞」「使役動詞」「up & down」となっています。
各レッスン構成は、まず「Is your Grammer Working for you」で例文を示して読者の理解力を問います。「Traditional Approach」では、従来の学校英語的な形の定義による文法事項の説明を紹介します。次に、本書の独自の文法の解説である「Power of Grammar」になります。「STEP 1」では、「その呼吸をつかまえろ」というタイトルでその文法事項がもっている基本的感覚を紹介します。「STEP 2」では、例文を挙げて、この文法事項が持つ意味や表現方法を解説します。「STEP UP」では、関連する文法事項や応用的な表現の説明でさらに理解を深めます。レッスンの最後は「Now, Switch on Your Conversation Power」で、復習をしたり、その文法事項を実際の会話の中でどう使ったりどういう意味で理解されるか、ということが解説されます。
既存の文法書のように表現の解説や形の定義ではなくて、ネイティヴ・スピーカーが無意識的に感じている文法事項のイメージや機能を解説して、さらに会話や表現での応用方法を説明します。
例えば、「to不定師」では、to不定詞と前置詞の「to」を意識的に区別していないで、無意識的に使っているネイティヴの感覚=「呼吸」で理解しようとします。「指し示して」「足りない情報を埋める」というようにtoがもっているイメージを理解して迅速で応用のきく英語表現ができることをめざします。
ネイティブ感覚での英語理解を学ぶための参考書ですが、外国語を理解するためには知識としての文法理解が必要です。この本は、一通りの文法の知識がないと難しいと思います。文法の知識を解体して、実践的な表現力に再構築するための参考書です。ある程度の英語力があって、会話やライティングなどのための表現力や日常会話や口語の理解力を伸ばしたい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!

『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社)

『ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社、2005年11月)
「表現解説」ではなく、ネイティブの英語の感覚や英文法の意味の構造の感覚原理を解説!!
既存の文法書のような「表現解説書」ではなくて、英語の「絶対基礎力」を身につけるために<5つの感覚原則>を中心に英文法の意味の構造を解説する参考書です。4章構成で、各章のタイトルと内容は以下のようになっています。
1.「英語の骨格を決める配置感覚」「てにをは」のない英語の配置の重要性を感覚原則<並べると説明>も用いて説明。そして、様々な文型や構文がもっている意味を解説します。
2.「骨格を変形する」配置を重視する英語における「主語ー助動詞倒置」を<不安定な感情>の表現という感覚原則で説明。
3.「修飾する」<前は限定><並べると説明><穴は埋めろ>という感覚原則を用いて、形容詞・限定詞・wh語の配置関係を含めた機能やイメージを解説。
4.「「とき」をあらわす」<ときは距離>時制が持っているイメージや機能の違いを心理的距離の違いとして説明。距離によって丁寧表現や仮定法も説明します。
文法の表現を逐一解説していくのではなくて、ネイティヴスピーカーの言葉への意識や英文法の持っている意味の基本構造を解説します。冠詞や時制の使い方、倒置法の意味や使い方など、既存の文法書でなぜこうなるのかが解らなかった部分の構造の原理を解きほぐして解説していて、英文法の疑問点を解消することができます。英語のリーディングだけではなく、ライティングから会話までメリットがあると思います。
「絶対基礎力」というタイトルがついていますが、初心者には高度な内容です。初心者がいきなり読んでもよくわからないと思います。この本が対象になるのは、一通りの英文法の知識や英語力がある方です。この本は学校英語の英語の知識を整理して再構築するためのものです。基礎的な英語力があって、さらに実践的な表現力やより深い読解力を獲得したい方にオススメです。
Goodbye!! See you again!!