『イギリス英語リスニング・ブック』上田眞理砂、イアン・デイヴィ(語研、2004年7月)
会話のリスニングをメインにしたイギリス英語の教材です。
本書の構成は、まず最初にスペリングや発音、アクセントなどのブリティッシュ・イングリッシュの特徴を紹介します。本文は、「Transport and Travel」「Shopping」「Meeting People」などの12のUNITに分かれます。各UNITには、3つの「Listening」が収録されます。各「Listening」では、まず「Vocabulary」としてCDのナレーションに登場した6つのフレーズや単語と意味が近い英語の6つの単語やフレーズを照合する問題があります。次に「Listening Warm-Up」として、正誤問題や質問でナレーションの内容の理解を問う簡単な問題があります。つづいてTask 1~3でさらに深く内容の理解を問う問題が3チャプターあります。各Listeningのスクリプトと日本語訳は巻末にまとめて収録してあります。
CD1枚つきで、各Listeningのスクリプトのナレーションが収録されています。多くのナレーターが参加していて、駅のアナウンスや電話でのインフォメーションにはエフェクトがかかっていて、会話はちゃんと演技をして読んであるので、ナレーションにヴァリエーションがあっておもしろいです。ナレーションはややスロー・スピードでかなり聴きやすいです。
ブリティッシュ・イングリッシュのリスニング力を上げたい方にオススメです。
Goodbye!! Cheers!!
『やっぱりイギリス英語が好き!』ジュミック今井、トレーシー・キメスカンプ(明日香出版社)
『やっぱりイギリス英語が好き!』ジュミック今井、トレーシー・キメスカンプ(明日香出版社、2008年10月)
ブリティッシュ・イングリッシュとイギリス文化を深く知るために!!
全体の構成はイギリス文化に関連した以下の20のパートに分かれます。
「BEING BRITISH 英国人」「THE UNITED KINGDOM 英国」「PUB パブ」「B&B」「FISH AND CHIPS フィッシュ&チップス」「DOUBLE-DECKER ダブルデッカー」「BRITISH FOOD 英国料理」「ENGLISH GARDEN イングリッシュガーデン」「WEATHER 天気」「ANTIQUE MARKET アンティークマーケット」「PHARMACY 薬局」「POST OFFICE 郵便局」「ROYAL FAMILY 英国王室」「WEDDING 結婚式」「SUPERMARKET スーパーマーケット」「UK ENGLISH VS US ENGLISH 英語VS米語」「CAR BOOT SALE カーブートセール」「TELLY テレビ」「TUBE ロンドンの地下鉄」「WORK 仕事」
各パートの構成は、まず、「イントロダクション」としてパートのテーマに関連する8行ほどの英文テクストとその日本語訳があります。テクストはイギリス文化やイギリスの日常生活に関する簡単なコラムです。その次にこれもテーマに関連する2ページほどの「ダイアログ」があります。ダイアログの内容は日本人旅行者のユキが旅行の過程で様々なシチュエーションに遭遇するというものになっています。「イギリス英会話必須センテンス」では、ダイアログの中のセンテンスが取り上げられ、英語と英会話の一般的な解説とブリティッシュ・イングリッシュ独特の表現やイギリス文化とそれにまつわる表現についての解説がされます。「イギリス英会話ならではの単語とフレーズ」では、ブリティッシュ・イングリッシュならではの単語をフレーズを例文付きで解説します。「覚えて使う単語リスト」では、パートのテーマに関連する単語がブリティッシュ独自のものではないものも含めて紹介されます。スコットランドやウェールズを含むU.K.の地名や王室や貴族の称号、ロンドン地下鉄の駅名、イギリス料理とその関連の名前などイギリス独特の単語を延々と紹介しているパートもあります。その後にダイアログの日本語訳があります。パートの終わりにある「EASY-PEASY!」では、ブリティッシュ・イングリッシュのスラングを例文つきで紹介します。「ブリットビア」では、イギリス文化やイギリスの生活に関するトリビアを紹介します。
CD一枚つきで、イントロダクションとダイアログ、覚えて使う単語リストのナレーションが収録されます。スピードは全てナチュラルスピードです。ナレーターはネイティヴの男性と女性です。CDのナレーションは録音も発音もクリアで丁寧に読まれていて聴きやすいですが、棒読み気味で教材的な比較的味気ないナレーションです。男性の方にブリティッシュ独特のクセが少ない気がして物足りないです。
この本は「ブリティッシュ・イングリッシュの解説書」というより、「ブリティッシュ・イングリッシュで書かれた/読まれたリーディング/リスニング教材」+「イギリス文化紹介本」という感じです。内容自体もおもしろくて、英語教材ではなく、純粋に読み物としておもしろいです。
テクストの内容は日常会話で普通のレヴェルですが長めで、CDのナレーションもナチュラル・スピードなので初心者向けではありません。ある程度英語力があるか、ブリティッシュ・イングリッシュの基礎知識がある人向けです。
イギリス旅行なので、ブリティッシュ・イングリッシュに慣れたい人にもオススメです。
この本には、発音や文法などの「ブリティッシュ・イングリッシュの基礎」の解説はないので、この本を読む前にまず 『イギリス英語リスニングCD』 『イギリス英語Total Book』を僕はオススメします。
Goodbye!! Cheers!!
『英文法のトリセツ じっくり基礎編 英語負け組を救う丁寧な取扱説明書』阿川イチロヲ(アルク)
『英文法のトリセツ じっくり基礎編 英語負け組を救う丁寧な取扱説明書』阿川イチロヲ(アルク、2005年2月)
各章(STEP)の構成と内容は以下のようになっています。
「英語のカタチ」…品詞の種類と区別、be動詞・一般動詞の性質、代名詞
「否定文・疑問文のカタチ」…否定形、疑問形のつくり方
「動詞が英文のカタチを決める!(一般動詞編)」…英語の語順、前置詞、自動詞と他動詞の見分け方
「動詞が英文のカタチを決める!(be動詞編)」…be動詞と文のつくり方
「動詞のカタチ(時制)と副詞」…過去形と過去形の否定文・疑問文、英語の時制の感覚
「アレも副詞、コレも副詞?」…様々な副詞とその使い方
「前置詞が英語を見えにくくする!」…前置詞を使った表現と語順
「掟破りのカタチ」…等位接続詞や命令形、勧誘の表現など英語の基本ルールを破る表現のカタチと意味
「助っ人動詞?」…助動詞の使い方と意味、助動詞を使った否定文・疑問文
「「疑問詞」ってなーに?」…疑問視の使い方と様々な表現
「動詞に-ingがくっついた!」…進行形のつくり方とその時間の感覚
「難度Sの文のカタチ(前編)」…五文型、SVOOのカタチと注意
「難度Sの文のカタチ(後編)」…SVOCのカタチ、英語の文の基本構造
本文では、まず問題を提示して講義形式で解説をしていきます。重傷事項はattentionとしてまとめられています。
各章の終わりには、「「ふくしゅう」宿屋」として、3問の問題が二つと復習の解説があります。
「日本語と英語では、文をつくるルールが違う」ということを見直して、「品詞とは何か?」「品詞の区別の仕方」から始めて5文型と「英語の文の構造のあり方」まで説明します。品詞やbe動詞といった本当の基礎からくどくどと英文法の原理を説明します。図などを使って簡潔に説明するのではなく、講義形式で重要な部分を繰り返しながら言葉でじっくり説明していきます。日本語の文と比較しながら、「主語の名詞の後には動詞が来る」「日本語には前置詞が無い」「形容詞がbe動詞の結論になることがある」といったように英文の構造を執拗に解体して説明しているのが本書の解説の特徴です。
英語が大の苦手で高校中退で特に英語の専門家ではなかった筆者の立場からこの本は書かれています。「中学英語がよくわからなかった」「今でもよくわからない」という人が読んだとして英文法が理解できるように工夫されています。
しかし、be動詞を「一般動詞が入らないときに使う代用品動詞」とする、「主格は『…は、が』という意味、所有格は『…の』という……」「進行形は動詞の性質を持った特別な形容詞」と説明する、など、表面的な理解や一応の理解としては間違ってはいないが、正確で本質的・専門的な英語の理解としてはどうなのか?というような記述が結構あります。
英文法をある程度理解している方には、文法用語をあまり使わないのでかえって理解しにくかったり、説明がくどかったり、「トリセツ」と表記している割には構成も記述も整理されていない感じがあったりするかもしれません。
英語ができるけど英文法の知識を再確認したり整理したい、という方には向いていない本です。本書は、本当に英語の基礎の基礎の原理の理解を必要としている方のための本です。
Goodbye!! See you again!!