『文法から学べるフランス語』佐原隆雄(ナツメ社、2004年7月)231ページ
わかりやすい簡潔な文法解説で練習問題とディアローグを多数収録したフランス語入門書!!
大学の教科書のような構成でありながら初心者・独学者にも学びやすいように工夫されたフランス語教材です。
全体の構成は二つのPartに分かれます。Part 1~Pronunciation et orthographe~(発音とつづり字)では、アルファベやフランス語の発音、男性名詞と女性名詞について簡単に解説します。Part 2~Grammaire~(フランス語の文法)から文法を解説した本編になります。各パート合計で61のLeçonで構成されています。
Part 2の各Leçonは、2ページか4ページになります。2ページで構成されるLeçonでは、左ページに文法の解説があって、右ページに練習問題があってその下部にそのLeçonであたらしく登場した単語がまとめられるかたちが基本になります。(Mini-dialogueが収録されているLeçonもあります。)4ページで構成されるLeçonでは、1ページ目と2ページ目に文法解説があって、3ページ目は練習問題、4ページ目はMini-dialogueとExpressions utiles(役に立つ表現、注意すべき表現)、そしてその下部にそのLeçonであたらしく登場した単語がまとめられるかたちが基本になります。練習問題の答えは巻末にまとめられています。
男女のフランス人のネイティヴ・スピーカーによるナレーションが収録されたCDが1枚が付属します。Leçon 2の動詞の活用などと例文、ミニ・ディアローグのナレーションが収録されています。(動詞活用は読まれないものもあります。)Expressions utilesとLeçonの最後にまとめられている単語のナレーションが収録されていないのが残念です。
厳密に文法を学ぶというよりは、会話で使えることを指向した「コミュニケーションのための文法」を学ぶための教材です。文法の解説は文章での説明は最小限にして、図や矢印と書き込みで説明することでわかりやすく読む側に負担の少ないようにつくられています。練習問題が各Leçonに必ず一つ収録され、半数以上のLeçonでミニ・ディアローグが収録されていて、実践やコミュニケーションで使えることを重視しています。「本書の特徴と使い方」に「仏検3級レベル」と記載がありますが、この一冊だけで合格は厳しいと思います。
こういう大学での教科書をモデルにした教材には問題があると思います。
Leçon 1の解説だけでは、発音の理解ができません。ほとんどの文や単語にはカタカナでのフリガナがつけられていますが、そのまま読まない方がいいです。文法と綴りはフリガナに頼らなくても理解できるように始めに徹底して勉強した方がいいです。文法の解説は英語の文法をある程度マスターしていることを前提としている一方で例外などを詳細に解説していません。そして、文法を学びながら単語を覚えていくより文法を学ぶ前にヴォキャブラリーがある程度あったほうが理解が早いと思います。
基礎文法が学べて練習問題が多く収録されていてリスニングの勉強もできるという意味ではコストパフォーマンスは高いです。しかし、しっかりした知識で使えるフランス語を身につけるには、この教材に時間を使うことを考えると、総合的なコストパフォーマンスは高くないと思います。
僕は、発音・文法・単語を個別の教材でじっくり勉強していくことをオススメします。
Au revoir!!