『英文法のトリセツ じっくり基礎編 英語負け組を救う丁寧な取扱説明書』阿川イチロヲ(アルク、2005年2月)
各章(STEP)の構成と内容は以下のようになっています。
「英語のカタチ」…品詞の種類と区別、be動詞・一般動詞の性質、代名詞
「否定文・疑問文のカタチ」…否定形、疑問形のつくり方
「動詞が英文のカタチを決める!(一般動詞編)」…英語の語順、前置詞、自動詞と他動詞の見分け方
「動詞が英文のカタチを決める!(be動詞編)」…be動詞と文のつくり方
「動詞のカタチ(時制)と副詞」…過去形と過去形の否定文・疑問文、英語の時制の感覚
「アレも副詞、コレも副詞?」…様々な副詞とその使い方
「前置詞が英語を見えにくくする!」…前置詞を使った表現と語順
「掟破りのカタチ」…等位接続詞や命令形、勧誘の表現など英語の基本ルールを破る表現のカタチと意味
「助っ人動詞?」…助動詞の使い方と意味、助動詞を使った否定文・疑問文
「「疑問詞」ってなーに?」…疑問視の使い方と様々な表現
「動詞に-ingがくっついた!」…進行形のつくり方とその時間の感覚
「難度Sの文のカタチ(前編)」…五文型、SVOOのカタチと注意
「難度Sの文のカタチ(後編)」…SVOCのカタチ、英語の文の基本構造
本文では、まず問題を提示して講義形式で解説をしていきます。重傷事項はattentionとしてまとめられています。
各章の終わりには、「「ふくしゅう」宿屋」として、3問の問題が二つと復習の解説があります。
「日本語と英語では、文をつくるルールが違う」ということを見直して、「品詞とは何か?」「品詞の区別の仕方」から始めて5文型と「英語の文の構造のあり方」まで説明します。品詞やbe動詞といった本当の基礎からくどくどと英文法の原理を説明します。図などを使って簡潔に説明するのではなく、講義形式で重要な部分を繰り返しながら言葉でじっくり説明していきます。日本語の文と比較しながら、「主語の名詞の後には動詞が来る」「日本語には前置詞が無い」「形容詞がbe動詞の結論になることがある」といったように英文の構造を執拗に解体して説明しているのが本書の解説の特徴です。
英語が大の苦手で高校中退で特に英語の専門家ではなかった筆者の立場からこの本は書かれています。「中学英語がよくわからなかった」「今でもよくわからない」という人が読んだとして英文法が理解できるように工夫されています。
しかし、be動詞を「一般動詞が入らないときに使う代用品動詞」とする、「主格は『…は、が』という意味、所有格は『…の』という……」「進行形は動詞の性質を持った特別な形容詞」と説明する、など、表面的な理解や一応の理解としては間違ってはいないが、正確で本質的・専門的な英語の理解としてはどうなのか?というような記述が結構あります。
英文法をある程度理解している方には、文法用語をあまり使わないのでかえって理解しにくかったり、説明がくどかったり、「トリセツ」と表記している割には構成も記述も整理されていない感じがあったりするかもしれません。
英語ができるけど英文法の知識を再確認したり整理したい、という方には向いていない本です。本書は、本当に英語の基礎の基礎の原理の理解を必要としている方のための本です。
Goodbye!! See you again!!