『ネイティヴスピーカーの単語力 1基本動詞』大西泰斗、ポール・マクベイ(研究社出版)

『ネイティヴスピーカーの単語力 1基本動詞』大西泰斗、Paul Chris McVay(研究社出版、1999年4月)
動詞をイメージで理解して、ネイティヴ・スピーカーの感覚に迫る!!
学校英語・受験英語的に複数の意味をもつ日本語訳を暗記するのではなく、言葉の持つイメージを捉えることでイメージの拡張によって生み出された複数の意味を理解するための教材。動詞の持つイメージを理解することで、ネイティヴ・スピーカーの言葉の感覚を身につけて表現や読解の力をアップさせることを目指します。
全体の構成は、「さあ、はじめよう」「移動をあらわす動詞」「変化をあらわす動詞」「静的状態をあらわす動詞」「知覚をあらわす動詞」「思考をあらわす動詞」「伝達をあらわす動詞」「入手をあらわす動詞」「創造をあらわす動詞」「インパクトをあらわす動詞」というパートに分かれます。それぞれのパートではイメージの原型や基礎となる「PROTOTYPE」が単数あるいは複数提示され、応用的で具体的なイメージを持つ「MORE SPECIFIC」が紹介されます。さらにそれぞれの動詞には、その語の原義をあらわす「基本イメージ」とその応用である「派生イメージ」があります。
本文のページの構成は、まず取り上げられる英単語が提示され、基本イメージとしてそのイラストと例文を用いながらの解説が入ります。次に派生イメージに移って、それがいくつものイラストや例文を使いながら解説されます。goやcomeなどの「PROTOTYPE」のように派生イメージが複数ある動詞もあれば、具体的なイメージを持つ「MORE SPECIFIC」の単語では派生イメージがないものもあります。
実際のコミュニケーションの場では、言葉が言葉を語るのではなく、言葉が身の回りの世界を語ります。その点でイメージで動詞の意味を理解するということは大変効果があります。
この本がイメージがイラストで示される点が優れています。あんまり巧くないものが多かったり意味がわからないものもありますが、イラストが個別に描かれている点が素晴らしいです。
イメージでの単語の理解はイディオムの理解にも役立つと思います。
「イメージで動詞を理解する」という発想は優れていると思いますし、それと同様のことがないと英語をマスターしたとは云えないと思います。しかし、派生イメージの説明はもちろん間違っていませんし基本的には有用ですが、これを覚えてどこまで表現や読解に活かせるのか、結局理解を言語に還元していないか、という点が少し疑問です。本当にイメージで英語を理解するには、沢山、英語を読んで聴いて話して、慣用の中でイメージを定着させて、この本の日本語の説明を忘れていくことが必要だと思います。
基本的な英語力があって、コミュニケーション能力や理解力や読解力を高めたい人にオススメです。
Goodbye!! See you again!!