『「超」英語法』野口悠紀雄(講談社、2004年4月)
筆者の体験に基づいたビジネスマン向け実践的で合理的な勉強法を紹介!!
筆者の中学生の頃からの勉強法や留学経験に基づいた英語勉強法を提案する一冊。
全体の内容は以下の通りです。
第1章「実用英語の勉強における4つの間違い」では、擬似的な学習環境である英会話学校へ行くこと、話すことが重要だと思ってしまうこと、漠然と目的なく英語を勉強すること、英語を逐語訳に分解して理解すること、などの既存の英語勉強法の問題点が指摘されます。
第2章「どこに注力してどこで手を抜くか」では、ブロークンな英語の習得はやめて、専門用語の習得や早い英語の音の連結に慣れることなどを提案。
第3章「これさえ分かれば英語を聞ける(その1)」では、消失音やリエゾン、tのrへの変化など実際の発音で重要な音の変化を紹介。
第4章「これさえ分かれば英語を聞ける(その2)」では、リズムとアクセントや日本人になじみにくい表現、日本と英語圏で意味がことなる単語などを文や表現での音を聞くための重要な問題点を紹介。
第5章「聞く練習をする」では、通勤時間での勉強やインターネットの活用法、ウェブサイトやオーディオブックを紹介。
第6章「TOEIC征服法」TOEICの内容や勉強法、TOEICのメリットや問題点について解説。
第7章「私は英語をどう勉強してきたか」自身の英語勉強の経歴に辿って、勉強法や英語で読んだ文学、留学体験、そして、英語を勉強する価値と喜びが語られます。
どちらかというとビジネスマン向けの業務上のコミュニケーションを志向した内容です。完全否定ではないですが、映画や旅行での会話などの日常的な英語の習得は否定されていたり軽視されています。また、英語の専門家に目指したり人文系の研究をしたい人には向いていないないようです。とりあえずプラグマティックにビジネスで必要な英語力を身につけるメソッドが書かれています。
「聞くこと」「読むこと」が重要という見解に僕は基本的には賛成ですが、そのためには基礎的な学校英語的な勉強や練習も必要です。この本に書かれている勉強法は合理的で実践的で実りのある勉強方法という側面もありますが、鵜呑みにして特に初心者がそのまま実行するのは少し危険だと思います。それに紹介されている教材に文化的な教養の低さを感じます。この本がある程度、英語力がある人向けに書かれているということもありますが、この本の内容を読んで筆者の提案する勉強法が有用かある程度判断ができる人にオススメします。
勉強法とリスニングのためのポイントが書かれている本なので、直接英語力は上がりませんが、誰にとっても「英語力を上げるための勉強法のヒント」になることは間違いないです。