あらすじ
これはテクニカル・イラストレーター、トニー滝谷の物語。
トニー滝谷は本名であり、ジャズトロンボーン奏者であった父・省三郎が命名した。トニーというのは米軍の将校の名字で、省三郎は彼から世話になっていた。そして、その外国人のような名前から、トニーは嫌われ、孤独になった。
トニーは絵が得意だったので、美術大学を卒業し、評判のテクニカルイラストレーターになった。彼の作品の特徴は、人間味や温かみに欠けるが、精巧で緻密なことである。戦後の時代は貧しい生活を送っていた彼は、成功し、それなりの財産を手に入れた。
ある日、トニーは15歳年下の女性、小沼英子と恋に落ちる。二人は結婚し、幸せな日々を過ごした。
しかし、英子の問題と悪癖は、ヴァレンティノ、イヴ・サンローラン、ジバンシー、ジョルジオ・アルマーニといった高級ブランドの服を買い過ぎることだった。トニーは、それについて忠告した、それはお金の問題ではなく、不必要なことだからだ。そこで、彼女は新しい服を返しに行き、その帰りに交通事故に遭ってしまう、、、
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映画レビュー
「トニー滝谷」は、日本のテクニカル・イラストレーター、トニー滝谷(架空)の物語である。この映画は、トニーの孤独で、哀れで、退屈で、つまらなくて、普通だけど、裕福で安定した生活を(交通事故や妻の死も含まれて)淡々と描いています。
この映画はシンプルなショットの連続で構成されています。低い露出・高い絞りの白く高コントラストな映像とフィルムの質感が、東京郊外の平凡な街に住むトニー夫妻の平和で裕福な生活を表現している。
この映画のオリジナルの演出は、一人二役でイッセー尾形がトニー滝谷と滝谷省三郎、宮沢りえが小沼英子と斉藤久子を演じています。もう一つは、登場人物が客観的に自分のことを語り、村上の原作にある独白や疑問を口にするというものです。この演出により、観客はこの物語を客観的に、そして内省的に見ることになりあmす。これは、現代の過剰な再帰性(ギデンズ)や、自己とアイデンティティの苦悩を意味しています。
坂本龍一のミニマルなピアノのサウンドトラック、トニーの家のモダンでミニマルなセット、映像の質感などが、ストーリーやテーマにマッチしています。そして、日常生活の美しさや、人間の愛と哀しみ、光と影をうまく描いている。この映画は傑出した映画ではありませんが、美しく爽やかで一つの上質な映画だと思います。
映画の詳細
トニー滝谷
監督:市川準
撮影:広川泰士
原作:村上春樹
脚本:市川準
出演:イッセー尾形、宮沢りえ
ナレーション:西島秀俊
上映時間:75分
公開日:2005年1月29日
製作国:日本
言語:日本語