新書で読める哲学の本 哲学入門書 おすすめ

『哲学のすすめ』岩崎武雄(講談社現代新書)

現代社会での日常や仕事の実生活の中で哲学を知ることの意味、プラクティカルな科学的知識との関係と対比における哲学の価値である原理的な価値判断、現代の無反省な生活の中で忘れられたただの快楽ではない主体的な幸福の必要性、といった哲学の根本的だが実践的で高度な問題を平易な文章で提示し哲学者たちの議論を用いて説明する。すべての人に勧めることができる哲学の入門書であり、1966年の出版から増版が続いている講談社現代新書の発行部数ランキング10位のベストセラーである。哲学の価値と意義を真摯に説く、最も優れた本物の良き啓蒙書・「啓発書」。

『中学生からの哲学「超」入門』竹田青嗣(ちくまプリマー新書)

まず、筆者は若い頃の挫折経験から文学、フロイト精神分析、そして哲学に出会った経緯と世界理解としての哲学の意義を述べる。次に宗教との違いから自由と欲望の相互承認としての哲学の価値について説明する。なぜ社会に法律やコードが存在し、それにどんな意味や問題があるのかを哲学的考察によって述べる。最後に筆者が構想する欲望論の実践篇によって現代社会・資本主義社会の構造を簡潔に考察する。記述は平易に書かれてはいるが大人でも内容の理解が容易ではない、現代を生きる問題としての哲学を語った入門書。

『生きることと考えること』森有正(講談社現代新書)

本書の中心となるのは、パリでの「経験」と「感覚」という概念への目覚めである。情意の影をおびた関係や豊かな人間交渉を生み出すパリでの「感覚」の目覚め、それは、私とものがつくり出す「感覚」や「経験」は自然や世界によって与えられた物であるということであり、筆者の言う「感覚」とは、感覚が感覚においてわれわれが生きていることの全てがあらわるものだということである。風景や家が単なるモノから生きがいや意味を与えてくれるものとなること。その「感覚」が豊かになり成熟し一つのことばとして表すことができるのが「経験」である。そして、定義される「ことば」と定義する「経験」を、経験を超えながら反省し結びつける力が「精神」だとする独自の現象学的・実存主義的思想が述べられる。(一般的な哲学入門書ではありませんが、生活と結びついたひとつの哲学的思考を教えてくれます。)

『哲学の歴史』新田義弘(講談社現代新書)

簡潔で明解な思想の展開を捉えた哲学史入門のスタンダード。

『西洋哲学史 古代から中世へ』『西洋哲学史 近代から現代へ』熊野純彦(岩波新書)

2006年に出版された日本の哲学史のニュー・スタンダード。

『哲学マップ』貫成人(ちくま新書)

『ヨーロッパ思想入門』岩田靖夫(岩波ジュニア新書)

ギリシャ思想と一神教の源流となったヘブライ思想という二つのものの影響を基礎として実存主義までの哲学の流れとその核心を述べるユニークだがまっとうな哲学・思想入門書。

岩波ジュニア新書ですが、日本では少ない、ギリシャ思想と一神教のコアとなる考え方を簡潔に説明し、その二つをベースにして哲学を解説した比較的高度な内容の本で、大人であっても読み応えがあります。250ページのヴォリュームがあり文字は岩波ジュニア新書としては小さめです。

『ソクラテス』田中美知太郎(岩波新書)

『はじめてのプラトン 批判と変革の哲学』中畑正志(講談社現代新書)

『アリストテレス入門』山口義久(ちくま新書)

『デカルト』野田又夫(岩波新書)

『パスカル』野田又夫(岩波新書)

パスカル解説の古典的名著。前半はパスカルの生涯を私生活、科学的業績、キリスト教思想、哲学の変遷とともに述べる。後半では人間の「みじめさ」と「偉大さ」、生得的な「悲惨」と「気晴らし」、神の存在の「賭け」など重要な思想が鮮やかに解説される。

『カント入門』石川文康(ちくま新書)

『新しいヘーゲル』長谷川宏(講談社現代新書)

標準的で平易な『精神現象学』の弁証法を中心としてヘーゲルの哲学全体を解説した入門書。

『ニーチェ入門』竹田青嗣(ちくま新書)

『現象学入門』竹田青嗣(NHKブックス)

『ウィトゲンシュタイン入門』永井均(ちくま新書)

『はじめての言語ゲーム』橋爪大三郎(講談社現代新書)

『はじめての構造主義』橋爪大三郎(講談社現代新書)

構造主義・記号学のバックグラウンドと基礎的思考が楽しく理解出来る。

『フーコー入門』中山元(ちくま新書)

『20世紀言語学入門』加賀野井秀一(講談社現代新書)

ソシュール言語学と構造言語学、記号学と構造主義、チョムスキーの生成文法論を中心とした言語学思想の概説書。

『記号論への招待』池上嘉彦(岩波新書)

ソシュール〜ロラン・バルトの記号学、パース〜ウンベルト・エーコの記号論の基礎理論を最も簡単に理解出来る良書。

『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』丸山俊一(NHK出版新書)

『私・今・そして神 開闢の哲学』永井均(講談社現代新書)

『<子ども>のための哲学』永井均(講談社現代新書)

本書は「子どもための哲学」の本ではない。子どもの頃に感じた存在の謎や善悪の規準といった基礎的問題を中心として展開する全世代のための哲学入門書。

『哲学の謎』野矢茂樹(講談社現代新書)

近代哲学・分析哲学の様々な思考実験やアポリアを紹介し、それらを考察することから読者を哲学することへ導く。

『哲学の使い方』鷲田清一(岩波新書)

『はじめての哲学的思考』苫野一徳(ちくまプリマー新書)

竹田青嗣から哲学を学んだ若手の気鋭の教育学者が、「さまざまな物事の本質をとらえる営み」「共通理解を見出そうと探求をつづけ」るものとしての哲学説や一般的な哲学の考え方や概念を取り上げて、実例を示しながら現実に対する考え方や実際の問題解決に役立つ思考法としての哲学を10代と若者へ向けて真摯にしかしやさしく解説していく。

『善と悪 倫理学への招待』大庭健(岩波新書)

『幸福とは何か ソクラテスからアラン、ラッセルまで』長谷川宏(中公新書)

ソクラテスやアリストテレス、エピクロス、セネカなど古代の哲学者たちが求めた知性的な幸福や中庸の徳、心境の平静、ヒュームやカント、ベンサムなど近代の哲学者の感覚論や道徳論、快楽説と幸福との矛盾、メーテルリンクやアラン、ラッセルなど現代の哲学者が求めた郷愁や希望、楽天的な心の安らぎゆとり、コモンセンスに基づいた心の平衡としての幸福、西洋哲学史の様々な幸福論を紹介・検討して、産業社会化・消費社会化・グローバリゼーションに対抗する穏やかで静かな日常生活が幸福であり、その範囲を見定め維持することが今日の幸福論の課題だとする。

『バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』坂本尚志(星海社新書)

フランスの大学入学資格試験あるいは中等教育修了資格試験であるバカロレアの哲学論文(デセルタシオン)のその独特のあり方と論述の「型」と解法、回答例を紹介してその思考の方法による論理的思考と批判的思考の重要性を述べる。

本書は本格的な幸福論の本ではなく、幸福説解説書であり、また、幸福を例題にしてフランスの哲学教育と独特なバカロレアの哲学試験の紹介をしています。哲学論文の方法を用いた論理的・批判的・弁証法的思考によって幸福になれる・精神的に豊かでいられる可能性があるというよりメタな意味での幸福についてのきっかけになる本であるとも言えます。バカロレアと幸福説紹介から入るユニークな哲学入門書でフランスの教育の紹介書です。

『じぶん・この不思議な存在』鷲田清一(講談社現代新書)

『「恋する身体」の人間学』小浜逸郎(ちくま新書)

『責任はだれにあるのか?』小浜逸夫(PHP新書)

保守派評論家の著者が前半では、少年犯罪やイラク人質問題における「自己責任」という概念とその言説への疑問を述べる。後半では、キリスト教やカント、ヘーゲル、フランクルなどの哲学から近代社会における責任概念のルーツとその問題について考察する。

『ニッポンの思想』佐々木敦(講談社現代新書)

吉本隆明と蓮實重彦(70年代)からニューアカ(80年代)、宮台真司と大塚英志(90年代)、東浩紀(ゼロ年代)までの日本の思想や論壇を時代状況を踏まえながら明確に簡潔に俯瞰する。

『自由主義の再検討』藤原保信(岩波新書)

近代自由主義、社会主義と共産主義における自由の概念、ジョン・ロールズやロバート・ノージック、リバタリアニズムなどの現代アメリカの自由主義を再検討することによって自由主義のエッセンスと可能性を探る。

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