『バーナード先生のネイティヴ発想・英熟語』クリストファ・バーナード(プレイス河出書房新社)

『バーナード先生のネイティヴ発想・英熟語』クリストファ・バーナード(プレイス河出書房新社、2003年10月)
句動詞の持っている根源的な意味や機能を理解する!!
動詞と前置詞あるいは、副詞から構成されるイディオムである句動詞の原理について書かれた本です。
全体の構成は以下のようになっています。
第1章「英語は空間が大好き!」では、英語では前置詞とそれの後に続く語との空間や時間の意味における結びつきが重要であることが述べられます。
第2章「これは前置詞?それとも副詞?」では、句動詞の存在理由と前置詞と副詞の同一性と区別の仕方、役割の違いについて解説します。
第3章「句動詞とは何だろう?」では、句動詞を形の上で5つに分類します。
第4章「句動詞の性格を一目で理解する」では、句動詞の仕組みを7つに分類して、「シンボルグラマー」という記号を用いて分析します。
第5章「基本動詞と基本パーティクル」では、よく用いられるパーティクル(前置詞と副詞)と基本動詞の句動詞の数を分析して、句動詞の「意味の生産性」について述べます。
第6章「パーティクルの王様’OUT’と’UP’」では、最もよく用いられるパーティクルであるOUTとUPの基本的な意味と句動詞における派生的な意味のあり方を考察します。
第7章「’GET’の意味を正しく知る」では、GETの多様な意味による理解の困難さとGETを使った句動詞ではパーティクルが強い意味をもつことが述べられます。
第8章「プラス/マイナスそして次元」意味的に対立するパーティクルのペアをプラスとマイナスに分けて、句動詞の意味の違いを理解します。
第9章「日本語から逆方向に考えると」日本語の動詞を分解して英語の句動詞と比較しながら、互いの意味の対応を紹介する。
第10章「句動詞のエキスとは何だろう?」句動詞の原理的な5つの意味を理解することで知らない句動詞の意味が特定できることを提案します。
第11章「意味の地図をつくろう」では、前章で紹介した5つのカテゴリーとその下位にある33のサブカテゴリーによって句動詞の意味の広がりを意味地図と理解することで句動詞の意味の記憶の定着のあり方を説明します。句動詞の動詞とパーティクルの意味の比重の重さによる意味の違いを説明します。
巻末には、重要句動詞の一覧と日本語と英語の索引があります。
本書は暗記系の参考書ではなく、読み物形式で言語学的な英語の句動詞の機能や意味の原理について解説しています。
タイトルに英熟語とありますが、コロケーションやイディオムとは言い切れない句動詞を扱うなど、通常の「英熟語」とは少し扱う範囲が違います。ですが、それによってイディオムの根本の原理や作用を解体して理解することができます。「ネイティヴ発想~」というタイトルですが、この本の解説は、ネイティヴでさえ意識的には理解していない無意識化での言葉の作用について解説しています。ネイティヴが無意識かで理解している英語の潜在的な構造や意味の力学を理解できます。
文章としては読みやすいですが、内容はやや高度で英語を一定程度マスターした中級者~上級者向けの一冊です。
イディオムを暗記したり、『システム英熟語』や『”英語のしくみがみえる”[基本動詞+前置詞]イディオム1000』のように動詞や前置詞のイメージで理解するのではなく、さらに深くイディオムをその根本の機能から理解してさらに英語力を向上させたい方にオススメです。
Goobye!! See you again!!